今回はイチゴのランナー挿し育苗のやり方を紹介したいと思います。
- イチゴの苗をたくさん増やしたい!
- どんな増やし方があるの?
- 苗作りの効率を良くしたい
という方におすすめの内容です。
イチゴの育苗の方法
細かく言うと10種類ぐらいあるのですが、大きく分けると2種類です。
ポット受け育苗と、ランナー挿し育苗(挿し苗)です。
イチゴ作りの超初心者の方にはポット受け育苗がオススメです。
でも、ポット受け育苗ができるようになった方はランナー挿し育苗にも挑戦して頂きたいです。
ランナー挿し育苗の方が少し難易度が上がるんですが、苗作りの効率が良くなります。
ポット受け育苗の復習
親株からランナーが発生したら、園芸用のビニタイなどを使ってポットの上に固定しておきます。
土の上にランナーを固定しておくと、大体3日ぐらいで根っこが生えてきます。
2週間ぐらい経てばポットの下まで根が到達し、一カ月も経てば移植できるぐらいの苗が出来上がります。
ポット受け育苗の方法はこちらで詳しく説明しています。
いちごのポット受け育苗は簡単なので初心者向けの苗作り方法!ランナーで苗を増やそう
ランナー挿し育苗(挿し苗)の方法
ランナー挿し育苗というのは、この状態のランナーをハサミでカットします。
親株からランナーを切り離しました。
そうしたら5cmぐらいのところで、親株と繋がっていたランナーをカットします。
このように調整しました。
それから、このような小さな葉っぱがランナーの根元についています。
このようなものは根が出る邪魔になる場合があるので取ります。
それから葉っぱの枚数が3枚以上ある場合には葉をとる場合もあります。
葉は2枚ぐらいに調整するのがお勧めです。
このような形になったら、これをポットの上に固定します。
今回は少量なので園芸用のビニタイを使いますが、商業的な農園ではランナーピンというものを使います。
苗をポットの上に置いて上からピンで固定します。
この時にあまり深く土の中に押し込んでしまうと、芽の部分が土で覆いかぶさって腐ってしまうので気をつけてください。
あくまでも土の上に乗せるだけです。
中には埋め込みません。
それからこのように、横に倒れてしまっても問題ないです。
後は毎日水をかけます。
水やりのコツ
真夏に育苗する場合には、最初の3日間は昼間は1時間から2時間に一度水をかけます。
そこから徐々に水をかける時間を3時間に1回、半日に1回という風に減らしていきます。
最終的には水やりは1日1回にします。
どのように減らしていくかと言うと、根の量で判断します。
根が全く出ていない場合には、根から水が吸収できないので葉っぱに水をかけます。
根が出てきたら根から水が吸えるようになるので、水やりの回数を減らしていきます。
遮光ネットを使おう
涼しい期間にランナー挿し育苗をする場合にはあまり気にしなくてもいいんです。
しかし真夏にランナー挿し育苗をする場合には遮光ネットを必ず使って下さい。
苗の上もしくはビニールハウスの上などに遮光ネットをかけて強い日差しから苗を守ります。
そうしないと萎れて枯れてしまいます。
根が十分生えてからは遮光ネットを外して頂いても構いません。
ランナー挿しのリスク
ポット受け育苗と違ってランナー挿し育苗では、根が全くない状態でイチゴの苗を土の上に置きます。
他の野菜で言うと挿し木と同じようなやり方です。
根が全くないので根から水が吸えません。
しかし葉っぱはついているので、葉っぱの気孔から蒸散と言って水分はどんどん抜けていきます。
なので水やりを忘れてしまうと、この苗は枯れます。
そういう意味ではランナー挿し育苗は、ポット受け育苗よりも失敗するリスクが高いです。
連結トレイを使った方法
それから今回はポットを使ったんですが、連結トレイを使うことも多いです。
今回のランナーは非常に小さいので、この小型の連結トレイを使います。
本来はこのような小型のものは使いません。
挿し苗の固定方法
これぐらいの大きさの苗も使えます。
ここについている小さい葉っぱを取って、土の上に固定します。
