今回は、ミニトマトを房どりするコツとおすすめの品種をご紹介したいと思います。
- ミニトマトを房どりしたい
- 房どりするにはどんな品種を選べばいいの?
- 房どりをするコツは?
という方におすすめの内容です。
トマトの房どりとは?
房どりとはミニトマトを一個ずつ収穫するのではなくて、一房まるごと収穫する収穫方法のことです。
ここに私が房どりしたミニトマトがあります。
三つの房があります。
実が一番多いのがこれです。
こんな感じです。
たくさん実がなっています。
このように房どりですとボリューム感があって見た目がゴージャスなので「私も房どりをした~い」と思っている方も結構多くいらっしゃると思います。
房どりは家庭菜園でも人気ですし、商業的なトマト農家でも人気の収穫方法です。
この収穫方法はいくつかコツとか品種の選定などが重要になりますので、今回はそちらをご紹介します。
トマトの房どりのメリット
房どりは日本だとまだまだ少ないんですが、欧州のトマト農園だとかなり増えているそうです。
なぜかと言うと、収穫作業とかその後のパック詰め作業とかがすごく省力化できます。
一個一個収穫したら時間がかかってしまうと思いますが、バツンって一回で採ったら何十分の一の労力で済みます。
その後の選果とかパッキングとかを考えてもこっちの方が圧倒的に効率的です。
例えばオランダみたいな大規模な施設園芸の所だと房どりがすごく増えているそうです。
日本ですとまだまだ房どりが多いとは言えないですが、房どりだと付加価値が付いてパッケージとかもすごく特徴的になります。
他のミニトマトは一個ずつスーパーで売られているのに、房がついた状態で売られているというのはそれだけで高い値段で販売できたりします。
それからもちろん先ほど言ったように省力化ができるということもあるので、日本でも少しずつ増えてきています。
あとは単純に家庭菜園でやっている人にとったら、見栄えがいいですよね。
ミニトマトの種のパッケージにある写真はだいたい房どりの全部真っ赤になった写真ですよね。
これにすごい憧れてやろうと思うけど、実際はうまくいかない人が多いんじゃないかなと思います。
今回私はこの房どりを狙ってやりました。
やっぱり房どりをやろうと思ったら、最後の収穫の時だけやるよりは最初から房どりを狙って育てるというのが必要だと思います。
トマトの房どりの3つのコツ
ここからは具体的に房どりのコツを説明していきます。
コツは主に三つあります。
- 肥培管理
- 収穫方法
- 品種選び
これを順番に説明していきます。
①肥培管理(肥料や水のお世話)
まずは肥培管理からいきます。
肥培管理は、どうやって栽培をしたのか?
特に肥料についてです。
関連するところで土とか水とか肥料関連、生育関連の話をしたいと思います。
トマトの果房の種類
まず今回この房どりを見てもらった時に三つの種類があるんですが、皆さん分かるでしょうか?
