今回は、家庭菜園のイチゴ栽培で2月にやるべきことについて紹介します。
- 家庭菜園のイチゴが2月になると枯れたみたいな感じになっていて心配
- 2月に行うイチゴの具体的な管理方法が知りたい
- 春に大きなイチゴを収穫するためにはどんな準備をしたらいいの?
このような疑問や要望がある方は、ぜひ最後までお読みください。
前提条件として関東を基準にした家庭菜園向けの内容となります。
2月にやるべきこととしていますが、お住まいの地域の気候によって、作業をするタイミングを変えるようにしてください。
2月のいちご作業
2月といっても、上旬から中旬ぐらいはまだまだ厳しい冬といった気候です。
しかし2月下旬頃になってくると、日によっては春だと思うぐらい暖かくなってきます。
そこで、2月にやるべきことについて上中旬・下旬の二つに分けて説明します。
2月上旬から中旬の家庭菜園のいちごの作業
2月の上旬から中旬の場合、雪が多い地域ではまだ屋外にたっぷり雪が積もっていると思います。
そのように雪が積もっていると、育てているイチゴの株の上に雪がドサッと積もっていたり、プランターも雪に埋もれているという場合もあります。
雪がイチゴの株の上に乗っている状態は全く問題ありません。
そのまま特に何もしなくて大丈夫です。
また、寒い地域の場合、土がガチガチに凍っていたり、プランターの土が凍っていたり、霜柱ができていたりすることもありますが、これらも全く問題ありません。
但し、土がカラカラに乾燥して葉が萎れている状態は問題です。
葉についてですが、葉の色を確認して、紅葉して赤くなっていたり、黄色くなっていたり、または葉が枯れている場合などは基本的には問題ありません。
但し、新しい葉が出てくる芽の部分の葉が枯れている場合は問題があります。
では、2月の上旬から中旬にかけてどのような作業が必要かというと、実はあまりやるべきことはありません。
前述の通り、イチゴの株の上に雪が乗っていたり、土が凍っている分には全く問題がないので、そのまま特に何もしなくて構いません。
但し、土が乾燥している場合には、芽の部分が枯れてしまう恐れがあります。
イチゴは寒さには強いのですが、乾燥すると枯れてしまうという弱点があります。
そこで、土が乾燥している場合には水をかけてあげましょう。
土が乾燥していない場合は、もちろん水をあげなくても大丈夫です。
また、雪が上に乗っている場合には、土の湿度が保たれているため、水やりは必要ありません。
この2月上旬から中旬は、気温が低いためイチゴは休眠状態に入っています。
休眠状態とは、寒さから身を守るために、イチゴが生育をストップさせている状態です。
イチゴが地面にひれ伏すような姿勢になっていたら、休眠状態だと考えてください。
ここから2月下旬~3月にかけて気温が上がってくると、徐々にイチゴの葉が起き上がって生育を始めます。
2月上旬~中旬にイチゴの葉に病気が出ていたり、害虫がついていたとしても、あまり気にしなくて大丈夫です。
気温が非常に低いので、病気や害虫も増えにくいからです。
そのため、そのままにしておいたとしてもそんなに大きな被害は出ないので、2月上旬~中旬まではそのままにしておいて、2月下旬以降に暖かくなってから対処するのがおすすめです。
2月下旬の家庭菜園のいちごの作業
ここからは、2月下旬の作業について説明します。
まず2月下旬の気象条件についてですが、少しずつ日差しが強くなってきて春の訪れを感じるようになります。
そうかと思えば、次の日にはまた真冬かと思うぐらい寒い日があったりと、気温の落差が大きい時期です。
このような時期は植物を育てるのが難しい時期です。
天気のいい日が続けば、イチゴの上に積もっていたいた雪が全部溶けることもありますが、そうかと思えば数日後にドカッと雪が降ってまたイチゴの上に雪が積もるということもあるかもしれません。
このような気候は地域によっては大きく違います。
例えば九州などの暖かい地域の場合には、2月下旬になったら関東でいう3月中下旬ぐらいの暖かい気候になっているかもしれません。
この2月下旬にやらなければいけないことは以下の通りです。
①いちごの水やりと保温
2月下旬にやらなければいけないことの一つ目が水やりです。
2月下旬は暖かい日と寒い日が何回も繰り返すような時期です。
暖かい時に気を抜いていると、土が乾燥してしまってイチゴが枯れてしまう恐れがあります。