慣れてくるとランナーピンを使わずに、載せるだけで固定できるようになります。
ただ慣れていない方は、必ずピンで固定するようにしてください。
別の固定方法
ランナー挿しの方法は他にもあります。
今までに説明した方法は、Vに合っている部分を培地の上に乗せるというやり方でした。
他にも、挿すという方法もあります。
この親株から繋がっていたランナーの残りの部分を土に挿します。
このような固定のやり方もあります。
お好みの方法で固定してください。
葉の調整作業
こちらのランナーは3枚の葉っぱがついています。
3枚の葉っぱを残しておいてもいいんですが、気温が高い時期に苗作りを行う場合には大きな葉っぱがついていると萎れて枯れる場合があります。
そのような場合には、一番外側の葉っぱを取りましょう。
葉っぱを取って2枚にしました。
この状態で固定します。
ランナーが大きい場合には、ただ載せるだけだと倒れてしまって他の苗の邪魔をすることがあります。
なのでそのような場合には、ランナーピンもしくは園芸用のビニタイを使ってください。
また、葉っぱが1枚しか出ていない苗でも十分使えます。
育苗スケジュール
苗づくりを行う期間は、商業的な促成栽培の農園の場合には春から行って夏には完了させます。
そして秋に苗を植えます。
家庭菜園の場合には、春から初夏にかけて実を収穫して、夏から秋にかけて苗づくりを行って次の年の準備をしましょう。
少し変わった方法
ランナーを長く残しておいて、これを水の中につけます。
そしてこちらを土の上に固定します。
そうするとこのランナーの切り口から水を吸い上げて、こちらの苗が萎れにくくなります。
苗が少量で水やりの頻度を減らしたい、苗を萎れさせたくないという場合にはランナーを長く残しておいて水につけるこちらを試してみてください。
固定作業が完了したら
ランナー挿しが終わりました。
今はどの苗も根が全く出ていません。
これから三日ぐらい経つと根が生えてきて、1週間から2週間ぐらいで容器の底まで根がたどり着きます。
このようにランナーを固定し終わったら、上から水をかけてあげてください。
水をかける
ランナー挿しの場合には、葉っぱに水がかかるようにします。
※点滴チューブを使う方法もあります。
これでオッケーです!
固定して10日後
ランナー挿し育苗を始めてから10日目です。
今の苗の状態をご紹介します。
まず、うまく育たなかったものがあります。
こことここです。
この二つの苗は枯れてしまいました。
途中でしっかり水をかけてあげなかったので、そのせいです。
こんな感じで全く根を出していません。
この二つ以外は元気です。
これはここでランナーを固定したやつです。
これはランナーをグサッと土の中に挿したものです。
どちらも元気です。
ちょっと抜いて根の量を見てみましょう。
これだけ根が生えています。
根の長さは10cmぐらいです。
ランナーで固定したこちらの苗も根がこれだけ生えています。
根の長さは、こちらも10cmぐらいです。
これだけ根が生えてくれれば、水やりは一日1回あげれば十分です。
ただ、まだ植え付けに使うには根の量が不足しています。
これから2~3週間育てて根の量が十分になったら、プランターや畑などに植えられます。
イチゴのランナー挿し育苗まとめ
ランナー挿し育苗は挿し苗とも言われています。
ポット受け育苗より難易度が上がりますが、作業効率が良くなったり苗の大きさを揃えられたりとメリットもあります。
なのでイチゴ栽培初心者の方は、まずはポット受け育苗でやってみてそれがうまくいったら、次はランナー挿し育苗にも挑戦してみて下さい。
発根がうまくいけば、だいたい10日ぐらいで根の長さは10cmぐらいになります。
およそ一カ月あれば植え付けができる苗になります。
しかし発根がうまくいかない場合には途中で枯れてしまうので注意が必要です。
慣れてくると苗を固定する時に何も使わなくても固定できるようになります。
でも慣れていない方はランナーピンを使うのがおすすめです。
こちらの動画でも紹介しています。