今回は、ファン付きの空調服をさらに涼しく快適なクーラー服に改造する方法を紹介します。
- 空調服を買ったけど、思ったほど効果がない。
- もっと涼しくするにはどうしたらいいの?
- おすすめの商品が知りたい。
このような疑問や要望がある方は、ぜひ最後までお読みください。
空調服ってどんな服?
そもそも空調服がどんなものかというと、上着にファンが付いていて回転して服の内側に風を送り、汗を乾かすことで気化熱を生み出し、体感温度を下げる効果がある服です。
空調服を着ていると、夏場に屋外で作業をする際でもとても涼しく快適に作業ができるので、建設現場で働いている方や農作業をされる方などに特に人気がある商品です。
空調服には、ベスト、半袖、長袖、パーカーの4つのタイプがあります。
暑い夏場に屋外での作業をされる場合、みなさんの用途に応じてお好きなタイプの空調服を試してみてください。
今回は、そんな空調服をさらに快適に、さらに涼しく、逆に寒く感じてしまうくらい強力に改造する方法を2つ紹介します。
おすすめ1:インナースペーサー
まず1つめの方法は、インナースペーサーを着用することです。
このインナースペーサーは、2つのベルトを前でクロスさせ、スペーサー部分を背中に背負う形で着用し、その上に空調服を着て使用します。
インナースペーサーの効果
空調服は背中にファンがついていて、そこから風を背中や服全体に送り込んでいます。
その時に空調服が背中にピタッとくっついていると、風がそこで止まってしまい、本来の効果を発揮することができなくなってしまいます。
そこでおすすめなのが、インナースペーサーです。
このインナースペーサーを着用することで背中と空調服の間の空間を確保することができます。
空調服のファンから発生した風は、この隙間を通って全体に回り、より涼しく快適になるというのがその効果です。
インナースペーサーが有効な場面
インナースペーサーが特に有効なシチュエーションは以下の3つです。
- リュックや農薬などを散布する機械などを背中に背負うとき
- 草刈り機など肩から背中にかけてベルトを付けるとき
- トラクター運転時など座席に座って作業を行うとき
以上のような場合には、背中と空調服が何らかの形で密着してしまい、うまくファンの風が回らないため、インナースペーサーを着用することで状況を改善することができます。
インナースペーサー「なし」と「あり」の比較
一例として、前述の1の状況を想定して実験してみます。
下の写真はインナースペーサー「なし」でリュックを背負い、背中と空調服が密着している状態です。
この状態で空調服のスイッチを入れても、お腹の部分にしか風が回ってきません。
背中には全く風が来ておらず、とても暑いです。
次にインナースペーサー「あり」の状態で同じようにリュックを背負います。
空調服の下にインナースペーサーを着用しているので、リュックを背負っていても背中と空調服の間に少し空間ができています。
この状態で空調服のスイッチをオンにしてみると、しっかりと背中にも風を感じることができ、涼しいことがわかりました。
このように、背中に何かを背負ったり、ベルトを回したり、座席に座って作業をするなどの場合には、インナースペーサーはかなり有効ですので、ぜひ使ってみてください。
インナースペーサー着用時の注意点
インナースペーサーは、内部にプラスチック製の突起物が並んでおり、それらを外側のメッシュで覆っているという構造の商品です。
インナースペーサー着用時には、このメッシュ部分が首元が触れて、少しチクチクすることがあります。
そのため、インナースペーサーを着用する際は、下着を着たり、襟があるポロシャツなどを着て対策をすることをおすすめします。
おすすめ2:メッシュベスト
2つめの方法は、メッシュベストを着用することです。
このメッシュベストには前後4か所に保冷剤を入れることができるポケットが付いています。
そこに凍らせた保冷剤を入れて空調服の内側に着用することで、空調服のスイッチを入れた際に、凍った保冷剤の冷却効果との相乗効果で、体感温度をかなり下げることができます。
メッシュベストに組み合わせる保冷剤の選び方
空調服は単体で使用しても、付属のファンが回っているだけなので、扇風機の風を受けているような状態でしかありません。
そこでこのメッシュベストと保冷剤を組み合わせることで、クーラーを使っているような感覚に変化させることができます。
メッシュベストに保冷剤を4個装着すると、このような状態になります。
保冷剤にはいろいろな種類がありますが、安いものであれば1個あたり100円~150円程度で購入できます。