まず通常のミニトマトはこれです。
これはシングル果房と呼ばれている状態です。
真ん中に果房の幹が一本あって、その両側に実がついている。
この幹が一本だけありますよね。
これがシングル果房です。
それからこれを見てください。
この幹が二つに分かれています。
2本あります。
これはダブル果房という風に言います。
果房がダブルだからダブル果房です。
これを見ていただくと、果房が三つに分かれています。
なのでこれはトリプル果房という風に言います。
これが果房の種類です。
シングル、ダブル、トリプルとあります。
これは見ていただければ分かると思いますが、ダブルとかトリプルみたいに数が多い方が見栄えがいいですよね。
見栄えが良い房どりをしようと思ったら、できるだけトリプル果房とかダブル果房を作りたいです。
シングル果房でもいいですが、ゴージャス感が出ないのでできればダブル果房ぐらいがいいかなと思います。
ではどうやったらシングル果房じゃなくてダブル果房やトリプル果房になるのかと言いますと、肥培管理が重要です。
トマトの樹の栄養状態が良い時ほど、ダブル果房とかトリプル果房が出やすくなります。
逆に樹が弱ってくると、シングル果房しか出てきません。
今回も一番最初に出た花はトリプル果房でした。
その後ダブル果房になって、その次はシングル果房という状態になっていました。
やっぱりトマトの場合、実がなると樹に負担がかかるので次に出てくる花は数が減ってしまいます。
それから果房の幹の本数が減ってしまいます。
3本だったのが2本になって、1本になるという感じです。
なので肥培管理でできるだけトマトにとって良い環境を作って、樹の勢いをしっかりと充実させてダブル果房やトリプル果房を作るというのが一つのコツです。
トマトの茎の太さをチェックして追肥が必要かどうかを見極めようという内容です。
大体一番上の成長点から15cm下ぐらいの茎の太さが1cmcぐらいあればそれは良い状態です。
それを保てるように、それよりも細かったら追肥をしてください。
肥料の与えすぎも良くないです。
与えすぎも良くないし少なすぎも良くなくて、そのギリギリのところを攻めていけるとトリプル果房とかダブル果房が出てきます。
ただこれは品種によってもかなり違っていて、そもそもダブル果房が出てこないとかこんなに実がつかないとか、そういった違いもあります。
なので品種の選定も大事です。
品種については後で説明します。
トマト栽培の土の量と株間
プランターの土や地面に植えた場合の株間も重要になってきます。
まずプランター栽培の場合には、プランターの容器は大きい方が良いです。
小さくてもできないことはないんですが、技術を必要としますので基本的にプランターの土は多い方が良いです。
例えば今回私は5ガロンの不織布の袋を使って栽培をしました。
5ガロンはだいたい19Lぐらいの容量です。
ただ土を満杯に入れたわけではないので実際の土の量はもう少し少ないかなと思います。
それでも一株に対して土の量は15L以上あった方が育てやすいと思います。
地面で植える場合にもトマトとトマトの間隔を広めにとってください。
その方が葉っぱの重なりがなくなって日当たりが良くなりますし、根っこの生える範囲も重ならなくなって肥料の吸収も良くなります。
それからトマトの樹の成長のためには元肥をしっかり入れることが大事です。
追肥ももちろん与えてください。
私は大体2週間に1回ぐらいのペースで追肥を与えていました。
肥料は有機肥料でも化成肥料でもどちらでも構いません。
私も両方使っていました。
トマトの良い苗を作る
それからここからは基本的な話になるんですが、まず良い苗を作るのも大切です。
貧弱な苗ですとその後の生育もあんまり良くないです。
私はホームセンターで苗を購入して作りました。
家庭菜園初心者の人ですと苗を作るのは少し難しいので、ホームセンターで苗を購入するのが良いと思います。
家庭菜園のベテランの人とか農家の人でしたら自分で苗が作れると思いますので、種を買って苗を作って育ててください。
それから直射日光がたっぷりと当たる場所も大切です。
直射日光がたっぷり当たれば光合成がたくさんできて、その分花に養分が送れるからダブル果房やトリプル果房になったり実の数が多くなります。
直射日光が当たることでより色付きが良くなって、房どりがやりやすくなります。