暖かい日が続いたら、水やりを忘れずにするようにしましょう。
それから、暖かい日が続いたと思ったら急にまた寒波が来たりすることもあります。
暖かい日が続いて、イチゴの葉が起き上がってきて生育をスタートさせていたら、その時に寒波が来るとイチゴがダメージを受けてしまいます。
その場合には保温をしてあげてください。
例えばプランターなどであれば、寒波が来たときは室内に入れてあげたり、地面で育てている時には上にビニールや不織布被せるなどの対策をするようにしましょう。
➁いちごの追肥
2月下旬にやらなければいけないことの二つ目は追肥をすることです。
イチゴは、寒くて休眠している間は生育をストップさせるので、肥料は必要ありません。
そのため、12月や1月はほとんど追肥をしなくて構いません。
仮に追肥をしたとしても、イチゴが吸収せずにただ肥料分が地面に放出してしまいます。
但し、2月下旬ぐらいから暖かい日が続いてくると、休眠をやめて生育を開始するので、そのタイミングで肥料が必要になります。
この肥料が効果を発揮するタイミングについて少し詳しく解説します。
例えば、2月下旬頃にイチゴの株に追肥を与えたとします。
その場合、肥料分をその株がしっかりと吸収するのは3月に入ってからになります。
3月に入ってから、イチゴがその肥料分を吸収させつつ、イチゴの株の中で花芽分化を起こします。
この花芽分化が起きてから、花芽形成という次のステージに移ります。
この間に肥料分があると、イチゴの体内に大きな花芽が出来ます。
この時点ではまだイチゴの株の外には花が出ていません。
イチゴの花がいつ出るのかというと、4月になってから中心部分から外に花が出てきます。
その4月に咲いた花が受粉をして収穫できるのは、4月下旬から5月になってからです。
その時には、大きなイチゴの実が収穫できます。
このような流れを理解したうえで、2月下旬に追肥を与えると、4月下旬から5月ぐらいに大きな実が収穫できるようになります。
なぜ追肥をしてから、その肥料分がイチゴの体内に吸収されるまでにこれほど時間差があるかというと、実はイチゴの体内にはまだ赤ちゃんの葉が積み重なっていて、その奥底でこれから花が作られるからです。
このように実際に目で見ているイチゴの状態と、イチゴの体内に起きている現象には時間差があります。
そのため、2月下旬のタイミングで追肥をしてあげないと、4月下旬から5月ぐらいに収穫するイチゴの実が小さくなってしまいますので、このタイミングで必ず追肥をするようにしましょう。
では、実際にどのような肥料を与えればいいのかについてですが、有機肥料を与えたいという方は、例えば発酵油粕や鶏糞、ぼかしなどがおすすめです。
その他、牛糞堆肥や豚糞などもあります。
また、化成肥料を使用する場合には、野菜栽培用の窒素、リン酸、カリ、微量要素も含まれるタイプの肥料がおすすめです。
3カ月ぐらい効果が持続するものが使いやすいと思います。
本当にイチゴを育てるのが初めてで、どの野菜用の肥料を使ったらいいのか分からないという方は、イチゴ栽培専用の肥料でも構いません。
ホームセンターやインターネット通販などで簡単に購入することができます。
それから、普段あまり固形肥料を使わずに液体肥料を使っているという方の場合、液体肥料でも構いません。
液体肥料を既定の倍率に薄めて、週に2回ぐらいの頻度で与えてください。
③花の人工授粉をする
2月下旬にやらなければいけないことの三つ目は人工授粉をさせることです。
育てているイチゴの種類や栽培の条件によっては、2月下旬に花が咲くことがあります。
そのまま花を咲かせっ放しにしていると、綺麗な実ができません。
もう少し暖かくなってから花が咲いた場合には、野生のミツバチなどが受粉をしてくれることがありますが、2月下旬はまだまだ寒くて、野生のミツバチもあまり活動していないので、人工授粉をしてあげる必要があります。
人工授粉について簡単に説明すると、まず花が咲いた初日は花粉が出ていないので、2日目もしくは3日目に人口処理の作業を行うようにしてください。
耳かきの反対側に付いている梵天と言われているふさふさの白い毛のようなものを使うのがおすすめです。
それが面倒な場合は、花を手で揺することでも人工授粉ができます。
ただこの場合はどうしても人工授粉の成功率が下がるため、何日間か繰り返し行うようにしましょう。