ポケットに入るサイズのものであればどんな保冷剤でも大丈夫ですが、4個装着した時のトータルの重さも考慮して、ベストとして装着した際に体に負担がかからないサイズを選びましょう。
ちなみに今回は1個150gの保冷剤を4個使用したので、600gの重量増となりましたが、このぐらいの重さであれば、重くなったことの何倍も涼しさを感じることができたため、全く重さは気になりませんでした。
今回使用した保冷剤の場合、夏の屋外で使用すると1時間ほどで冷たさがなくなってしまいます。
保冷剤をもっと大きなものにすれば、その大きさに比例して冷たさを持続できる時間も長くなります。
但し、その場合は保冷剤自体も重くなるので、人によっては重さが気になってしまうかもしれません。
保冷バックを使って予備の保冷剤を用意しておく
一回分の保冷剤しか用意していない場合、冷たさがなくなってしまった時点で、メッシュベストを着ている意味もなくなってしまいます。
そこで、お弁当などを入れる保冷バッグの中に予備の凍らせた保冷剤を複数個用意しておき、作業の合間に冷たくなくなった保冷剤を交換するという方法もおすすめです。
少し面倒に感じるかもしれませんが、暑い屋外での作業の場合、少なくとも30分から1時間おきには水分補給等の休憩を取るかと思います。
その際に保冷剤を交換するだけなので、実際はそれほど面倒ではありません。
趣味で家庭菜園やアウトドアをされる場合には、この方法はかなり有効かと思います。
但し、1日中作業をしなければならないプロの方の場合、作業時間に見合った個数の保冷剤を用意しなければならないため、場合によってはかなり多くの保冷剤を用意する必要があり、少し面倒かもしれません。
メッシュベスト&保冷剤を使用するメリット
通常、空調服は風の強さを3~4段階に調整することができます。
風の強さが一番強いほど涼しくなるので、風の強さを最大にして使用する方が多いのではないでしょうか。
但し、風の強さを強くするとその分バッテリーの減りも早くなるので、使える時間も短くなります。
そこでこの保冷剤を入れたメッシュベストを着用すると、風をあまり強くしなくても十分に涼しさを感じることができます。
保冷剤を使用している場合には、風力は弱か中ぐらいがおすすめです。
これにより、空調服のバッテリーの持ちが長くなるというメリットもあります。
温度を計測して冷却効果を確認する
空調服のみの使用した場合と、メッシュベスト&保冷剤を使用した場合の冷却効果の差を確認するため、実際にそれぞれの温度を測ってみました。
計測のため温度計を3つ用意しましたが、安物でかなりばらつきがあったため、3つの温度計の平均値をとって実際の冷却効果を確認します。
空調服のみの場合
まず空調服のみを着用して、首元の温度を測ります。
計測の結果は以下の通りです。
次に、空調服のスイッチをオンにして、風が来ている状態での首元の温度を測ります。
計測結果は以下の通りです。
メッシュベスト&保冷剤を着用した場合
次に、凍った保冷剤を付けたメッシュベストを着用し、同様に首元の温度を計測します。
計測の結果は以下の通りです。
風の強さは弱で計測をしましたが、保冷剤が入っていることもあり、かなり冷たいです。
保冷剤ので服の中の空気が冷やされることもあり、袖口や首元から出てくる風も通常よりも冷たく感じます。
まるでクーラーの冷たい風を浴びているような感覚です。
実際に作業をしていても、保冷剤が冷たすぎて寒いと感じることもあるぐらいです。
最終的な計測結果をまとめたものがこちらです。
上記計測結果をグラフにしたものがこちらです。
今回の計測の結果では、空調服だけの効果は-2.9℃、メッシュベスト&保冷剤を併用した場合の効果は-5.2℃となりました。
インナースペーサーやメッシュベストの費用
ここでは、今回紹介した2つの商品についての一般的な価格について説明します。
空調服と背中の間に空間を作る目的で使用するインナースペーサーの値段は、3500円~4000円くらいで販売されています。
メッシュベストについては、1000円~2000円程度で販売されています。
但し、メッシュベストについては、保冷剤を持っていない方は別途購入が必要です。
(※保冷剤の選び方については、前述の「メッシュベストに組み合わせる保冷剤の選び方」を参考にしてください。)
また、予備の保冷剤を冷やしておく場合は、保冷バッグも用意したほうがいいでしょう。
このように、トータルの費用としては、インナースペーサーもメッシュベストもどちらも同じくらいになると思います。
インナースペーサーとメッシュベスト、どちらがおすすめ?