水はたっぷりと与えてください。
トマト栽培はわざと水の量を減らして、節水栽培をしてフルーツトマトを作る方法もあります。
ただこの房どりを狙った時に節水栽培をしてしまうとあんまり良くないので、房どりをする時には水をたっぷりあげた方がいいです。
脇芽の管理については、房どりを狙うのであれば放任栽培とか芽の数を多くする栽培ではなくて脇芽は全部取って一本だけにする一本仕立てがいいと思います。
こちらの株も一本仕立てで育てました。
それから成長点がある程度高くなったら、摘心をするのも良いと思います。
摘心をしますとトマトが光合成で作った養分を成長点ではなくて、花の方に送るようになりますのでより色付きが早くなる効果があります。
②房どりトマトの収穫方法
では次に収穫方法について説明します。
収穫方法は咲いた花すべてを一度に収穫する方法もあります。
ただそれは難易度が高めです。
なのでもう少し房どりをやりやすくする方法をご紹介します。
果房の花の数を調整する
一つ目は果房の花の数を調整する方法です。
ここにたくさんの実がなっていますがこれを全部房どりしようと思わずに、この辺は花の段階で切ってしまう方法があります。
そうすると上と下の熟し具合の期間の差が短くなりますよね。
上の方が腐ってしまうとか割れてしまうとかそういう問題が起きにくくなります。
ここが長ければ長いほど時間がかかってトラブルが起きやすいです。
なので先端の部分は花の段階で落としてしまう方法がお勧めです。
先端の実を先に収穫する
もう一つの方法は、先端を落とすのではなくこっちを先に収穫してしまう方法です。
例えば上の方だけは房どりではなくて一個ずつで収穫をしてしまって、この辺りだけ房どりをするという方法もあります。
とにかく上から下までのこの距離をできるだけ短くした方が失敗しにくいです。
果房全体を袋がけをする
それから私は使わなかったんですが、袋がけをする方法もあります。
袋がけをする場合には透明な袋を用意して頂いて全体をすっぽりと覆います。
穴が開いていないと蒸れてカビが生えてしまうので、必ず穴を開けるようにしてください。
こうしますと太陽の光が当たった時に袋の中の温度が少し上がって、色付きが早くなります。
そうすると、上と下の色付きの差が縮まるので上の方が割れたり腐ってしまうなど問題が起きにくくなります。
実がオレンジ色の段階で収穫する
もう一つの方法は、先端の部分がオレンジ色の段階で収穫をしてその後追熟をさせて全体を赤くする方法です。
まさに今回私もそれに近い方法でして、実の先端はまだオレンジ色とか緑色の部分もあります。
この状態で収穫してしまっても数日は置いておけますので、その時にこの辺の実が赤くなるのを待つという感じです。
ただこの辺の完全に緑の実についてはもう赤くならないので、切って落とした方がいいと思います。
全部の実を完璧に房どりするのは難しい
それからトリプル果房の房を見ていただくと、先端もオレンジ色になっていましてかなり熟している状態というのがわかると思います。
ただ実はよくよく見ていただきますと、例えばここの実はちょっと腐ってしまっています。
やっぱり一番先端まで赤くなるのを待つと、上の方は腐ってしまいます。
あとはこの辺の実はもう落ちています。
収穫したものもあるし、落ちてしまったものもあります。
なのでやっぱり一番上から一番下まで全部を完璧に房どりはなかなか難しいです。
一番上から下までという意味だと、最初に出たトリプル果房よりもシングル果房とかダブル果房の方が揃いが良く綺麗な状態になっています。
③トマトの房どりの品種選び
次に品種について説明します。
この房どりをしようと思うと、品種選びもとても大切です。
まず大前提としてトマトには大玉トマト、中玉トマト、ミニトマトの3種類があるんですが房どりがやりやすいのは中玉トマトです。
その次にやりやすいのがミニトマトです。
今回この品種はミニトマトです。
なぜ中玉トマトが房どりがやりやすいかと言いますと、果房につく実の数が少ないからです。
なので最初になった実と、最後になった実の時間差が少なくなって房どりがしやすいです。
ミニトマトは数が非常に多くて花が咲く時期のズレが大きいので全部を均一に熟させるのが非常に難しいです。
房どりがしやすいトマト品種
房どりがしやすい品種をご紹介します。
ミニトマトの品種
