いちごの二年株栽培で苗作りと植え替えコストを抑えて省力化できる!【株据置栽培, 2年栽培】

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今回は、イチゴの二年株栽培で苗作りと植え替えコストを抑えて省力化する方法について紹介します。

  • イチゴの二年株栽培って何?
  • 二年株栽培のメリットとデメリットは?
  • 苗作りと植え替えコストを抑える方法が知りたい

このような疑問や要望がある方は、ぜひ最後までお読みください。

目次

イチゴの二年株栽培(株据え置き栽培)とは?

イチゴの二年株栽培とは、その名の通りイチゴを二年間育てるという方法で、家庭菜園でも商業的な農園でも使える栽培方法です。

植物には一年草と多年草というものがあります。

一年草は一年で栽培が終了する植物のことで、多年草は何年も生き続ける植物のことを指します。

植物学的な分類ではイチゴは多年草の植物であるため、本来は何年も育てることができます。

ではなぜ家庭菜園や商業的な農園で、何年もイチゴを育てないのかと言うと、生産効率を上げたり、リスクを下げたりすることが目的であるためです。

植物としてイチゴは本来、二年以上育てることができますが、たくさん実を取ったり、病気や害虫などでイチゴが取れなくなるリスクを下げるために一年未満の栽培をしています。

イチゴの二年株栽培のメリットとデメリット

今回紹介するイチゴの二年株栽培は、イチゴを二年以上栽培する方法です。

一般的に、なぜ多年草であるイチゴを一年未満で栽培しているかについては前述の通りです。

そのため、イチゴの二年株栽培には以下の通り、いくつかのデメリットがあります。

  1. イチゴの収穫量が下がる可能性がある
  2. 病気や害虫などでうまく育たない可能性がある

以上の点に注意しましょう。

一方で、以下のようなメリットもあります。

  1. 苗を作る手間や植え替えコストが省ける
  2. 小さな苗よりも花芽分化がしやすくなる

一般的なイチゴの品種では、収穫量が下がることが多いですが、品種によっては二年株栽培のほうが収穫量が上がる可能性もあります。

また、イチゴの二年株栽培は、家庭菜園でも促成栽培でも夏秋イチゴ栽培でもどの栽培方法でも行うことができますが、特に家庭菜園や夏秋イチゴ栽培のほうが取り組みやすいと思います。

促成栽培の場合、イチゴの実を早く収穫するために夜冷短日処理などの花芽分化処理を行うのが一般的であるため、二年株栽培ではそのような処理がやりにくくなるという理由からあまりおすすめできません。

イチゴの二年株栽培の農薬について

二年株栽培を行う上のポイントとして、農薬に気を付ける必要があります。

農薬には様々な種類がありますが、農薬の種類によって使用回数や使用ルールが決まっています。

例えば、Aという農薬があったとして、その使用回数が3回と定められていた場合、イチゴを育てている間に3回まで使用することができるということになります。

当然ですが、この農薬の場合4回以上は使用できません。

このようなことから、二年株栽培の場合には農薬の使用回数が足りなくなるのではと思う方もいるかもしれません。

気を付けていただきたいのは、一般的に定められている農薬の使用回数というのは、一作の間の使用回数となります。

栽培している植物の一生の間ではなく、一年間での農薬の使用回数を定めたものになるので、一年目に農薬を3回使用した場合でも、二年目にもその農薬は3回使用できることが多いです。

