おすすめの有機肥料と化学肥料、元肥追肥の計算方法と使い分け方を紹介します。
- どんな肥料があるの?
- 初心者でも扱いやすい肥料は何?
- 肥料の最適な量が知りたい
という方におすすめの内容です。
肥料の基本
肥料とは化学肥料、有機肥料、液体肥料などです。
それから土壌改良材はもみ殻くん炭、石炭、ピートモスなどがあります。
その中間あたりに腐葉土、バーク堆肥、牛ふん堆肥があります。
こちらは肥料と土壌改良材の両方の効果を持っているということです。
活力剤というのはアンプル瓶やボトルのもので、こちらは肥料とは違います。
例えば百円ショップで売っているこのようなものも活力剤です。
これは肥料ではありません。
それからアンプル瓶というのはこのようなものです。
肥料の種類
肥料はまず固形肥料と液体肥料に大きく分けられます。
固形肥料が有機肥料と化学肥料(化成肥料)に分けられます。
肥料の効果の早さ
大きく二つに分けられます。
即効性と緩効性です。
即効性はすぐに効いて、すぐに効果が終わります。
どちらかというと上級者向けです。
それから追肥に向いています。
緩効性の方はゆっくり効いて、長く効きます。
初心者向けで、元肥に向いています。
元肥というのは植え付ける前、もしくは植え付けた時に与える肥料のことです。
追肥というのは植え付けてからしばらく経ってから追加して与える肥料のことです。
おすすめの肥料
化学肥料からIB化成、ベジフル、マグァンプ。
有機肥料から鶏糞、発酵油かす。
液肥からハイポネックスを紹介します。
オーガニック栽培がやりたい方は有機肥料を選んでください。
この6つを選んだ理由は
①全国どこでも手に入りやすい
②初心者でも扱いやすい(粒状、軽量、臭い少なめ)
おそらくホームセンターならどこでも売っていると思います。
それからネット通販でも売っています。
肥料の使い方
元肥、追肥どちらに向いているのか。
IB化成・鶏糞・ハイポネックスは追肥に向いていて、ベジフル・マグァンプ・発酵油かすは元肥に向いています。
このことについては既に知っている人も多いと思います。
商品にも書いてありますし、家庭菜園の本などにもこのようなことが書いてあります。
今回は、それぞれの肥料がなぜこの使い方に向いているのか?という点を説明します。
使い方の組み合わせですが、例えば、慣行栽培と呼ばれている一般的に化学肥料を使う栽培の場合には元肥としてベジフルを使い、追肥で液体肥料(ハイポネックス)を使います。
もしくは、元肥にマグァンプを使って、追肥としてIB化成を使う。
それから有機栽培の場合には、例えば、元肥に発酵油かすを入れて追肥として鶏糞を使う。
このような組み合わせで使われることが多いです。
ではなぜこのような使われ方をするのか?を考えてみましょう。
今回はこの6種類の肥料をご紹介しますが、おそらく皆さんはこれとは違う肥料を使っていると思います。
その場合も、裏面の成分表を見れば同じように計算できるので、、お持ちの肥料で考えて計算してみてください。
肥料の主要成分
まずは肥料の主要成分を見てみましょう。
窒素、リン酸、カリ、マグネシウムです。
このような肥料の裏面を見てみると、数字が書いてあります。
その数字は成分の含有率(%)です。
なので、IB化成は窒素が10%・リン酸が10%・カリが10%・グネシウムが1%含まれています。
それぞれ他の肥料も同じです。
こちらをグラフにしてみました。
縦軸が含有率(%)です。
こう見てみるとマグァンプのリン酸が飛びぬけて多いのがわかります。
鶏糞は全体的に含有率が低いです。
ただ、鶏糞・発酵油かすは私が買った商品の数値なので皆さんのものとは多少違うと思います。
リン酸についてみてみましょう。
マグァンプのリン酸が非常に多くて、皆さん気になると思います。
例えば鶏糞は4.1%なのにマグァンプは40%と10倍も含まれているんですね。
ただ、リン酸に関していうとク溶性・可溶性・水溶性とあります。
ク溶性は溶けにくい、可溶性は溶ける、水溶性はすぐ溶けるものです。
