今回は、いちごとトマトの植え方と植える向きについて紹介します。
- イチゴやトマトを植えようと思っているが、どの向きに植えたらいいのかわからない
- 一応知っているつもりだが、自分の知識が本当に正しいのかどうか確認したい
このような疑問や要望がある方は、ぜひ最後までお読みください。
トマトを植える向き
まず、トマトを植える向きについて紹介します。
簡単に言うと、最初に咲いた花が収穫しやすい向きに植えるのが正解です。
スライドを使った説明
下のスライドは、トマトの株を上から見た様子を表したものです。
葉が3方向に出ていて、それとは別の方向に実がなっています。
葉と葉の角度は90度または120度と言われています。
その理由は、この葉と葉の間に実が入ってくるからです。
次のスライドは、トマトの株を横からみた様子を表したものです。
このように、トマトが正常に育った場合、実と実の間に3枚の葉ができます。
葉が3枚できたあとに実ができるので、実ができる方向は常に同じ角度になります。
つまり、一番最初に咲いた花を収穫しやすい方向に植えると、その後にできた実も全て収穫しやすくなります。
地面に植える場合、一番最初に咲いた花を通路側に向けてください。
植木鉢やプランターに植える場合は、一番最初に咲いたが収穫しやすい向きになるように植えます。
ミニトマトの株を使った説明
次は実際に袋栽培で育てているミニトマトの株を使って説明します。
まずトマトの株の栄養診断をしてみましょう。
例えば、一番上の花が開花した場所、それからそこの茎の太さを調べることで栄養診断をすることができます。
その栄養診断をしたうえで、実際に追肥をしたほうがいいのかを判断してください。
下の写真は脇芽の様子です。
説明するのにわかりにくいので、今回はこの脇芽を取り除きます。
すると下の写真のように、花が咲いた後に3枚の葉っぱが展開し、さらにその上に花が付いているのがわかります。
これが正しく生育しているミニトマトの株の状態です。
花が咲いている方向を見ていくと、下の花も上の花も同じ方向に出ていることがわかります。
このまま順調に生育していくと、花は常にこの方向に発生します。
葉の角度を見てみると、下の3枚は120度の角度で葉が出てきています。
上の葉を見てみると、約90度の角度で葉がでていることがわかります。
トマトだけでなく、いちごにも共通することですが、これは一本仕立てで育てた場合の特徴です。
例えば二本仕立てにしたり、脇芽を放任して育てた場合などには状況が変わってきます。
ストローで作ったトマトの模型を使った説明
今度はストローで作った模型を使って説明します。
白い部分がトマトの茎、水色がトマトの葉、赤がトマトの花を表しています。
下の花が咲いた後、3枚の葉が展開し、下の花と同じ方向に花が咲きます。
これを繰り返しながらトマトはどんどん上に成長していきます。
上から見るとこんな感じです。
いちごを植える向き
次はいちごを植える向きについて説明します。
まず結論を言うと、親株と繋がっていたランナーの反対側を収穫しやすい方向にして植えるのが正解です。
このいちごの植え方についてはウェブサイトや本などで紹介されていることも多く、既に知っているという方も多いと思います。
但し、その理由については間違った解釈をされている場合があるので、ここではその理由についても詳しく解説していきます。
よくある間違いの一つが、いちごの親株のランナーの反対側に花が出るのでランナーの反対側を収穫するという説です。
親株のランナーの反対側に花が出るというのは実は間違いです。
解釈自体は間違っていますが、親株のランナーの反対側を収穫しやすい方向にして植えるというのは正解です。
スライドを使った説明
下のスライドは、いちごの株を上から見た様子を表したものです。
このようにいちごの葉は5つの方向に伸びます。
その葉に2/5の葉序で葉が出ます。
2/5というのは、5つの方向に1つ飛ばしで葉が出るということです。
また花房については、葉の付け根から発生しているように見えるため、花は葉の付け根から出るという解釈をされている場合が多く見受けれられますが、これは間違いです。
いちごの花は、一番上の成長点、つまり茎の先端で発生します。
そしてその下の脇芽が主芽の代わりに成長していきます。
下のスライドは、いちごの株を横から見た様子を表したものです。
いちごは茎が短い植物のため、葉と葉が重なって茎がないように見えますが、実際には茎があります。
このスライドでは、わかりやすくするために茎の部分を長く伸ばして表示しています。
そうすると、いちごの葉はそれぞれ5つの方向に順番に発生していることがわかります。
そして、葉の根本あたりから花房が出ているように見えます。
また、いちごは生育が順調な場合には、花と花の間に3枚の葉を発生させます。
実ができた後に、葉が3枚発生し、その後花が発生するという感じです。
つまり、いちごの葉は2/5の葉序で、花の間に3枚の葉が発生するということです。
そのため、花が出る方向は毎回違います。
このとことから、前述した親株のランナーの反対側に花が出るというのは間違いであることがわかります。
いちごの株を上から見てみると、いちごの実は全ての方向に発生する可能性があります。
さらに、いちごの株を育てる場合、一本仕立て、もしくは複数の芽を育てる二つの方法があります。
一本仕立ては、脇芽を全て取り除き常に一本だけを育てていく方法です。
複数の芽を育てる場合は、2つ以上の芽を放任栽培して、たくさんの芽を同時に育てる方法です。