ただし、農薬によって使用ルールが異なり、そうではない場合もありますので、使用方法を必ず確認してください。

また、途中で収穫をやめる期間を取った場合や途中に冬で生育がストップした場合などの条件があります。

これは他の作物での例を考えるとより分かりやすいと思います。

例えば、リンゴなどの果樹の場合、一年ごとに木を切るということはしません。

一度植えたら、10年や20年の間その木を栽培します。

もちろんリンゴに対しても農薬の使用回数は決められています。

例えばその回数が3回だったとすると、それも当然一生のうちで3回というわけではなく、一作のうちに3回ということになります。

※但し、温暖な気候の場所で二年間ずっと収穫しつづけたら、その二年で一作ということになります。

今回例に挙げた3回という使用回数は、あくまで例えであり、農薬の種類によっては一度しか使用できないものもありますし、使用回数が無制限のものもあります。

なので、農薬ごとの使用ルールを最優先に考えてください。

家庭菜園でのイチゴの二年株栽培

では実際に家庭菜園でどのようにイチゴの二年株栽培を行うかについて説明します。

家庭菜園の場合には、秋に苗を植えて、その苗から春もしくは初夏にイチゴの実を収穫します。

その後、夏に苗を作って、秋になったらその苗を植え付けます。

下の写真は今年の春に収穫が終わった株の様子です。

夏の間に苗を作って、今秋になりました。

通常であれば、この株は切って捨ててしまいます。

そして別の苗をここに植え付けて、来年の収穫に使います。

二年株栽培の場合には、この苗を取り終わったこの株をそのまま残しておいて来年の栽培に使います。

ただ残しておくだけなので簡単ではありますが、注意点がいくつかあります。

注意点1:異常が発生している株は抜き取る

まず一つ目の注意点として、異常が発生している株があればすぐに抜き取ってください。

特に炭疽病や萎黄病などの病気が発生している場合には、すぐに抜き取りましょう。

うどん粉病や灰色かび病でしたら、そのままでも大丈夫です。

注意点2:古い葉は摘み取る

古い葉がたくさん残っている場合、その葉も不要なので、この段階で古い葉も摘み取ってください。

脇芽もたくさん出ている場合には数を減らしておくのがおすすめです。

注意点3:冬の間は何もしない

冬の過ごし方についてですが、特に何もする必要はありません。

一度そこで栽培をストップするため、気温が低い屋外にそのまま置いておくので構いません。

そうすると冬の寒さや乾燥などで、葉の色が紅葉します。

そのような株も、翌年の春になれば回復してくるので特に気にする必要はありません。

イチゴは寒さに強い植物のため、-10℃ぐらいまでの気温であれば耐えることができます。

但し、極度に乾燥すると枯れてしまうのである程度の水分を与えてください。

注意点4:夏から秋にかけての苗作りをしっかりと行う

家庭菜園での二年株栽培の場合、秋に苗を植えて翌年の春に収穫した場合と、苗を作る時に使った親株をそのまま育て続けて翌年の春に収穫した場合で、親株のほうが「収穫量が多かった」、「実が大きかった」という意見をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。

このような場合、親株の生育が優れていたとも言えますが、逆に秋に植えた苗の生育が悪かったという可能性もあります。

このような現象になった場合は、秋にしっかりと苗を育てることを意識するようにしましょう。

まず夏の段階でいい苗を作っておき、秋の早めの段階でプランターや畑に植え付けて、しっかりと根を張らせて葉を大きく育ててください。

このような状態で冬を迎えさせることがとても大切です。

夏秋栽培でのイチゴの二年株栽培

次に夏秋栽培でのイチゴの二年株栽培について説明します。

夏秋栽培では、春に苗を植え付けて夏から秋に収穫をして、冬になれば収穫を終了します。

そして秋の間に苗を作っておいて、それを翌年の春に利用します。

二年株栽培を行う場合には、冬になってもその株を刈り取らずにそのまま残しておいてください。

そのまま残しておきますが、冬の間は保温や暖房などを行わずに一度栽培を完全にストップさせます。

ある程度の水分さえあれば、気温が-10℃ぐらいになっても問題ありません。

翌年の春になって気温が上がってくると、イチゴが再び生育を開始します。

そうなると二作目がスタートになります。

夏秋イチゴ栽培の場合にも古い葉は取り除いてください。

脇芽が多い場合も同様に取り除きましょう。

病気が発生している株あれば、それも取り除いてください。

促成栽培でのイチゴの二年株栽培

続いて促成栽培でのイチゴの二年株栽培についても説明します。

促成栽培の場合には、秋に苗を植えて冬から春に収穫します。

大体5月末から6月末ぐらいには、収穫を終えるところが多いです。

収穫を終えたら、一度そこで栽培をストップし、7~9月は果実生産を停止します。

(※株を植え替えるかそのまま窒素中断)

