今回はイチゴのポット受け育苗のやり方を紹介します。
ポット受け育苗は簡単で失敗しにくい育苗方法なので、初心者の方におすすめです。
- イチゴの苗を増やしたい!
- イチゴ一株から何個の苗が作れるの?
- ポット受け育苗はいつ頃するのがいい?
という方におすすめの記事です。
イチゴのポット受け育苗の様子
現在、大量に行っているポット受け育苗の様子を紹介します。
2020年はコロナウィルスの影響で3ヶ月間全くこのハウスに来れませんでした。
なので、実家の母親に作業をお願いしました。
苗には3ヶ月間全く肥料を与えていないので、苗の質は良くありません。
それでもとりあえずポット受け育苗がどういうものなのか分かっていただけるかなと思います。
実際のポット受け育苗
ここは簡易的な高設ベンチになっていて、腰ぐらいの高さでイチゴを栽培しています。
親株があるベンチと同じくらいの高さ、もしくは少し低めの高さに板などを設置してください。
ここでは木の板を設置していますが、金属でも何でも構いません。
その上にポットを並べて出てきたランナーを固定します。
上のベンチに親株が植わっていて、そこから少し下がった位置で子苗を作っています。
イチゴの親株はプランターに植わっています。
苗を植えたのは春です。
65cmのプランターに2~4株植えてあります。
植えるプランターの大きさに合わせて、植える株数を調整してください。
このサイズのプランターには、だいたい2~3株くらいがいいです。
イチゴのランナーとは?
イチゴは春から夏ぐらいにかけてランナーを伸ばします。
これがランナーと呼ばれているものです。
イチゴは栄養繁殖といってクローンをどんどん作ります。
今は小さい棒のようですが、①が成長する②になり、それがさらに成長すると③のような感じになります。
さらに成長すると親株のような大きなイチゴになります。
イチゴはクローンをどんどん増やして苗を増やします。
ランナーからランナーが出る
ランナーを1箇所を固定すると、そこからまた新しいランナーが出てきます。
固定されているランナーから、また新しいものが出てきました。
この状態だとまだ小さすぎますが、1~2週間ほど経つと大きくなります。
そうしたらそれをまた同じように固定してください。
イチゴ一株からだいたい20個の苗が取れる
今この小さなビニールハウスの中で、およそ600個の苗を作っています。
だいたい一株の親株から20個ぐらい苗が取れると考えてください。
ただそれは育てている期間や品種、生育状況によって変わってきます。
イチゴのポット受け育苗のやり方
ここからはポット受け育苗で必要な道具や注意点を紹介します。
イチゴのポット受け育苗で必要な道具①ランナーピン
ランナーからどんどん葉っぱが出てくるので、ポットの上に固定します。
ここで使っているのはランナーピンと呼ばれているものです。
このランナーピンはネット通販で買えます。
ランナーピンでは量が多すぎるという方は園芸用のビニタイを使ってください。
ビニタイをランナーピンくらいの長さに切断して曲げれば同じように使えます。
ランナーの上から固定します。
固定する目的は、ランナーがポットの土からずれないようにするためです。
ランナーと土が離れてしまうと根が張らないので、ランナーピンやビニタイを使って固定します。
そうすると株の付け根の部分が常に土と接触するので、水分を感じて根っこが生えます。
しばらく経つとこのように根っこが生えてきます。
これはまだ根っこの量が不十分ですが、もっと時間が経てば根っこの量が増えてきます。
そうなったら苗として使えます。
イチゴのポット受け育苗で必要な道具②ポット
ここで使っているのは黒ポットといわれているものです。
ホームセンターやネット通販で購入できます。
大きさが色々ありますが、私は直径が7.5cmのものをよく使っています。
イチゴのポット受け育苗で必要な道具③培養土
ポットの中に市販の野菜栽培用の培養土や育苗用の培養土を入れています。
オリジナルの培養土やピートモス、ヤシ殻培地だけを使ってもいいです。
ですが初心者の方は野菜栽培用の培養土がおすすめです。
まずはポットと土、それからランナーピンもしくはビニタイを必要な数だけ用意してください。
ポット受け育苗の注意点①品種が混ざらないようにする
ポット受け育苗をするときに気をつけてほしいのは、品種がわからなくならないようにきちんと区別をすることです。
今回育てている親株はすべて同じ品種です。
なのでランナーがごちゃごちゃになって混ざっても特に問題ありません。
ただもし隣同士の株の品種が違った場合、ランナーが混み合っているとできた苗がどちらの品種かわからなくなってしまいます。
「とちおとめを育てていると思ったのに紅ほっぺだった」ということが起こってしまいます。
なのでポット受け育苗をやる場合、できれば親株は品種ごとに分けた方がいいです。
それができない場合は、親株から発生したランナーをちゃんと品種ごとに分け、混ざらないようにする工夫が必要です。
ポット受け育苗の注意点②ランナーは5cm残して切る
