今回は「安い培養土と高い培養土はどちらがいいのか?」について色々と検証をしていきます。
私としては、禁断の話だと思っています。
ホームセンターに行った時、色々な培養土が売っていますよね。
「花と野菜用」と同じように書いてあるのに、値段が全然違います。
値段が違うのはおかしいと思いませんか?
普通に考えたら安い培養土を使えばいいと思いますが、高い培養土の方がいいんじゃないかと思ったりもします。
なので、色々と話していきます!
今回の話はマニアックな話なので、家庭菜園初心者の方はあまり面白くないかもしれないです。
でも、家庭菜園をバリバリやっていたり、コストの話などが出てくるので、セミプロ寄りの方や商売としてやっていきたい方にとっては面白いかもしれないです。
興味がある方はぜひ最後までご覧ください。
結論:高い培養土を使った方が安心
一番最初に結論を言ってしまいます。
結論を言うと、高い培養土を使った方が安心だし楽でしょう。
ただ、安い培養土でも工夫をすれば結構使えます。
今回は主に安い培養土と高い培養土の比較をします。
「イチゴ用培土」や「ブルーベリー専用の土」のような専用の培養土の話もします。
比較する3種類の培養土
サンプルとしてお見せする培養土をご紹介します。
一番安い培養土【花と野菜の培養土】
今回私が行ったホームセンターで一番安い土がこれでした。
「花と野菜の培養土」です。
私は綿半ホームエイドというホームセンターに行きました。
綿半は全国区ではなく、長野県・東京都・愛知県・山梨県・埼玉県にあるホームセンターです。
別のホームセンターでは値段が違うかもしれませんが、綿半ではこれが一番安かったです。
私は綿半ホームエイドが大好き
私は綿半が大好きなんです!
なぜかというと、綿半の発祥の地が私の地元の長野県飯田市だからです。
なので非常に愛用しています。
そして、綿半はめちゃくちゃ安いんです!
他にも色々なホームセンターがありますが、その中でも群を抜いて安いです。
子供の頃から綿半で買い物をしているし、大学時代も綿半で食品やホームセンター関連のものを全部買っていました。
なので、今回は綿半基準の話になります。
一番高い培養土【失敗しない失敗させないバラも野菜も花培養土】
綿半で一番高かった培養土がこれです。
「失敗しない。失敗させない。バラも!野菜も!花ちゃん培養土」です。
これは凄い培養土です。
野菜だけじゃなくてバラも育てられるものです。
専用培養土【イチゴの土】
それから「イチゴの土」という土も買いました。
これはイチゴを育てるのに使う、イチゴ専用の培養土です。
各培養土の1リットル当たりの値段
皆さんが気になるであろうお値段です。
1L当たりの値段で比較
袋の大きさによって値段が変わると比較する時にわかりにくいので、1L当たりいくらかで話をします。
- 一番安い培養土が25Lで270円(約10円/L)
- 一番高い培養土が25Lで720円(約30円/L)
- イチゴ専用の培養土が5Lで338円(約70円/L)
となっています。
なので、一番高い培養土は一番安い培養土の3倍の値段、イチゴ専用の培養土は一番安い培養土の7倍の値段ということです。
一番安い10円/Lの培養土を使った感想
実は、一番安い10円/Lの培養土をイチゴ栽培に1年間使いました。
他にも数種類の土を使い一緒に栽培をして培養土の比較をやりました。
その結果を踏まえて私の感想を言うと、一番安い培養土でも普通にイチゴが育ったので問題はなかったです。
ただ、比較に使った他の培土がピートモスやヤシ殻培土でした。
それらと比べると保水性や保肥性が弱いと思いました。
良くいうと排水性がいいということです。
良く捉えれば排水性がいいけれど、悪く捉えると保水性・保肥性(肥料を保持する能力)が弱いということが気になりました。
他の倍土を混ぜ合わせて調整する
例えば、一番安い培養土にピートモスやヤシ殻を足せばもっと良くなると思います。
ピートモスやヤシ殻の値段が高かったら意味がないですが、実はピートモスやヤシ殻は結構安くて10円/Lぐらいで手に入ります。
もっと小さいロットで買うと30~50円/Lくらいしますが、大きいロッドで買えば、一番安い培養土と同じくらいの金額で買えます。