この栽培をリセットする期間については、肥料分を与えずに水だけを与え、窒素をできるだけ減らすことが重要です。

それから8月から9月の期間に室温が高くなってしまうと花芽分化がしにくくなるので、できるだけ室温を下げる工夫も大切です。

最近では、ハウス全体に夜冷処理ができる農業用のエアコンも使用されています。

5月末から6月末に収穫を終了した場合は、6~11月までの6カ月間は収穫がなくなります。

次に収穫が始まるのは、おそらく12月の頭からです。

地域や品種によっては、11月の中下旬から始まる場合もあると思います。

二年株栽培と葉齢

二年株栽培には葉齢が大きく関与しています。

葉齢とはその漢字の意味の通り、植物にとっての年齢と考えてください。

イチゴは、この葉齢が高ければ高いほど花芽分化しやすくなります。

人間に例えて考えると、年齢が低い子供や赤ちゃんの時には花芽分化しにくいということです。

それが年をとって大人になると子供ができやすくなるということです。

二年株栽培のメリットの一つとして、花芽分化しにくい品種を使った時に葉齢が高くなった状態で栽培ができるため、花芽分化がしやすくなるという点があります。

例えば四季成り性の品種で、なつあかりという品種があります。

この品種は非常に甘くて美味しい品種ですが、とても花芽分化しにくい品種のため、今ではほとんど栽培されなくなりました。

但し、この花芽分化しにくいなつあかりであっても、二年間の長期栽培をすると一年目よりも二年目のほうが収穫量が多くなりました。

これは前述したようにイチゴの葉齢が関係しているためです。

植物には早生・中生・晩生といろいろな早晩生がありますが、特に晩生の晩生品種に関しては、葉齢を上げてあげることで花芽分化がしやすくなります。

今、出回っている品種というのは、ほとんどが早生品種で、とにかくできるだけ早く花芽分化する品種が人気になっています。

なつあかりのように、花芽分化が遅い品種に関してはこの二年株栽培をして葉齢を上げることで花芽分化がしやすくなります。

このように花芽分化しにくい品種をできるだけ早く花芽分化させてあげたいという場合には、二年株栽培は有効だと思います。

但し、二年株栽培のデメリットの一つでもある収穫量の減少には、ここで説明した葉齢が関与してきます。

大人になると花芽分化しやすくなるという説明をしましたが、さらに成長してお年寄りになってしまうと、今度は生育自体が劣り花芽分化しにくくなってしまいます。

例えば早生の品種は、子供のころから花芽分化しやすく、大人になっても花芽分化して、お年寄りになると花芽分化しにくくなります。

イチゴの品種の中には一年目よりも二年目のほうが収穫量が減るという品種もあります。

また、一年目よりも二年目のほうが収穫量が増えるものの、三年目には収穫量が減るという品種もあります。

最終的に二年株栽培が向いているかどうかは、イチゴの品種それぞれの特徴を見極めることが大切です。

害虫の駆除も重要

イチゴを栽培する中で、ハダニなどの害虫に悩まされている方もいると思います。

一作目の栽培で害虫の駆除ができていないと、その害虫が二作目にも発生します。

そのため二年株栽培においては、害虫の駆除も重要です。

イチゴの二年株栽培で苗作りと植え替えコストを抑えて省力化する方法についてのまとめ

今回は、イチゴの二年株栽培で苗作りと植え替えコストを抑えて省力化する方法について紹介しました。

このように二年株栽培には様々なメリットとデメリットがあります。

今はほとんど利用されていない技術ではありますが、ある一定の条件でれば有効な栽培方法だと思います。

特に花芽分化が遅い品種を栽培する場合には、この二年株栽培を試してみてはいかがでしょうか?

動画でも紹介していますので、ぜひご覧ください。

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