今回は家庭菜園超初心者の方向けに病気と害虫の防ぎ方を徹底的にご紹介します。
ここにズラッといろんな農薬が並んでいます。
先ほどホームセンターに行って購入してきました。
ホームセンターでよく目にする農薬が一体どういうものなのかを説明します。
それから、そもそも農薬を使わなくてもいいようにどんな予防方法があるのか、プロの農家の方はどんなものを使っているのかをご説明します。
また、ミニボトルで売っている農薬は薄めてから散布機を使って散布することになります。
その辺りもご説明します。
- 虫が嫌いで虫を見たくない方
- 家庭菜園をするのであれば化学合成成分の農薬は使わずに有機栽培がしたい方
- ホームセンターの園芸コーナーのどの農薬を買えばいいのかわからなくて困っている方
- 本当に家庭菜園超初心者で農薬のことなんて全然わからない方
- できれば農薬は使いたくないと思っているけど、本当にそれでうまくいくのかわからない方
など不安を抱えている方は是非ご覧ください。
まずは予防することが大切
まずは予防についてお話します。
病気や害虫を防ぐ方法と聞くと、すぐに農薬を散布することを考える方が多い思います。
農薬は予防的な効果もありますが、どちらかというと病気や害虫が発生してしまった後の対策として散布するものが多いです。
ただ、病気や害虫が発生してしまった後に対策する方法ではどうしても病気や害虫が発生します。
虫が嫌いな方はそもそも虫を見たくないと思いますし、自分が愛情かけて育てている野菜に病気がついているのもできれば見たくないですよね。
なので一番最初に重要なことは予防することです。
どんな予防方法があるのかご説明します。
粒剤の農薬で病気や害虫を予防する
この2つの農薬は粒剤と呼ばれているものです。
粒状の農薬で、水に溶かして散布するものではありません。
使い方は粒のまま土に混ぜて使います。
右手に持っている粒剤がどんな虫に効果があるかというと
- トマトのアブラムシ・オンシツコナジラミ
- ピーマンのアブラムシ
- キュウリナスのアブラムシ・アザミウマ類
こういった野菜に効果があります。
野菜だけではなくて花や芝など色々なものに使えます。
左手に持っている粒剤は
- トマトやミニトマトのハモグリバエ類・コナジラミ類・アブラムシ類
- ナスやキュウリのハモグリバエ類・アザミウマ類・コナジラミ類・アブラムシ類
- ピーマンのアザミウマ類・アブラムシ類
このようなものに使えます。
こちらもいろんな野菜や花、観葉植物などに使えます。
こういった薬剤を苗を植え付ける時に混ぜ込むと、薬の成分が根っこから植物に吸収されて、その植物に虫が付くのを防いでくれます。
なので虫が嫌いで虫を見たくない方は、こういったものを使うのがオススメです。
プロの農家の方も似たようなものを使っています。
ただし、化学合成成分の農薬を使いたくない方は使えません。
防虫ネットや粘着シートを使って物理的に予防する
次はネットや粘着シートを使って、物理的に害虫を予防する方法です。
こちらは防虫ネットと粘着シートです。
防虫ネットを使って野菜全体を囲うことで、野菜に虫がつくのを防ぐことができます。
例えばアブラナ科の野菜を育てていると、蝶が卵を産みつけてアオムシが葉っぱを食べることがよく起きます。
そういった時には防虫ネットで囲ってあげることで、虫を防ぐことができます。
それから粘着シートを野菜の近くに設置することで、ハエ・コバエ・アブラムシ・コナジラミ・アザミウマなどの虫を捕まえることができます。
防虫ネットや粘着シートで100%虫を防げるわけではありませんが、被害をある程度を減らすことはできます。
ただし病気を防ぐ効果はありません。
防草シートやマルチで病気の予防
他にも防草シートを畑の周りに敷き雑草を防ぐことで、雑草から病気や害虫が近づくのを防せぐこともできます。
また、マルチを敷いて泥の跳ね返りによる病気の広がりを防いだり、銀色のマルチシートや光が反射するようなテープを使って、飛んでくるタイプの虫が植物に近づくの防ぐという方法もあります。
病気や害虫が少し発生した時の対策
次に少量だけ虫や病気が発生してしまった時の対応策をご紹介します。
手で潰したり水で流す方法
アブラムシやハダニが少しだけ出てしまった場合は、そこだけ手で潰したりホースを使って強い水圧で虫を洗い流す方法が使えます。