なので、それを混ぜ合わせれば10円/Lぐらいで、かなりバランスが良い土が作れます。
コストを抑えたい場合は安い培養土と何かを混ぜて使う
できるだけコストを安く抑えたい方は、安い培養土を買って足りない要素を補う単一の培土を混ぜることで欠点を補うのがいいでしょう。
一番安い培養土の場合、保肥性・保水性が弱かったのでピートモスを足すのがオススメです。
土の種類によっては、保水性はいいけれど排水性が悪い土もあります。
それはメーカーや土によって違います。
逆に保水性が強すぎる場合は、軽石やパーライトを混ぜると良いです。
その辺は土に合わせて補うものを変えてください。
これはとても面倒です。
初心者の方は土の水はけが良いのか、保水性があるのかがわからないと思います。
慣れている方なら、安い培養土を買って足りない要素を補う単一の培土を混ぜる方法もいいのではないでしょうか。
ピートモスやヤジ殻培土は使う前にやることがある
ピートモスを使う場合、基本的にph調整をしないと使えません。
調整をしないで使うのは良くないです。
なので、ピートモスのph調整ができる前提でお話しをしています。
また、ヤシ殻も使う前に「あく抜き」という作業を一回行った方がいいです。
pH調整の仕方はこちらの動画でご紹介しています。
ヤシガラ培土についてはこちらの動画で紹介しています。
ph調整やあく抜きがわからない場合は30円/Lの培養土を使うのがいい
初心者の方でビートモスのph調整やヤシ殻培土のあく抜きがわからない方は、30円/Lの培養土を買うのが良いでしょう。
安い培養土を他のものと混ぜて使うのは中級者向けです。
10円/Lの培養土はバランスが偏ってるというか、パラメーターが五角形になっていない場合があります。
基本的に、30円/Lの培養土の方がバランスは優れているでしょう。
もちろん微妙な土もあるかもしません。
ただ、一般的に30円/Lの培養土の方がバランスがいいので、初心者で土のバランスの作り方がわからない方は、ホームセンターの中でも少し値段が高めの土を選ぶのがオススメです。
高めの土には元肥がしっかり入っているのでわざわざ元肥を足さなくていいですし、初期生育が良いです。
70円/Lのイチゴ専用の土
もうひとつの培養土の話しをします。
イチゴ専用の土です。
これは70円/Lなので高いですよね。
一番安い10円/Lの培養土の7倍です。
でも、有りといえば有りです。
なぜかというと安心だからです。
イチゴを育てる場合「イチゴの土を使えば大丈夫!」とういう安心感が買えます。
あとは植物によってpHやECの適性が違ったり、水はけの適性などが違ったりするので専用の土は安心感があります。
なので
- 超初心者でイチゴや野菜1回も育てたことがない方
- 今回が一発目、初めての家庭菜園の方
は「〇〇の土」や「〇〇専用」みたいな土を買いましょう。
何の培養土でもいいわけではない
私は普段「培養土だったらなんでもいいです」と言います。
ただ、その「何でもいい」というのは、知識がある方がある程度ダメなものを足切りした上での「何でもいい」という話です。
ホームセンターに行くと培養土とは書いてあるけれど、かなり偏ったパラメーターの土があります。
それを初心者の方が「培養土だからこれでいいや」といって、野菜やイチゴを育てるとうまくいきません。
慣れた方は「これはこういう土だから、これを足そう」とわかります。
初心者の方はわからないと思うので、高めの培養土や専用培土がオススメです。
- 中級者の方は10円/Lの培養土を安く買って他の倍地を足す
- 初心者の方は30円/Lの少し高めの土を買う
- 超初心者の方は70円/Lの専用培土を買う
というのがまとめです。
経験次第で使える土が変わる
慣れている方なら、10円/Lの培養土でもイチゴを育てられます。
何回か育てたことがある方なら、30円/Lの培養土でもイチゴを育てられます。
また、他の野菜も一緒で「トマトの土」や「トマトの肥料」などがありますが、普通の土でも育てられます。
ブルーベリーは酸性土壌じゃないと育たない