イチゴの苗が十分な大きさになったらランナーを切ります。
ランナーを株元ギリギリで切ると、親株と繋がっていた場所が分からなくなってしまいます。
なのでランナーは5cmくらい残して切断してください。
イチゴの苗を植える時、親株と繋がっていた方向がわかる目印になります。
ポット受け育苗の注意点③ポットの底で根っこがぐるぐる回ったらランナーを切り離す
ランナーを切る時期の目安は、ポットの底にイチゴの根がぐるぐると回った状態になったら切ってください。
このポットはまだ根っこが1〜2cmぐらいしか出ていません。
これだと水が吸える量が非常に少ないです。
この状態でランナーを切ってしまうと、おそらくこの苗は萎れてしまいます。
なので根っこが少ない時はまだランナーを切らないでください。
しばらく置いておくとこれくらいの量になります。
ポットの底にぐるぐると白い根っこが回れば、プランターに植え付けることができます。
またはポットの底まで根っこが到達すれば、親株とつながっているランナーを切っても大丈夫です。
あとはポットに水やりをしてあげればランナーはどんどん大きくなります。
イチゴのポット受け育苗のメリット・デメリット
ポット受け育苗は非常に簡単なやり方で初心者の方におすすめですが、良い点と悪い点があります。
メリット・枯れるリスクが少ない
ポットの土に湿り気があれば根っこが生えやすくなりますが、もし土に湿り気がなかったとしてもポット受け育苗の苗は枯れにくいです。
なぜかというとランナーを伝って親株から水分や栄養分が供給されるからです。
なのでもし水やりを忘れてしまったり、何かの機械トラブルで水が来なくなったとしても、苗はほとんど枯れません。
枯れるリスクがないという意味では非常に失敗しにくい方法です。
「ランナー挿し」という方法の場合、親株とつながっているランナーを切ります。
なので、苗のポットに水やりができなかったり、水やりを忘れてしまうとすぐに苗が枯れます。
ランナー挿しについてはこちらの動画で詳しく説明しています。
デメリット①苗の大きさにばらつきが出る
まず1つ目のデメリットは、一番最初にポット受けをして作り始めた苗と、今ポット受けをし始めた苗の大きさが大分違ってしまうことです。
発根している根の量もかなり違います。
なので苗の大きさにばらつきが出てしまいます。
デメリット②作業効率が悪い
2つ目のデメリットは、作業効率が悪いことです。
一度に苗作りができないので少しずつ苗を作ることになります。
また、苗を作るため親株のすぐ近くにポットを置くスペースが必要になります。
商業的な農園で収穫をしている場合、収穫している親株のすぐ隣に苗作りのスペースを作るのは難しいです。
なので必然的に育苗専用の場所で育苗用の親株を使って苗を育てることになります。
その面積の分だけ出荷に使える栽培スペースが減ってしまうデメリットもあります。
連結トレイを使う方法
今回こちらでは直径6.5センチのポットを使っていますが、他の方法もあります。
例えば、連結トレイを使う方法です。
連結トレイというのはポットが連結して一枚の育苗容器になっているものです。
すくすくトレイやカタツムリポットというものです。
そのようなポットを並べて、その上にどんどんランナーを固定していく方法もあります。
連結トレイを使う場合、頭上灌水というホースなどを使って上から水をかける方法ではなくて、点滴チューブを連結トレイの上に設置して、点滴チューブからポタポタと水を流すやり方もあります。
今回このハウスでは、カタツムリポットと点滴チューブを使う予定でした。
しかし、コロナウィルスの影響で東京からハウスがある長野県に移動ができなかったので、ポット受け育苗をすることにしました。
カタツムリポットについてはこちらの動画で説明しています。
イチゴの炭疽病
ランナーの一部が黒く枯れていると炭疽病という病気の可能性があります。
ただ炭疽病以外の要因でもこのようになります。
炭素病については別の動画で詳しく説明します。
この辺りはかなりみっちりと並べられいます。
これはあまり良くありません。
もう少しポットとポットの間隔を広げて、葉っぱが重なり合わないようにした方が良いです。
【いちごの苗作り】ポット受け育苗は簡単なので初心者向けの苗作り方法!のまとめ
今回はポットを受け育苗の様子をご紹介しました。
ポット受け育苗は簡単な方法なので初心者の方におすすめです。
イチゴ栽培を始めたばかりの方は、是非この方法で苗を増やしてみてください。
ポット受け育苗の受けジュール
今回撮影したのは9月下旬です。
9月下旬にこの状態にするためには、春に親株を植えます。
夏の間にランナーが出てくるので、それをポット受けします。
そうすると9月から10月くらいに苗が作れます。
そうなったらその苗をプランターに植えてください。
そうすると翌年の3月から5月ぐらいの間にイチゴが収穫できます。
ぜひ、ポット受け育苗をしてイチゴの苗を増やしてみてください!
今回の記事の内容は、こちらの動画で詳しく説明しています。