野菜をたくさん作っているプロの農家の場合は手が回らなくてできませんが、家庭菜園初心者の方は野菜を数株しか育てていないと思いますので、そういった方法でも対応できます。
家庭菜園でよく問題になる病気にうどんこ病という病気があります。
うどんこ病は白い粉が葉っぱや実につく病気です。
うどんこ病の場合、少量ならとりあえず水道水で洗い流す方法が使えます。
是非試してみてください。
手作りの農薬を使う
農薬と名前が付くものは一切使いたくない、できれば農薬を買うお金も節約したいという方がいると思います。
そういった方にオススメなのは手作りの農薬です。
例えば重曹を水に溶かして使ったり、お酢を水に溶かして使うなどの方法があります。
重曹は特にうどんこ病を防ぐ効果があります。
お酢もうどんこ病を防いだり、アブラムシやハダニを殺す効果もあるといわれています。
自然農薬の作り方はこちらの動画で詳しく解説していますのでぜひご覧ください。
手作り農薬は濃度に注意
手作りの農薬を使う際の注意点は、使う濃度が濃すぎたり薄すぎたりすると効果がなかったり植物にとって逆に悪影響になることがあります。
なので薄める濃度は気をつけてください。
また、植物の種類や状態によって薄める濃度が変わります。
それを見分けるのはかなり難しいです。
ある程度ベテランの方で植物を見ただけで状態が分かったり、どれくらいの濃度に薄めればいいのかがわかっている方にはオススメです。
超初心者の方は失敗するリスクが高まるのであまりオススメしません。
手作り農薬を散布する際の便利グッズ
重曹や酢を薄めて撒く場合は、スプレーボトルを使ってください。
100円ショップに行けば、スプレーボトルが売っています。
ここに重曹や酢などを入れて水で薄めて散布してください。
ただ、これだと何回もスプレーしなければいけなくて手が疲れてきます。
それが嫌な方は自動のスプレーを買ってください。
これは中に乾電池が入っていて、スイッチを押している間は自動的に水を散布してくれます。
普通の霧吹きとしても使えますし、ここに農薬を入れれば農薬の散布機としても使えます。
こういったものはネット通販やホームセンターで売っています。
食品を使った農薬
酢や重曹は超初心者の方にはオススメしないと言いました。
実はこのようなものはすでに市販の農薬として販売されています。
家庭菜園を新しく始める方の中には「農薬は使いたくない。食品を使って何とか防ぎたい!」と考えている方がいると思います。
その食品を使った農薬があるのです。
一般の方は「食品を使ったら農薬じゃないのでは?」って思うかもしれません。
農薬という大きな括りがあって、その中に化学合成成分を使ったものや食品由来の成分のもの、有機栽培でも使える農薬などがあります。
なので農薬と聞くとすぐに化学合成成分の農薬をイメージするかもしれませんが、実は色々な農薬があります。
次に食品由来の成分の農薬をご説明します。
お酢を使った農薬「やさお酢」
まずはやさお酢です。
酢が成分の農薬と聞くと農薬ではないと思うかもしれませんが、これは農薬です。
それからお酢や重曹は特定防除資材に指定されています。
特定防除資材とは、農林水産省で「農薬ではないけれど、ある程度病気や害虫を防ぐ効果が認められているもの」というカテゴリーです。
やさお酢は予防によく効く商品です。
ただし、お酢のにおいが結構します。
ココナッツ成分を使用した「ロハピ」
次はロハピという商品です。
ココナッツの成分を元にして作られた農薬です。
ロハピは予防の効果はありませんが、アオムシを駆除することができます。
食品由来のカダンセーフ
カダンセーフも食品由来の成分で作られたものです。
ただし食品由来の成分ではありますが、こちらに含まれている成分は有機栽培には使えないものです。
不思議に感じるかもしれませんが、食品由来の成分だとしても有機栽培には使えないものもあります。
カダンセーフはアオムシに効きますが、有機栽培には使えない成分です。
家庭菜園超初心者の方で、化学合成成分の農薬を使いたくなくて食品由来の成分の薬を使いたい方はこのあたりの商品を選んでください。
この3つの商品はおそらくホームセンターに行けば必ず売っていると思います。
酢のにおいが気にならない方はやさお酢がオススメです。
室内で野菜を育てていたり、酢のにおいがするのは嫌な方はロハピやカダンセーフを使ってください。
予防的な効果がそれほど必要なければ、ロハピでもいいです。
