今回は「皆さんの植物がうまく育たない原因は、もしかしたらハダニが原因かもしれませんよ」という話をします。
「私が育てている野菜や植物にはハダニなんていう虫はいないから関係ないな」と思う方が多いかもしれません。
けれどもちょっと待ってください!
今育てている植物にイモムシやアブラムシがいなくても、実は目に見えない小さな虫がいて、それが原因で植物があまりうまく育たなかったり枯れてしまうかもしれません。
なので植物に虫がついていないと思っている人ほど是非最後までご覧ください。
前半にハダニの特徴について説明します。
後半に実際のハダニの写真を使って説明します。
なので虫が苦手でハダニを見たくないという人は前半部分だけ読んでください。
虫を見ても大丈夫という人は是非最後までご覧ください。
害虫ハダニの特徴や対策
今回はハダニの特徴や対策についてまとめました。
ハダニは肉眼で見つけづらい
家庭菜園初心者の方が思い浮かべる虫は
- コバエ
- アブラムシ
- イモムシ
- ナメクジ
などではないでしょうか。
このような虫は目で見てわかるので見つけやすいですよね。
ただし野菜や観葉植物につく虫の中にはすごく小さくて見つけにくいものがあります。
しかも葉っぱの表面や茎には付かずに葉っぱの裏面にだけ生息したり、葉っぱの新芽の部分にだけ生息するのでなかなか見つけることができません。
例えばハダニやサビダニホコリダニなどのダニ類が厄介な害虫です。
今回はこの中でもハダニに焦点を絞って話をします。
ハダニの大きさ
ハダニの大きさは成虫の場合、およそ0.3~0.5mmぐらいの大きさといわれています。
例えば、一般的によく使われているシャープペンシルの芯の太さは0.5mm位ですよね。
なので、シャーペンの芯と同じかそれよりも小さいくらいの大きさしかありません。
なので肉眼でギリギリ見えるかどうかぐらいの大きさです。
若くて目がいい人だったら肉眼でも見れると思いますが、私の様に眼鏡をかけていて目が悪い人や、ある程度お年を召した方はおそらく肉眼でハダニを確認できないと思います。
ハダニが付きやすい野菜
ハダニがつきやすい野菜は
- イチゴ
- ナス
- トマト
- キュウリ
- スイカ
- アスパラガス
- シソ
などなどいろんな野菜にハダニがつきます。
今私が育てている野菜の中でハダニがついていたのは
- イチゴ
- ナス
- トマト
- キュウリ
- シソ
これだけの野菜にハダニがついていました。
なのでこのような野菜を育てている方はおそらくかなり高い確率でハダニがついています。
ハダニがもたらす悪影響
では、ハダニがつくとどんな悪い影響があるのか説明します。
ハダニは葉っぱから養分を吸うので植物の生育が悪くなります。
それから植物が増えていくと養分をたくさん吸い取られてしまうので植物が枯れます。
特に初心者の方はハダニの存在に気がつきにくいという問題があります。
植物の生育が悪い場合や枯れてしまった場合に、その原因がハダニだということに気付けずに別のことが原因だと勘違いしてしまうことがよくあります。
なので今回は特に伝えたいことがあります。
植物がうまく育たない原因は色々ありますが、ハダニが原因の可能性があります。
これを一つ頭の中に入れておいてください。
そうしないと枯れたり、生育が悪い原因とその解決方法を間違えてしまうことがあります。
特にハダニは見えにくいので、そういった間違いが起きやすいです。
ハダニの特徴
次にハダニの特徴を説明します。
ハダニにはナミハダニやカンザワハダニのようにいろんな種類があります。
屋外の自然条件では、4~10月くらいの広い期間に発生します。
卵から成虫になってそこからまた卵を産むまでの期間は温度によって違います。
大体7~17日間くらいの間といわれています。
なのでベストな環境の場合は卵からかえったハダニは1週間後には卵を産みます。
環境によっても違いますが、ハダニのメスは一度に100個程度の卵を産むといわれています。
しかもオスがいなくてもメスだけでも卵を産むことができます。
体の大きさが非常に小さいので防虫ネットが効きません。
ハダニは特に乾燥していると増えやすいといわれています。
ハダニの増殖率
先ほど環境が整えばハダニは1週間で卵を産めるようになる、それから1回で100個の卵を産むという話をしました。
ではどれぐらいの増殖率で増えるのか見てみましょう。