注意点として、イチゴの花は0℃以下になると低温障害と呼ばれる障害を受けます。
このような障害が起こると、花が痛んで実ができなくなってしまいます。
低温障害を負った花の雌しべは、真っ黒になるのですぐに判別できます。
そうなってしまうと、もう受粉はできないので、イチゴの実もできません。
2月下旬は日によっては温度がマイナスになる可能性があり、強い寒波が来た場合には、関東でも0℃以下になることがあります。
そのような場合には、防寒対策として、ビニールのフィルムをかけたり、プランターごと室内に入れてあげるなど、イチゴの株の部分が0℃以下にならないようにする工夫が必要です。
④いちごの病気や害虫の対策
2月下旬にやらなければいけないことの4つ目は病気や害虫の対策です。
2月下旬になると暖かくなってくるので、病気の発生が多くなったり、害虫の繁殖スピードが速くなります。
2月下旬の時点で、一度病気や害虫の対策をしておきましょう。
まずは葉の裏側を確認し、そこにアブラムシやハダニが付いていないかを確認してください。
もしそれらの害虫が付いていたら、手で駆除したり、水道水で洗い流したり、市販の農薬を使用するなどして対処しましょう。
また、赤色や黄色に高揚した葉や枯れた葉は、もう光合成はしてくれないのでこのタイミングで取り除いてください。
そのような葉には害虫が付いていたり、害虫の卵が付いている可能性があります。
ポットの苗の状態で越冬させている場合は、この2月下旬または3月になったタイミングで植え替えをしてください。
地面に植えてもいいですし、プランターや植木鉢に植えても構いません。
但し、植える時期が遅くなってしまうと良くないので、このタイミングでできるだけ早く植えるようにしてください。
中級者向けの2月下旬にやるべきこと
ここまでは、一般的な家庭菜園をされている方で、初夏ぐらいに収穫ができればいいという方向けの内容でした。
ここからは、さらにワンランク上に行きたい中級者の方向けの内容になります。
一般的な家庭菜園での育て方をした場合、2月下旬ぐらいに少しずつ葉が動き出しますが、しっかりイチゴが元気に成長し始めるのは3月以降になります。
通常、3月に花が咲いて、4月頃から収穫ができるぐらいになります。
中級者の方の中には、それだとちょっと収穫が遅いと感じる方もいらっしゃいます。
そこで、もっと早く収穫できるようにしたいという方におすすめなのが、2月の段階から保温または加温をしてイチゴを温めて、春のような気候を作り出すことです。
まず、保温の方法ですが、例えば小さなビニールハウスを建てたり、ミニ温室を使用したり、テラスのようなガラス張りの部屋があればそこを使用する方法などがあります。
これらの方法で、イチゴが低温障害を起こす0℃以下にならないように1℃以上を保つことができれば、最低限の保温環境を作り出すことが可能です。
但し、1℃以上というのはあくまで最低条件であり、この温度では低温障害こそ防げるものの、イチゴの生育を早める目的としてはまだ温度が低すぎます。
イチゴの生育を早くしようと思うと、少なくとも最低気温を5℃~8℃以上に維持する必要があります。
関東の寒い地域の場合、この温度を維持しようとすると、前述の方法に加えてさらに温度をあげる装置が必要になります。
例えば、電気を使って温風を出すタイプのものや、化石燃料を使用する小さなストーブのようなものなどがあります。
このような小型の暖房機具を使うことで、ビニールハウスやミニ温室ぐらいの規模の部屋を温めることができます。
あるいは寒い夜だけ室内に取り込んでそのまま保温したり、室内でエアコンを使用して保温するといった方法も有効です。
また、イチゴの生育を早める際の温度の注意点として、昼の温度は暖かい方がいいということです。
植物が光合成するのに最適な温度は23℃前後と言われています。
できれば25℃ぐらいまで上げることができると理想的です。
さすがに2月で昼間に何も加温をせずに25℃になることはありません。
そのため、理想的な温度を維持するためには、ミニ温室やエアコンなどの暖房器具が必須になります。
ここで紹介した方法で保温・加温をしっかり行うことができれば、おそらく2月中にイチゴの花が咲き、3月には収穫を開始して5月頃まで収穫することができます。