それぞれの芽が5つの方向に花を出す可能性があるため、360度すべての方向に花を出す可能性があるということです。
ではなぜ親株ランナーの反対側を収穫しやすい方向に植えた方がいいかというと、その方向に茎自体が傾いているためです。
茎の主軸自体が一方向に傾いているため、どの角度に花が出てもそちらに向きやすいということが、親株のランナーの反対側を収穫しやすい方向にして植える根拠となります。
いちごの株を使った説明
今度は実際の株を使って説明します。
この株は脇芽がたくさん発生しており、かなりわかりにくい状態になっています。
(※下の写真のいちごの品種は何でしょう?答えは記事の最後に発表します。)
いちごは一つの芽だけで栽培することもありますが、家庭菜園の場合は二つ以上の芽を残すことが多いため、このようにわかりにくい状態になってしまいます。
例えば下の写真の場合、手前の花は左手前に発生していますが、奥の花は右奥に向かって生えています。
さらに一番奥にある花は、右奥に向かって生えています。
その他にも左側に向かって生えている花もあります。
このように、いちごの花は360度いろんな方向に花を出します。
下の写真は、いちごの株を真上から見た様子です。
中心部分からいろいろな方向に花が伸びているのがわかると思います。
このようにいちごの花は一つの方向に花を咲かせるということはありません。
特に芽の数が多いとそれが顕著です。
一つの芽だけで栽培した場合にも、いろいろな方向に花が発生します。
ストローで作ったいちごの模型を使った説明
次にストローで作った模型を使って説明します。
青い部分がいちごの茎、白い部分がいちごの葉を表したものです。
いちごは、親株と繋がっていたランナーを5~10㎝くらい残して切ります。
そうすることで、親株方向の目印として残すことができます。
また、いちごの苗は植え付けをしたときに茎が斜めになるという特徴があります。
ランナーとは反対側に傾いて茎が成長していくため、ランナー跡の反対側を収穫する方向にしておくと、どの方向に花が出ても収穫作業がしやすいということになります。
さらに赤いストローを追加して、花の部分を追加しました。
例えば、一番下の葉の付け根から花が出ていたとすると、生育が順調であれば、間に3枚葉が出てからその付け根に次の花が咲きます。
下の写真は、模型を真上からみた様子です。
こうしてみると、最初に出た花と2番目に出た花の方向が全然違うことがわかります。
もちろんこの後に咲く3番目の花の位置もまた別の方向にずれて発生します。
このようにいちごは360度いろいろな方向に花が出ます。
ちなみにこれは、一つの芽だけを栽培した場合例で、実際には、いちごの芽は複数で栽培することが多いです。
下の写真は3つの芽でいちごを育てた場合の模型です。
中心にある青いストローが主芽で、そこから出ている別の2本の青いストローが脇芽を表しています。
このようにそれぞれの脇芽の葉の付け根からも花が出ている状況になります。
真上から見るとわかるように、芽が3つになると、360度いろいろな方向に花が伸びているのがわかります。
実際のいちごの株はこのような状態になっているのがほとんどです。
また、芽が複数になると、花が出る方向もかなり複雑になってきます。
通常、主芽はランナーの反対側に向かって伸びていきますが、そこから発生する脇芽は、場合によっては主芽とは全く違う方向に向かって伸びていくこともあります。
こうなってしまうと、主芽自体が収穫しやすい方向へ向いても、別の方向に伸びた脇芽の花は、収穫しやすい方向へは向かなくなってしまいます。
脇芽を強引に収穫しやすい方向へ向けようとすると、茎が折れてしまったり、花房が折れてしまい収穫が出来なくなってしまいます。
そのような場合は、無理に方向変えることはせず、脇芽が伸びた方向へそのまま伸ばすようにしましょう。
このように、いちごは複数の芽を栽培した場合、どんなにがんばっても全ての芽を収穫しやすい方向へ伸ばすということはできません。
できるだけ斜めに植え付けをして、主芽自体を収穫したい方向へ傾けることである程度全体を収穫しやすい方向へ向けることはできますが、どうしても収穫しにくい花房はできます。
また、いちごの特徴として、葉の付け根から花が出るため、脇芽が花になったと思われる方がいますが、実際には茎の一番先端部分で花芽分化しているため、人間の目にはそれが葉の付け根から出ているように見えているだけです。
主芽が花芽分化すると、そこから出た脇芽が主芽に代わります。
一本の芽を育てているつもりでも、実際には芽はどんどん入れ替わっています。
花が咲くと、その芽はもう葉を発生させなくなるので、その脇芽が葉になり、そこからまた花が分化してそこからまた次の脇芽が発生するというサイクルを繰り返していちごは成長していきます。
一本仕立てと言っても、実際には複数の芽がリレーをしています。
いちごとトマトの植え方と植える向きについてのまとめ
今回は、いちごとトマトの植え方と植える向きについて紹介しました。
実際の株、スライド、模型の3つの方法で詳しく説明をしました。
いちごもトマトも植える方向を正しい方向に向けた方がその後の収穫作業が楽になるので、植える向きを間違えないように気を付けてください。
プランターや植木鉢に植えた場合には、容器の向きを変えることによって、多少収穫作業がやりやすくなると思います。
さて、途中で出題したいちごの苗の品種についてですが、実はこれはいちごではありません。
正解はワイルドストロベリーでした。
ひっかけ問題失礼しました。
動画でも紹介していますので、ぜひご覧ください。