今回は種子繁殖型のイチゴについてご紹介します。
みなさんは、イチゴの苗がどうやって作られているのかご存知ですか?
実際にイチゴを育てたことがある方はご存知かもしれません。
- イチゴって種から育てるんじゃないの?
- 変わったイチゴ栽培にチャレンジしたい。
- イチゴを種から育ててみたい!
という方は、是非最後までご覧ください。
種で増やせる種子繁殖型のイチゴ
種子繁殖型とはその言葉の通り、種を使って増やすことができるイチゴ品種のことです。
普通の野菜は大体種を使って増やすと思いますが、イチゴは他の野菜と違います。
主にランナー(わき芽が伸びたような状態のもの)を使って苗を増やします。
(画像は「【いちごの苗作り】ポット受け育苗は簡単なので初心者向けの苗作り方法!ランナーで苗を増やそう」より引用)
ランナーで苗を作った場合、苗は親株と遺伝子の情報が同じクローンになるので栽培がとても簡単になります(無性生殖なので)。
ただ、一般的に市販されているイチゴの実についている種を播くと、親株とは異なる特徴を持ってしまいます。
雌しべと雄しべのそれぞれの特徴を受け継いだものができます。
例えば、とちおとめのイチゴの実から種を取って播いたとしても、その株はとちおとめとは特徴が違います。
あまおうの果実の種を播いたとしても、そこから生まれたイチゴの苗はあまおうとは全く違うものになってしまいます。
人間もお父さんとお母さんの子どもは、お父さんやお母さんとは別人ですよね、それと似ています(有性生殖なので)。
市販のイチゴから種をとってオリジナルイチゴを育ててみたい方は、ぜひこちらの動画をご覧ください。
ただ、ごくわずかの一部の品種に限り、種を使って狙った形質を残すことができる、いわゆる F1品種と言われるものがあります。
現在はトマトやナスなどの多くの野菜がF1品種ですが、イチゴはF1品種が非常に珍しいです。
F1品種は「ある特定の父親」と「ある特定の母親」を交配させて、「ある特定の形質を持つ子ども」をたくさん作る品種です。
F1品種は優秀な子どもを均一にたくさん作れるので、世界中の野菜で利用されています。
ランナーでイチゴの苗を増やしてみたい方は、こちらの動画をご覧ください。
種子繁殖型イチゴ「よつぼし」の特徴
三重県と他の農業試験場が協力をして品種改良を行ない、よつぼしという品種が数年前に誕生しました。
※2014年品種登録出願
私がよつぼしを初めて知ったのは数年前です。
三重県の農業試験場の方がイチゴのセミナーのようなものに参加して、品種の特徴を説明していました。
私はその会に参加していたので、よつぼしのことを聞いてよつぼしの特徴について育成者の方に質問をしたり、少しお話をする機会がありました。
よつぼしは一季成り性の特徴も四季成り性の特徴も持っている
よつぼしは一季成り性の品種なので、普通のイチゴと同じく家庭菜園で育てると春にだけ収穫ができます。
プロの農家の方が育てる場合は、冬から春にかけて収穫されています。
ここまでは普通の品種と一緒です。
よつぼしは、温度帯がある程度高く(25~27℃程度の場合)日が長ければ長いほど花芽分化をするという特徴があります。
これは一般的な一季成り性の品種は持っていない特徴で、まるで四季成り性のような特徴を持っています。
なので一季成り性と四季成り性の両方の特徴を併せ持つ品種といわれています。
今の話は一般の方には難しいかもしれません。
日本の自然条件で栽培した場合、春だけではなくて春から初夏にかけてイチゴが収穫できる可能性があります。
もしくは気温や日長を人工的にコントロールできる場合は、一年中イチゴを収穫することができる可能性を秘めた品種です。
まず味が美味しい、さらに普通のイチゴとは少し違う特徴を持っているというのがよつぼしの魅力です。
一季成り性イチゴと四季成り性イチゴの違いが知りたい方は、こちらの動画をご覧ください。
種子繁殖型イチゴ「よつぼし」の種を購入してみた
今回、よつぼしの種を購入しました。
こちらがよつぼしの種です。
「種子繁殖型いちご・よつぼし・いちご種子」と書いてあります。
今回は三重県の会社から購入しました。
インターネットでも購入できます。
e-taneya(https://www.e-taneya.com/site/special/yotsuboshi_ichigo/index.html)
よつぼしを栽培する際のルール
よつぼしにはいくつかルールがあるので説明します。
種を購入して育てて、実を収穫して販売することは誰でもできます。
また、種を播いてそれから苗を作ることや苗を増やすことも認められています。
特に許可が必要ありません。
ただいくつか規制があります。
よつぼしの種を播いて苗を作ってそこから苗を増やして、それを他人に販売することは禁止されています。
なので、いくつかのルールさえ守れば他のイチゴと同じように育てられます。
よつぼしは苗からでも育てられる
今回は種を購入しましたが、種だけではなくて苗も購入することができます。
苗の方が簡単に育てることができます。
種からだと時間もかかるし、その幼い苗の時期は栽培が難しいです。
なので、家庭菜園したい人は苗を選んでよつぼしを購入してみてください。
種からイチゴを育ててみたい人は種を購入してみてください。
イチゴの基本的な育て方はこちらの動画で紹介しています。
よつぼし以外にも種子繁殖型のイチゴがある
実はイチゴの種はよつぼしだけではなくて他の品種も売っています。
これは「四季成り性いちご」と書いてあるだけで、品種名は書いてありません。
なので正確な品種名はわかりませんが、日本国内で種子繁殖型のイチゴはよつぼしかよつぼしの前にあったF1エラン(オランダ産)という品種です。
F1エランという品種の可能性が高いと思います。
もしくは海外の品種を使っているかもしれません。
これはホームセンターで購入したので、手軽にイチゴを種から育ててみたい人はぜひホームセンターで売っている種を使ってみてください。
よつぼしを育ててみたい人はよつぼしの種を購入して育ててみてください。
どちらも種から育てることができるので、なかなかない良い体験になると思います。
海外のF1品種の種も売っています。
【いちごの品種】種で増えるイチゴ品種よつぼしの紹介!なぜ苺は種で増やせないのか解説のまとめ
私はこれからよつぼしの種を播いて、イチゴを種から育てようと思います。
私は学生時代にイチゴの品種改良を行っていたので、イチゴを受粉させて種から育て収穫することは何百株何千株という単位でやりました。
今回は家庭菜園向けに簡単にできる方法を試してみます。
みなさんも、ぜひ種子繁殖型イチゴ「よつぼし」を栽培してみてはいかがでしょうか?
種子繁殖型のイチゴの種の播き方が知りたい方は、是非こちらの動画をご覧ください。
今回紹介した内容は、こちらの動画でご紹介しています。