先程「ピートモスはpH調整してから使う」といいましたが、あくまでも一般的な野菜やイチゴを育てる場合の話です。
ブルーベリーはpHがかなり低い酸性の土じゃないとうまく育ちません。
ブルーベリーを育てるためにピートモスを使う場合は、pH調整しないでください。
ピートモスは元々pHが低いからです。
その特性を利用してブルーベリーを育てます。
なので、ブルーベリー専用として売っている土はpHが低いです。
ブルーベリーを育てたい人は野菜用の培養土は選ばない方がいいです。
園芸中級者くらいになると「ブルーベリーは酸性でしょう。だから、みんなピートモスを使うんでしょう。」とわかっているので、そもそも議論になりません。
調合初心者の方はまだわからないと思うので「〇〇の土」などの専用培土を買うと失敗は少ないです。
ブルーベリーの育て方はこちらの動画で紹介しています。
ブルーベリー専用培土でパイナップルが育てられる
ちなみにブルーベリーの土の話は、沖縄で熱帯果樹を育てているけんゆうさんとのコラボ動画の中で話題になりました。
詳しい内容は、こちらの動画でご紹介しています。
パイナップルも酸性土壌がいいということを知りませんでした。
- パイナップルも酸性土壌の方が生育が良い
- ピートモスみたいな酸性土壌の土がいい
- ブルーベリーの土を買うと楽
- ブルーベリーの土はピートモスよりも水はけが良い
- ブルーベリーの土はphが低く酸性土壌だからパイナップルの生育にいい
と教えてもらいました。
なので、ブルーベリ用の土をパイナップルの栽培に使うこともできます。
それぞれの土の中身の違いについて
土の中身を見てみましょう。
10円/Lの土をアップで見る
では、それぞれの土をアップで見てみましょう。
10円/Lの土はこんな感じで、土は土っぽい色です。
10円/Lの土は、小粒の軽石・砂系が多い気がします。また、腐葉土などが入ってそうです。
1年間イチゴ栽培に使った感じだと、問題なくイチゴ栽培に使えましたが、保水性が弱いのでもう少し保水性が欲しいと思いました。
でも、値段がとても安いので大量に育てている方やプロの農家で何万株と育てている方にとっては、10円/Lの培地は魅力的だと思います。
だいたいイチゴ農家の方は、最近だとヤシ殻培土などを使いますが、そういったものも10円/L〜それ以下の金額で大量に買う場合は手に入ると思います。
30円/Lの土をアップで見る
これが30円/Lの土で、黒いです。
ホームセンターで「ちょっと高めの土」みたいな感じで売っているものです。
赤玉土・鹿沼土・腐葉土・パーライトなどが多いです。
砂などが少ないから値段が高いのかもしれません。
あとは元肥として肥料が入っているところが10円/Lの土と違う点だと思います。
赤玉土や鹿沼土、パーライトなど少し値段が高めのものをたくさん配合しています。
それが値段が高い理由なんじゃないかなと思います。
非常にバランスも良いですし、どんな野菜でも育てやすいと思います。
とりあえず初心者の方が買うのにはこういったものがいいでしょう。
70円/Lの土をアップで見る
次が70円/Lのいちごの土です。
これは色が違います。黄土色というか黄色っぽい色です。
小粒の鹿沼土みたいな日向土みたいな何かそういったものが入っている気がします。
赤玉土・腐葉土・砂も入っていそうです。
イチゴ栽培超初心者の人がホームセンターに行った時に、特殊な培地を買ってしまうのを防ぐという意味ではこれがいいと思います。
慣れている方は、わざわざこれを買わなくていいです。
本当に初めての人は、間違ってすごい変わった土を買ってしまうかもしれません。
なので、そういうミスが起きないように専用の土を買うと、非常にわかりやすくていいんじゃないでしょうか。
袋の大きさも5Lで小さいので、イチゴを1~2株を育てるのに丁度いいサイズです。
他の土は25Lとかです。
家庭菜園がすごい好きな人なら25Lはすぐ使えます。
しかし、そうでない方には25Lの土は運ぶのも家の中に置いておくのも大変だし、使い道がなくなったりします。
なので、5Lの土は割高ではありますが使いやすいでしょう。
生育は土だけでは決まらない