予防効果も欲しい場合は、カダンセーフがオススメです。
化学合成成分のスプレーボトルタイプの農薬
次はスプレーボトルタイプの農薬を説明します。
スプレーボトルタイプなのでこのまま使えます。
わざわざ薄めたりする必要はありません。
成分は化学合成成分の農薬です。
食品由来の成分と化学合成成分の農薬の違いは何かというと、すごく簡単にいうと化学合成成分の方が効果が強いです。
食品由来の成分は効果が弱いです。
化学合成成分の農薬は使用回数の制限がある
化学合成成分の場合には「〇〇(野菜)に対しては何回までしか使えません」のような使用回数の制限があります。
食品由来の成分は大体使いたい放題というか何回使ってもいいという感じです。
それから収穫の直前まで使えるという利点があります。
化学合成成分は「収穫の何日か前まで」のように制限がある場合があります。
こちらも1個ずつ見ていきましょう。
こちらの商品は成分がクロチアニジンというものです。
アブラムシやコナガ、アザミウマなどに効きます。
ミニトマトに使用する場合、
- アブラムシに効く
- 収穫の前日まで使えるのは3回まで
というような制限があります。
この商品はちょっと変わっていて、5つの成分で植物の病気や害虫を防いでくれるそうです。
- 還元澱粉糖化物
- クロチアニジン
- ペルメトリン
- ピリダリル
- マンデストロビン
この成分が入っているそうです。
トマトに使用する場合、
- オオタバコガ、コナジラミ類に効く
- 収穫前日まで使える
- 2回以内の使用
だそうです。
別の商品でも同じ農薬成分が入っていれば使用回数が制限される
こういった農薬を使う時に気をつけてほしいことがあります。
この農薬にクロチアニジンが含まれていて、こちらの農薬の成分もクロチアニジンが含まれています。
このボトルの裏面を見てみると「クロチアニジンの使用回数の制限」となっています。
それぞれクロチアニジンが4回まで使えます。
なので合わせて8回使える、というわけではありません。
クロチアニジンという成分が被っているので、この2つの合計で4回使えるということになります。
こちら農薬はいろんな成分が含まれていて、一度にいろんな効果が得られて便利です。
しかし、その分いろんな農薬を一度に使ってしまうので、他の農薬が使えなくなるといった恐れがあります。
例えば、これを4回使ってしまったらこれはもう使えません。
このように農薬にはすごく細かなルールがあるので、裏面にある注意書きを必ずよく読んで使うようにしてください。
それからこちらの農薬は
- クロチアニジン
- ミクロブタニル
という成分でできたものです。
またクロチアニジンが出てきました。
こちらはミクロブタニルが入っていますが、赤いラベルのスプレーボトルにはミクロブタニルは入っていません。
クロチアニジンは4回しか使えないので、これを4回使ったら先ほど紹介した商品はもう使えません。
その点は注意してください。
こちらは「葉を食べる虫退治」という農薬です。
殺虫成分はエトフェンプロックスというものです。
例えばトマトの場合
- コナジラミ類とアブラムシ類に使える
- 収穫前日まで2回まで使える
2回までということは、5月からトマトを育て始めた場合、そのトマトに対してスプレーをかけていいのは2回だけということです。
5月に1回かけて6月にもう1回かけたら、それ以降は使えません。
農薬は使っていい回数が決まっているので、その点をしっかり読んでから使ってください。
こちらは「カダンプラスDX」という商品です。
この農薬にもいろいろな成分が入っています。
- エマメクチン安息香酸塩
- チアメトキサム
- ジフェノコナゾール
です。
これは3つの農薬が入っています。
プロの農家の人も農薬は1種類だけ散布する場合もありますが、何種類かの農薬を一度に混ぜて散布することもよくします。
なのでホームセンターで売られているスプレーボトルタイプも、最近では何種類かの農薬を混ぜる物が出てきました。
入っている農薬の種類でカウントすると、
一番右から、3種類、1種類、2種類、5種類、1種類ということになります。
農薬がたくさん入っている方が色々な虫や病気に効果があり便利です。
ただし、他の農薬が使えなくなってしまうというデメリットがあります。
ミニボトルに入った農薬
次にもう少したくさんの野菜を育てている場合を考えてみましょう。
