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いちごの人工授粉のやり方とコツ、受粉の注意点【花が咲いた日は受粉できない】

イチゴの人工授粉_開花初日は受粉できない

今回はイチゴの人工授粉のやり方について解説します。

家庭菜園でイチゴを育てている人の中には、人工授粉がうまくいかないという方が多いようです。

人工授粉のタイミングや使う道具などを紹介していますので、ぜひ綺麗なイチゴ作りに挑戦してみてください。

  • 人工授粉しているのに綺麗なイチゴがならない!
  • 売られているイチゴはどうやって受粉しているの?

という方におすすめの記事です。

商業的な農園で行うイチゴの人工授粉と家庭菜園の場合

商業的にイチゴを栽培している農園では、どのようにしてイチゴを受粉させているのでしょうか?

商業的な農園でイチゴの人工授粉をする場合

一般的な農園でイチゴの受粉をする場合、一番多いのはセイヨウミツバチを使うことです。

イチゴの人工授粉_セイヨウミツバチ

セイヨウミツバチを使うことが多いですが、最近はマルハナバチというミツバチも使います。

それから最近では、ハエを使う方法も取り入れられています。

イチゴの人工授粉_B FLY

イチゴの人工授粉で使用するハエについてはこちらの動画で紹介されています。

この3つ以外にも、例えば風が吹くことで受粉されたり、人の手で触ったり、衝撃を与えることで受粉が行われています。

商業的な農園では

  1. セイヨウミツバチを使う
  2. マルハナバチというミツバチも使う
  3. ハエを使う
  4. 風が吹いて受粉される
  5. 人の手で触ったり衝撃を与えて受粉している

上記の5つの方法を使って受粉が行われています。

家庭菜園でイチゴの受粉はうまくいくのか?

家庭菜園ではこの5つの条件が揃いません。

例えば、家庭菜園でもミツバチがたくさん飛んで来るような場所であれば、わざわざ人工授粉しなくてもいいかもしれません。

ただ、家庭菜園では自然のままに任せていても、受粉がうまくいかないということが多いです。

イチゴの人工授粉_家庭菜園では難しい

なので、家庭菜園では人工授粉をした方が綺麗な実が成りやすいです。

実際のイチゴの様子

実際のイチゴの花を見ながら、雌しべや雄しべの説明します。

イチゴの雌しべと雄しべ

こちらのイチゴの葉っぱに点々が出ています。

これはハダニが発生しているからです。

イチゴの人工授粉_ハダニ発生

これがイチゴの花です。

イチゴの人工授粉_雌しべと雄しべ

花の真ん中にある小さな点々が雌しべ、外側にある大きな丸いものが雄しべです。

白いものが花びらです。

咲いて数日経った花です。(おそらく咲いて4日目くらい)

今日もしくは明日には、白い花びらが落ちて下の花のような状態になります。

雌しべが受粉していればツブツブが大きくなりイチゴの種になます。

そして、内側の花托(かたく)がイチゴの赤い実になります。

雄しべはこのまま落ちて、存在しなくなります。

イチゴの受粉について

人工授粉をする前に、イチゴの受粉について解説します。

イチゴの受粉のポイント①温度

雌しべと雄しべは温度が低すぎたり高すぎたりすると死んでしまって、機能を停止してしまいます。

なので、受粉に適する温度でイチゴを管理してあげることが大切です。

雄しべより雌しべが温度に敏感です。

受粉に最適な温度は大体15~28の温度域です。

ミツバチ活動や花芽分化は無視

なので、例えば3以下や40以上ぐらいの温度になると、雌しべもしくは雄しべが死んでしまって受粉ができなくなります。

すごく低い温度やすごく高い温度になると、いくら人工授粉をしてもミツバチが受粉しても、イチゴは受粉ができません。

その結果、全然収穫ができなかったり非常に変な形の実が収穫されます。

なので、家庭菜園の場合は温度を15~30くらいに保つ事を心掛けてください。

夏場に四季成り性のイチゴを育てるなら温度を下げるために遮光を使ったり、春先ならビニール被覆や暖房をして温度を保たなければいけません。

2030の間をずっとをキープしなければいけないわけではないので、夜間は10くらいになっても構いません。

日中の温度として2030くらいをキープしてあげてください。

イチゴの受粉のポイント②タイミング

私の想像ですが、家庭菜園で人工授粉をしている人は、イチゴの花が咲いた日に人工授粉をしているのではないでしょうか?