「実際育ててみて生育の違いを見てみたい!」とか「生育を比べてみてください!」など意見を頂くかもしれません。
ただ、私としてはあまり意味がないと思っています。
なぜかというと、生育は土だけでは決まらないからです。
10円/Lの土は、水はけが良すぎて保水性が弱いといいました。
でも、それは土を変えずにいくらでも改善ができます。
例えば、1日に1回の水やりで保水性が弱いと感じる場合は、水やりの回数を1日3回に増やせば保水性が弱い土であっても生育は良くなります。
植物が受け取る水の量を3倍に増やすことができるので、いくら保水性が弱い土であっても水やりの頻度を変えるだけで改善は可能です。
なので、何種類かの土で比較実験をして、「こんなに生育に違いが出ました!」というのは不毛だと思っています。
栽培方法が決まっていれば適した土を見極めやすい
どの土がいい土なのかは言えません。
ただ、栽培方法を変えたくない場合、その栽培方法に一番合っている土を見極めることはできます。
どの土でもそれぞれの土にあった栽培方法が絶対あるはずだからです。
例えば、イチゴ農家の方から「どの土がいいですか?」と質問を受けた場合、答えるのが難しいです。
すごくざっくり答えると「何でもいい」という話になります。
逆にシステムなどが決まっている場合は「絶対こういう土がいいです」という話になります。
そのシステムとは
- 栽培槽の大きさ
- 一株当たりの土の量
- 液肥の種類
- 液肥なのか水なのか
- 液肥を流す頻度
- 液肥を流す頻度を決めているシステムの形
などなど、色々な要素を考えることになり「だったら、この農園にはこの土がいい」という話になります。
全く知らないイチゴ農家の方や、家庭菜園をやってる方に「この土が絶対いい」とはなかなか言えません。
ただ30円/Lの土なら、排水性・保水性・保肥性・物理性などのバランスがいいので、普通の使い方だったら大丈夫でしょう。
10円/Lの土だと偏りがあるので、土の特性を見極められる方じゃないと栽培に失敗してしまうかもしれません。
70円/Lの土は量が少く割高だということや、マーケティングやブランディングなどの販売戦略などの話にもなってしまいますが、専用の植物に合っているので70円/Lの土でもいいと思います。
究極な話、野菜を育てるのに土は要らない
究極の話、土は必要ありません。
野菜やイチゴを育てる場合、土がなくても水耕栽培で液体肥料だけでも植物は育てられます。
なので究極の話、土は要らないという話になります。
水やりの頻度・肥料の頻度・植物の生育のコントロール・栽培容器・栽培方法などの栽培管理と絡めて話をしないと意味がありません。
そのことを最後にお伝えしたいと思いました。
自分に合った培養土を選びましょう
初心者の方がこの内容を見たら、何を言ってるのかわからないかもしれません。
今回の内容は中級者向けですので、初心者の方がわからなくても問題ありません。
初心者の方は30円/Lの土を、超初心者の方は70円/Lの土を買いましょう。
それ以上の中級者以上の方は10円/Lの土を買ってください。
もしくは中級者以上の方はこういう土を買わないかもしれません。
大きいロットでピートモスやヤシ殻を買ったり、パーライトやバーミキュライトを買って、オリジナルの培土作りを当たり前にやっているかもしれません。
なので、安い培養土に心惹かれないかもしれません。
安い培養土をベースにして自分の好みの排水性・保肥性に変えるのもいいと思います。
【培養土】野菜栽培用の培養土は安い土と高い土、専用の土のどれが良いのか?のまとめ
今回はマニアックな話だったので面白かったのかどうかわかりませんが、私はこういう話がとても好きです。
私は培土マニアがいるのを知っています。
私よりもっともっと培養土に詳しくて、培養土についてめちゃくちゃ熱く語れる人がこの世界にはたくさんいるはずです!
園芸マニアの人は「培養土の組み合わせを何対何にする!」みたいに培養土について語りたい方がいると思います。
ただ、なんだか滑りそうな気がして怖いです。
評判が良かったら、これからも色々な培養土シリーズを出したいと思います。
今回の内容はこちらの動画でご覧になれます。