スプレーボトルを使うと結構農薬使ってしまうので、すぐ空になってまた新しく買わないといけません。
なので、たくさん野菜を育てている方は、スプレーボトルではなくてミニボトルの農薬を使います。
ミニボトルの農薬の使い方
ミニボトルはどうやって使うかというと、少しだけ取って農薬散布機に入れます。
そして水で薄めてそれを散布します。
ただし普通に農薬を混ぜただけだと、植物が薬液を弾いてしまうことがあります。
なので展着剤と呼ばれているものを使います。
農薬を散布機に入れたら展着剤も入れます。
一緒に混ぜて散布すると、植物が弾くの防いでくれます。
ミニボトルの農薬には天然成分と化学合成成分がある
ミニボトルの農薬は大きく分けて2種類あります。
例えばこちらは有機栽培でも使える天然成分の農薬で、こちらは化学合合成成分の農薬です。
家庭菜園の野菜を有機栽培したくて野菜の栽培株数が多い方はこういったものがオススメです。
特に有機栽培にこだわりがなくてたくさん野菜を育てている方は化学合合成成分の農薬を使ってください。
ミニボトルの農薬を使う際のおすすめグッズ
ミニボトルの農薬やお酢などを使うときにおすすめの道具があります。
ミニボトルの農薬を使う時、例えば今手元にある農薬の場合1000〜2000倍に希釈します。
なのでもし1000mlの薬液を作るとしたら、必要な量は0.5〜1ml だけです。
でも0.5〜1ml を測るのはすごく難しいじゃないですか。
そういう場合にオススメなのが、この注射器です。
この注射器は100円ショップで買えます。
これはコスメ用品売り場にあります。
香水や化粧水とかの詰め替えに使うものだそうです。
これを使うと0.5~1mlのようななすごく小さい単位の液体が測れます。
農薬を少しだけ使う場合は注射器を使うのがオススメです。
もう少し量が多ければ、計量スプーンや計量カップがあるのでそれを使ってください。
プロの農家が農薬を使う場合
参考までに、農家の方がどういった農薬を使うのかを説明します。
例えば、ミニボトルのタイプのもののもっと大きいバージョンを使います。
やはり農家の方は1回の散布で数百~数千リットルの大きなタンクを使って広い畑で散布します。
そういった農薬は、品揃えが豊富なホームセンターで買えます。
ただ家庭菜園超初心者の方にはオススメしません。
たぶん一生かかっても使い切れないぐらいの量だと思います。
ミニボトルでも家庭菜園初心者の方でしたら、本当にも一生使いきれないぐらいの量です。
なので広い畑で野菜を育てているという方にはミニボトルがオススメですが、庭やベランダで野菜を育てている方にはスプレーボトルの商品がオススメです。
有機栽培や食品由来の成分が良ければそういった商品を買っていただいて、こだわりがなければ化学合成成分の商品を使ってください。
粉タイプの農薬
農薬には粉のタイプのものもあります。
これはカリグリーンという殺菌剤です。
成分は炭酸水素カリウムです。
この農薬は有機栽培でも使えるものです。
うどんこ病に効果があるのでイチゴを育てていて、うどんこ病に悩まされている方ははコチラを使ってみてください。
ただしこちらも量が非常に多いので、少ししか野菜やイチゴを育てていない方は使い切れないです。
最近だとホームセンターで炭酸水素カリウムの家庭菜園向けの農薬も販売されています。
小さな箱のタイプのものです。
それでしたら中身は同じですので使いやすい量です。
農薬散布機を使った農薬の散布の仕方はこちらの動画で紹介しています。ぜひご覧ください。
【病気と害虫】家庭菜園超初心者向けの病気と害虫の予防,対策,農薬の選び方【粒剤,ミニボトル,スプレー,粉末】まとめ
今回は家庭菜園超初心者の方向けに、病気や害虫の防ぎ方とホームセンターで売っている農薬についてご説明しました。
家庭菜園で野菜を育てていると病気や害虫に悩まされますよね。
まずは予防が大事です。
一人一人こだわりがあると思うので
- 食品由来を使いたい
- 有機栽培で使えるものを使いたい
- 効率をもっと言う奥するために化学合成成分のものでいい
など、一人一人考えが違うと思います。
自身でどの農薬を使うのかを判断して使ってください。
それから農薬は使い方を誤ると非常に危険なものです。
農薬のこの裏面には使い方とか注意書きがびっしりと書いてあるので必ずそれを読んで使うようにしてください。
今回の内容はこちらの動画で説明しています。ぜひご覧ください。