このグラフは横軸が週間、縦軸がハダニの頭数を表しています。
例えばある場所に1匹のハダニがいたとします。
その一匹のハダニが100個の卵を産みました。
すると一週間後には100匹ほどにハダニの数が増えています。
その100匹のハダニがそれぞれ100個ずつ卵を産みました。
そうすると2週目にはおよそ1万匹のハダニが発生しています。
その1万匹のハダニが100個ずつの卵を産んだとすると、3週目には100万匹のハダニが発生しています。
もちろん自然環境では全くこの通りになるわけではないですが、このように爆発的に増えます。
なのでハダニの発見が遅れて対処が遅れてしまうとハダニは爆発的に増えます。
ハダニの見つけ方
ではどのようにハダニを見つけたらいいのか説明します。
まず植物にハダニがいた場合は、葉の表面に白く小さな斑点が現れます。
それから養分が吸われるので葉の光沢が失われます。
ハダニが大量に発生した場合は、蜘蛛の糸のようなもので葉っぱ全体が覆われます。
それから葉の裏面を見ると、もすごく小さくて動く点のようなものが見えます。
スマホのカメラで拡大して写真を動画で撮るのがオススメです。
スマホで撮影した写真は後ほど紹介します。
それから虫眼鏡や顕微鏡で拡大してみるのもオススメです。
研究用に使う顕微鏡は大きくて値段が高いですが、家庭で使えるタイプの顕微鏡もあります。
家庭で使えるタイプの顕微鏡の倍率は20~40倍程度のものがオススメです。
値段は大体1000~3000円の間ぐらいで売っているので、ぜひ入手してみてください。
ハダニの駆除方法
次にハダニの駆除方法をご紹介します。
まずは商業的な農園でやっている方法を説明します。
商業的な農園では以下の方法でハダニを駆除しています。
- 化学農薬を使う
- オーガニック農薬を使う
- 手作りの自然農薬を使う
- 薬を予防的に散布する
- 天敵益虫というハダニを食べるカブリダニという虫をハウスの中に放す
- 高濃度のCO2を使う
- 紫外線のライトを使う
天敵益虫や高濃度のCO2、それから紫外線ライトを使う方法はコストが非常に高いのでなかなか家庭菜園では真似ができません。
家庭菜園での葉ダニの駆除方法のオススメはコチラです。
- 化学農薬を使う
- オーガニック農薬を使う
- 手作りの自然農薬を使う
- 薬を予防的に散布する
- セロハンテープで取る
- 葉の裏に水をかけて洗い流す
補足説明すると、化学農薬もありますが実はハダニに関しては化学農薬が効きづらくなっています。
なので化学農薬を使ったとしても100%駆除できるわけではありません。
オーガニック農薬というのはここにあるようなものです。
ハダニの口に液がかかった場合、その液が乾燥する時に口をふさぐことで窒息死させるというものです。
このようなものは手軽に購入できて、有機栽培でも使えるものなのでオススメです。
ハダニの防除は予防的に散布することが重要です。
ハダニを1匹見つけたらその10~100倍いるかもしれない
ハダニは非常に小さい虫です。
もし葉っぱの裏面を見て1匹のハダニが確認できた場合、実際にはその10~100倍ほどの頭数がいると考えてください。
それからもしハダニが蜘蛛の糸のようなものを吐き出していた場合は、かなり手遅れの状態です。
もっとハダニのことを詳しく知りたいと思った方は、ぜひこちらの本を読んでみてください。
私もハダニのことを勉強するときに参考にしている本で非常にためになります。
実際のハダニの様子
実際に植物を使ってどのようにハダニを見つけたらいいのか、実際に付いているハダニの映像もお見せします。
なので虫の映像を見るのが嫌という人はここで見るのを止めてください。
シソについたハダニ
シソを持ってきました。
シソの葉っぱの表面に僅かに白い斑点のようなものが見えます。
このような症状があったら葉っぱの裏面を確認してみてください。
かなり高い確率でハダニがついています。
こちらの葉っぱ裏返してみましょう。
肉眼で見るとこんな感じです。
ハダニのことを知らないと、パッと裏面を見て「アブラムシはいないな」とか「イモムシはいないな」など虫がいないと思ってしまいます。
葉っぱの裏をスマホのカメラでズームにして撮影した映像を見てみましょう。
シソの場合、葉っぱの表面にもハダニがいました。
真ん中あたりに4匹ぐらい映っているのがわかりますか?