インナースペーサーとメッシュベストは、前述の通りそれぞれ用途が違うこともあり、一概にどちらが良いということはできません。
インナースペーサーは、空調服と背中を密着させないように空間を作ることが目的です。
一方、メッシュベストは保冷剤を併用して体を冷やして体感温度を下げることを目的としています。
みなさんの作業の状況や、それぞれの目的に応じて使いわけましょう。
2つを併用したらどうなる?
もしかしたら、インナースペーサーとメッシュベストの2つを併用したらどうかと思った方もいるかもしれません。
実際に2つとも着用してみましたが、おそらく問題なく使用できるかと思います。
この場合、メッシュベストの上にインナースペーサーを着用する形になるので、背中の保冷剤がより密着してより冷たく感じます。
但し、2つを併用した場合であっても、前述のようにインナースペーサーのメッシュ部分が首元にあたってチクチクする症状は変わらないので、内側に下着やポロシャツなど襟付きの服を着ることをおすすめします。
空調服を使うときの注意点
ここでは、空調服を使用するにあたっての全体的な注意点について説明します。
細めに水分補給や休憩をとる
空調服は、体感温度を下げるので熱中症予防に効果があると言われています。
とはいえ、汗を全くかかなかったり、体の温度が上がらないという訳ではありませんので、必ず作業の途中で水分補給や休憩を挟むようにしましょう。
いくら空調服を着ていても、休憩もとらずにずっと作業をしていると、熱中症になってしまいます。
空調服を使用していも、必ず30分から1時間に1回程度、水分補給と休憩をとってください。
また、空調服と併せて、今回紹介したメッシュベストや保冷剤を組み合わせて使えば、体の温度を下げられるので、より熱中症対策として効果的だと思います。
夏にアウトドアや屋外での作業をされる方には、特にメッシュベストと保冷剤の組み合わせがおすすめです。
保冷剤を入れるポケット付きの空調服もある
空調服にはいろいろな種類がありますが、中にはメッシュベストのように内側に保冷剤を入れることができるポケット付きの商品もあります。
そのような空調服をお持ちの場合は、メッシュベストはあまり必要ないかもしれません。
メッシュベストの購入を考えている方は、ご自分の空調服の内側にそのようなポケットがついていないかをまず確認することをおすすめします。
もし保冷剤を入れるポケットの付きの空調服であっても、ポケットが一つしかないなど、保冷剤が入れられる数が少ない場合もあります。
その場合には改めてメッシュベストの購入を検討してみてもいいかもしれません。
ファン付きの服をクーラー服に改造する方法のまとめ
今回は、空調服をただの扇風機付きの服からクーラーが付いた服のように変える方法を紹介しました。
今回紹介した方法を使えば、大げさではなく、扇風機からクーラーに変わったかのように体感温度を下げることができます。
みなさんの作業の状況や目的に応じて、今回紹介した方法をぜひ試してみてください。
動画でも紹介していますので、ぜひご覧ください。