- ナイヤガラスイート
- ルージュ・ド・ボルドー
- 小鈴
- キャロル7
中玉トマトの品種
- カンパリ
- シンディースイート
- 鈴姫
この辺りの品種が房どりがやりやすいと言われている品種です。
薄皮ミニトマト ピンキー
ただ私が使った品種はこれとは別のものです。
では今回この房どりができたミニトマトの品種をご紹介したいと思います。
その品種は薄皮ミニトマト ピンキーです。
この薄皮ミニトマトのピンキーが房どりに向いている理由の一つ目は、ダブル果房やトリプル果房ができやすい品種です。
シングル果房よりはもっと見栄えが良くなります。
これ一つポイントです。
2番目のポイントは実の数が多いことです。
この一つの果房に対して着く花の数が多いです。
なので房どりした時に非常にボリューム感がある、ゴージャスな感じになります。
このシングル果房のものであってもたっぷり着いています。
15個ぐらい実が着いてます。
こっちだと24個ぐらい着いてます。
これはもうもっとですね。
30~40個ぐらいは元々着いていたと思います。
この実の多さも大切です。
一番のポイントは薄皮のミニトマトで、割れが出にくい品種であることです。
ピンキーは薄皮が特徴の品種です。
ミニトマトは皮がしっかり硬い品種もありますよね。
これは薄皮品種です。
薄皮と聞くと割れやすいかな?と思うんですが、意外と割れにくいです。
なので今回これだけ房どりをして時間をかけて、この上の方の実はかなり過熟に近い状態になっているんですが割れはほとんど発生していません。
ただ絶対に発生しないというわけではなくて、割れが発生しているものもあります。
こちらのピンキーを作った会社さんはナント種苗株式会社さんです。
ナント種苗株式会社さんといえばピノガール
ナント種苗さんといえば私の中では種まで食べられる小玉スイカのピノガールの会社さんとしてのイメージがあります。
昨年私はピノガールを育てていまして、実がなったんですが引っ越しをした関係で途中で腐ってしまいました。
今年もピノガールを袋栽培で育てていまして、今のところこれぐらいのサイズの実が4個ぐらいなっています。
まだ収穫には早いのでもうちょっとおいておかなければいけないんですが、今年はこのままうまくいけばピノガールが4個ぐらい収穫できる予定です。
実は、最初の実は袋がけを誤って落としてしまいました。
地面に這わせているのではなくてビニールハウスの骨組みを利用した空中栽培です。
その空中栽培で上に袋を固定する作業をやっている時に間違えてツルを切って落としてしまい、真っ白なスイカを収穫しました。
それは非常に悲しかったんですが、残りの別のスイカは食べれる状態まで持っていこうかなと思っています。
(無事に赤いスイカを収穫できました)
超簡単にトマトの房どりをする裏技
それから今回はこのピンキーを使った見事な房どりをご紹介しました。
シングル果房、ダブル果房、トリプル果房とあります。
これは本当に見た目がゴージャスですごくうまくいったなと思ったんですが、ここまでを目指さなくてもいいと思います。
もうちょっと簡単な房どりもあるのでご紹介します。
例えばこんな感じです。
これも房どりとしてまぁまぁいいんじゃないかなと思います。
ついている実の数もまぁまぁ多いですし、実の大きさは小さめでバラツキも大きいですがこれでも可愛いですよね。
あと例えばこれぐらいの3個とか4個とか、これぐらいの数の房どりでもいいんじゃないかなと思います。
これはどうやって収穫したかというと、普通の他のミニトマトの品種で房で何個か一個ずつ実を収穫した後に残った先端の部分だけ一気に房ごと切ったという感じです。
これでも十分かわいい房どりだと思いますので、ミニトマトを栽培している人とか中玉トマトを育てている人はこういう収穫もやってみてください。
ミニトマトの房どりのコツとおすすめの品種まとめ
今回は、ミニトマトを房どりするコツとおすすめの品種をご紹介しました。
房どりをやりたい方は、私が使った薄皮トマトのピンキーやご紹介した他の品種を使って育ててみてください。
肥培管理とか収穫の方法も大切ですので、そのあたりも意識してみてください。
ビニールハウスを持っている方でしたら冬の間でも育てられますし、そういったものがない方は春から栽培することができます。
こちらの動画でも紹介しています。