葉っぱの上を歩いてます。
これはおそらくナミハダニです。
私は今iphone7というスマートフォンを使って撮影しています。
スマホのカメラでビデオという設定にして、一番高い倍率で撮影するとこのような映像が撮影できます。
スマホで撮影するとハダニが動いている映像が見えるので見つけやすいです。
ハダニの大きさを比べてみましょう。
画面に映っているとんがったものは縫い針です。
縫い針の先端と同じぐらいの大きさしかありません。
他の野菜でもハダニが映ってる映像を撮りました。
ミツバについたハダニ
次はミツバを見てみましょう。
こちらのミツバも葉っぱの表面に少し小さな斑点のようなものがあるのがわかりますか?
葉っぱの裏面を見てみましょう。
次はスマホで撮影した映像です。
真ん中に2匹ハダニがいて、下の方は少し動いてます。
私の人差し指と大きさを比べてみるとこんな感じです。
ダニの小ささがわかってもらえると思います。
ハダニを大きな顕微鏡を使って見てみます。
顕微鏡20倍の映像です。
画面に映っているのはおそらくハダニの卵です。
この卵はかなり小さいので肉眼では見れないと思います。
今画面に写っているのがナミハダニです。
そのナミハダニの隣に卵も写っています。
顕微鏡越しに40倍の映像をお見せしています。
ハダニの体の中で何かが動いていますね。
口で葉っぱから養分を吸っているので、それによって内臓が動いているのが見えているのかもしれません。
身体の中で何か黒いものがぐるぐる動いてます。
顕微鏡で40倍で見て、そこにスマホのカメラを当てて撮影しています。
次は小さな顕微鏡を使って見てみましょう。
ボタンがあり、LEDもつきます。
倍率を20~40倍まで調整できます。
今は小型の顕微鏡で20倍の倍率で見てみます。
覗くところにデジカメを当てて撮影してます。
小型の顕微鏡でもこれだけくっきり見ることができます。
次は40倍に変えてみましょう。
小型の顕微鏡で40倍だとこんな風に見えています。
トマトについたハダニ
こちらトマトの葉っぱです。
トマトの葉っぱも白い斑点が表面に出たら、裏面にハダニがいることを疑ってください。
裏面を見てみましょう。
肉眼だとこれぐらいにしか見えませんが、怪しいのがいますよね。
トマトの葉っぱの裏を小さな顕微鏡の40倍で見てみます。
動いてる虫がいます。
葉っぱの裏目にいる虫でもハダニ以外の違う虫だったり、ハダニを食べてくれる虫や良い虫の場合もあります。
大きな顕微鏡に変えたら先ほどの虫が何かわかりました。
やはりハダニですね。
ハダニを横から見ています。
このハダニはちょっと弱っているのでしょうか。
弱っていて足だけ動かしているのか、それとも脱皮をする前なのか分かりませんがハダニがついていました。
ナスとキュウリについたハダニ
ナスの葉っぱの裏にもナミハダニがいました。
針の上に乗っている丸い粒がわかりますか?
これがハダニです。
それからカンザワハダニも見つけました。
赤いハダニがいたらそれはカンザワハダニです。
【病気と害虫】野菜の葉に白い斑点があると裏に害虫が!ハダニの見つけ方と駆除方法のまとめ
私が育てていた野菜の葉っぱの裏側にはナミハダニとカンザワハダニの2種類がいました。
皆さんもぜひ育てている野菜や植物の葉っぱの裏面を見てみてください。
それからハダニをセロハンテープで取る方法はこちらの動画で詳しく説明しているので、ぜひご覧ください。
自然農薬の作り方も紹介してい流ので、そちらも合わせてご覧ください。
おまけ:ハダニを撮影した方法
最後まで見てくれた人のために、今回私がどんな風に撮影をしたのかご紹介します。
こんな感じで撮影しています。
顕微鏡を使う時は強い光が必要なので、普段撮影に使っているLEDを最大量で手元に置いています。
あとは顕微鏡の見るところにスマホのカメラを当てて撮影すれば、写真や動画が撮影できます。
今回ご紹介した内容は、こちらの動画でご覧になれます。
ぜひご覧ください!