イチゴの花が咲いた日に人工授粉をしたくなる気持ちはわかります。

しかし、開花した1日目は人工授粉がうまくいきません。

イチゴの人工授粉_開花初日は受粉できない

なぜかというと、開花した1日目の雌しべは受粉する能力を持っていますが、外側の雄しべにはまだ受粉させる能力がないからです。

咲いた1日目は雄しべから花粉が出ていません。

なので、イチゴの花が咲いた1日目に刷毛や筆などで人工授粉をしても、刷毛や筆に花粉が全く付かないので人工授粉ができていません。

ではどうしたらいいのかというと、イチゴの花が咲いてから24日目までの間に人工授粉をしてください。

イチゴは「雌ずい先熟」

イチゴは「雌ずい先熟」といわれています。

「雌ずい先熟」とは、雄しべよりも雌しべの方が先に熟す、受粉させる能力を持つという意味です。

イチゴの雌しべは花が咲く1日前から受粉させる能力を持っています。

ただ、雄しべは花が咲いた2日目から受粉させる能力を持ちます。

このギャップのせいで人工授粉がうまくいかないのではないかと私は予想しています。

イチゴの受粉のポイント③花が落ちるまでに人工授粉する

この花を見ると、白い花びらが落ちそうな状態になっています。

これは花が咲いてから、4日目ぐらいになると思いまます。

イチゴの人工授粉_花びら落ちたら受粉できない

花びらが落ちると受粉ができなくなります。

なので、この花は今ギリギリの状態です。

少なくとも花びらが落ちる前に人工授粉を行ってください。

イチゴの受粉のポイント④花粉が出ていることを確認する

人工授粉を成功させるためには、花粉がしっかり出ていることが重要です。

なので、花粉が出ていることを確認してから人工授粉を行ってください。

例えば、黒い綿棒を雄しべにつけてみます。

そうすると、こんな風に綿棒に黄色い花粉が付いています。

イチゴの人工授粉_綿棒についた花粉

このように、雄しべから花粉が出ていることを確認してから人工授粉をしましょう。

花びらが残っていて雄しべから花粉が出ていれば受粉できます。

なので、あとは柔らかい筆などで人工授粉をしてください。

イチゴの花粉が出るタイミングは温度や品種など色々な条件で多少前後します。

なので、花粉が出ていることを確認してから人工受粉するのがおすすめです。

イチゴの人工授粉に使う道具

イチゴの人工授粉に使う道具を紹介します。

例えばこんなものです。

イチゴの人工授粉_耳かき

これは100円ショップで売っている耳かきです。

耳かき棒に柔らかい毛が付いているものがおすすめです。

こちらは女性がお化粧するときに使うフェイスブラシというものです。

イチゴの人工授粉_フェイスブラシ

こういうものも毛が非常に柔らかいのでおすすめです。

毛が硬いものを使うと雌しべを傷つけるので、毛が硬いものは使わないようにしてください。

イチゴの人工授粉のやり方

人工授粉のやり方は、まず花粉が出ていることを確認します。

次に筆で優しく円を書くように、雌しべに花粉を付けるように動かしてください。

イチゴの人工授粉_優しく円を書く

ひとつの花だけだと花粉が取れないかもしれないので、複数の花を一緒に人工授粉してください。

あまり強く押さえると雌しべが痛んだり、雄しべが折れてしまうので優しく作業してください。

イチゴの人工授粉が成功したか確認する方法

この花はもう咲き終わっています。

人工授粉が成功した場合は、一個一個のツブツブが大きくなります。

イチゴの人工授粉_雌しべのツブツブ

売っているイチゴの赤い実についているツブツブくらいに大きくなります。

もし人工授粉がうまくいっていない場合は、ツブツブが大きくならず、小さいままになります。

なので、人工授粉がうまくいっていない部分とうまくいっている部分がある場合は、うまくいっている部分の粒だけ大きくなり、果肉が膨らみます。

そして、人工授粉がうまくいっていない部分だけ粒が大きくならずに果肉が膨らまず、歪な形になります。

イチゴの人工授粉_歪なイチゴ2

人工授粉うまくいったかどうかは、ツブツブが大きくなったかどうか判断してください。

人工授粉で重要なのは、雄しべから出た花粉を雌しべにつけることです。

雌しべの点々全てに花粉を付けるのが正しい人工授粉のやり方です。

人工授粉した後のイチゴのツブツブの様子はこちらの動画で紹介しています。

なぜミツバチはイチゴの受粉できるのか?

ミツバチは花の蜜を吸うため、花にやってきて中で動き回ります。

そうすることで、ミツバチの体についた雄しべの花粉が雌しべにつきます。

花の中でグルグルと動き回るので、雌しべ全体に花粉がついて受粉が成功します。

ただ、実はイチゴの花から蜜は分泌されていません。

なので、ミツバチは蜜を吸いに来たけれど、全然蜜は吸えずに受粉だけをしているということになります。

例えば、風で受粉できたり、衝撃で受粉ができるのは雄しべから分泌された花粉が風や衝撃によって雌しべにつくから受粉できます。

ただ、風や衝撃では綺麗に全体には受粉ができないので、やはりミツバチを使ったり、あるいはハエを使ったりすることが重要になります。

イチゴが変な形になる原因は様々

ここから先は少しややこしい話になります。

家庭菜園で変な形のイチゴができた場合、その原因が100%全て人工授粉の失敗によるものとは限りません。

実は他にも要因が考えられます。

例えば、乱形果、先青果、先白果、先づまり果、鶏冠果などの奇形果があります。

イチゴの人工授粉_歪なイチゴ

これらの原因は、人工授粉がうまくいかなかったことではありません。

そもそも花や雌しべ自体に問題があり、変な形になった可能性があります。

ゴツゴツした形や先端部分だけ受粉がうまくいかなかった実は、人工授粉がうまくいかなかった可能性もありますが、雌しべ自体に問題があった可能性もあります。

また、イチゴの生育が非常に悪い場合は、花粉の受粉能力が低い場合もあります。

イチゴの品種によって、花粉の量が少ない品種もあります。

それから先ほど説明したように、人工受粉がうまくいったとしても、温度が非常に低すぎる、もしくは高すぎた場合には受粉がうまくいかなくてきれいな実ができない場合もあります。

【家庭菜園のいちご】人工授粉のやり方とコツ、受粉の注意点をプロが解説のまとめ

今回はイチゴの人工授粉のやり方をご説明しました。

家庭菜園でイチゴの人工授粉をする場合は、温度とタイミングに気をつけて行ってみてください。

イチゴの花が咲いてから24日目までの間に人工授粉するのがおすすめです。

今回の内容は、こちらの動画で説明しています。ぜひご覧ください。