保温・加湿を行わない場合は、通常の栽培と同じで、3月中旬や下旬になってから花が咲くので、収穫ができるのは4月と5月だけということになります。
家庭菜園の中級者レベルの方で、かなり凝った栽培をしたいという方は、ぜひ挑戦してみてください。
1月下旬時点での実際のイチゴの生育状況
1月下旬時点での実際に家庭菜園で育てているイチゴの様子を紹介します。
プランターで育てているイチゴの株の様子
まずはプランターに植えてベランダで育てている株の様子です。
品種は東京おひさまベリーです。
露地栽培向けというとても珍しい品種で、家庭菜園でも育てられます。
葉の様子を確認すると、一部の葉が赤茶色や黄色っぽくなっているのがわかります。
中にはパリパリに乾燥して完全に枯れているものもありますが、中央部にある葉については緑色をしている状態です。
みなさんが育てているイチゴの株を確認して、このような状態であれば全く問題ありません。
それから葉の高さにも注目してみてください。
特に新しい葉などは地面とくっついているぐらい全体的に背丈が低いことがわかります。
これは休眠状態の証で、葉柄長と呼ばれる茎の部分が短くなっていたり、上に起き上がらずに下に低くなっています。
このように休眠状態に入ったイチゴには、そんなに肥料を与える必要はありません。
なぜなら、イチゴが成長をストップしているので肥料を必要としていないからです。
但し、水は必要ですので、水やりは行ってください。
2月下旬ぐらいになったら、変色してしまった葉は取り除きましょう。
このように変色してしまった葉については、指でつまんで揺すれば簡単に取ることができます。
これは、変色してしまった葉はその付け根の部分がイチゴの株とあまり繋がっていないからです。
つまりは光合成に全く貢献していないということが言えます。
緑色の元気な葉については、まだ維管束でしっかりと株と繋がっており、光合成した養分を株の方に伝えているので、無理矢理取らないようにしてください。
別の株についても様子を確認すると、少し虫食いの跡があるのがわかります。
おそらくは蛾の幼虫か何かだと思われます。
ただ寒さでその虫ももう生きてはいないと思われますので、この程度であればあまり気にしなくて大丈夫です。
2月上旬や中旬の寒い時期はほとんど何もしなくて構いません。
ポットのまま越冬したイチゴの苗の様子
こちらはポットのまま越冬したイチゴの苗の様子です。
いろいろな品種がありますが、大体どれも同じような状態です。
ドルチェベリーという品種の株については、花を咲かせて小さな実もできています。
とはいえ株も小さいですし、人工授粉もしっかり行わなかったこともあり、あまり良い状態の実ではありません。
このような実は、付けておいても株の負担になるだけなので、根元から取り除いてしまいましょう。
このように、まだ収穫しなくていいタイミングで変な形の実ができてしまった場合は、すぐに取り除くようにしてください。
下の写真は、恋みのりという品種で、丸っこくて大粒の実がなる品種です。
こちらももう花が出てきており、おそらく数日後には花が咲くと思われます。
このように2月に花が咲く場合もありますので、その際は0℃以下にならないように保温をするようにしましょう。
できれば5℃以上をキープするのが理想的です。
下の写真の株については、もう花が咲いています。
このように花が咲いているのを見ると、すぐに人工授粉をしてしまいそうになりますが、花の咲き始めは雄しべを触ってもまだ指に黄色い花粉が付かないため、まだ受粉ができません。
しっかりと黄色い花粉が出るのを確認してから人工授粉をするようにしましょう。
家庭菜園のイチゴ栽培で2月にやるべきことのまとめ
今回は、家庭菜園のイチゴ栽培で2月にやるべきことについて紹介しました。
家庭菜園初心者の方向けの内容から、ワンランク上を目指す中級者の方向けの内容まで幅広く紹介しました。
前提条件として関東の気候を想定した内容となっていますが、みなさんのお住まいの地域の気候に合わせて時期をずらすだけで、やるべきことは同じです。
イチゴの品種には一季成り性でも四季成り性がありますが、そのどちらにも共通した内容となっています。
また露地栽培でも室内やベランダなどでのプランター栽培でもほぼ共通した内容となっていますので、今回の記事を参考に、美味しいイチゴの実を収穫できるようぜひ2月頃から準備を進めてみてください。
動画でも紹介しているので、ぜひご覧ください。