それで見てみるとマグァンプはク溶性の非常に溶けにくいリン酸が多いです。
水溶性のすぐ溶けるものに関してはベジフル、マグァンプは大体同じくらいの量が含まれています。
そのため、マグァンプの大量のリン酸については気にしなくても大丈夫です。
使用量と効果持続期間
それぞれの肥料には推奨されている使用量があります。
それから、肥料の効果が持続する期間も肥料によって違っています。
今回は65cmプランター(およそ土の量12L)のものでミニトマト、もしくは野菜を栽培すると想定しました。
そうすると、それぞれの肥料に推奨される使用量が書いてあります。
このように書いてありました。
もしくは、一か月おきに追肥してくださいと書いてありました。
使用量から窒素の含有量を計算
使用量から窒素の含有量を計算してみました。
例えばIB化成の場合、使用量40g、窒素の割合が10%なので40g使った場合の窒素の含有量は4gということになります。
同じようにベジフル、マグァンプ、鶏糞、発酵油かすも調べました。
これを同じように全ての成分で計算しました。
そうすると、こちらの表で示したような数値になっています。
これだと少し分かりづらいのでグラフにしましょう。
グラフで見てみるとこんな感じです。
やはりマグァンプのリン酸が飛びぬけているせいでちょっとグラフが見にくいですよね。
ただ、もう一つ考えなければいけないことがあります。
それは効果の持続期間です。
効果の持続期間が肥料によって違うので、持続期間をもとに一ヶ月で溶ける量を計算しました。
例えばIB化成の場合、使用量が40g、効果が続くのが一ヶ月なので、一ヶ月で溶ける肥料の量というのは窒素が4g・リン酸が4g、カリが4g、マグネシウムが0.4gとなります。
それぞれ全ての肥料の全ての成分で計算しました。
効果の持続期間から一ヶ月で溶ける量を計算してみるとこのようなグラフになります。
こう見るとIB化成と鶏糞、発酵油かすが多く、ベジフルとマグァンプが少ないことがわかります。
これらは追肥をする前提で作られている肥料だからです。
ここで注意点です。
- 実際にこの通りの量にはならない
- 湿度、雨や水やり、土の量や質、微生物などの影響を受けるから
- 使用量によっても大きく変わる
- 毎月均一に溶けるわけではない
- 追肥をする前提で作られている
例えば、マグァンプという商品は効果が一年持続すると書いてあったので12カ月で計算しましたが、12カ月の間に毎月同じ量が溶け出す訳ではありません。
IB化成は一カ月間持続すると書いてありますが、温度によってはもっと短い場合も長い場合もあります。
ハイポネックス液肥について
最初に説明を省いた、ハイポネックス液肥についてご紹介します。
ハイポネックス液肥は窒素・リン酸・カリが6:10:5の割合で含まれています。
15種類の栄養素をバランス良く配合。
野菜は500倍に薄めてくださいと書いてあります。
水で薄めて7~10日に1回の割合で使うことが推奨されているので、月に4回くらい使うということになります。
与える量は鉢植えには鉢底から流れ出る程度と書いてあるので、今回65cmのプランターの場合2Lくらいと推定しました。
そうすると月の使用量は8Lと仮定されます。
次に、ハイポネックス液肥の成分を見てみましょう。
含有率がそれぞれ窒素6%・リン酸10%・カリ5%となっています。
これを500倍に希釈しまして、一ヶ月に8L与えたとします。
そうすると与えている量は窒素1g・リン酸1.6g・カリ0.8gです。
これを先ほどの固形肥料と比べてみましょう。
一ヶ月で与えるおよその量です。
それぞれの成分がこのように含まれているということです。
肥料の最適な量はどれくらいなのか
今回はミニトマトを使って、肥料の中でも最も重要とされる窒素の量について考えてみました。
ミニトマトの最適な窒素量は?
- 商業的な農園:一株あたり15~20g
- プランター菜園:一株あたり10~15g
- 栽培期間は5月から9月までの5ヶ月
- 一ヶ月あたり2~3g
※野菜の種類や品種、栽培方法などで大きく違います。
こちらは先ほど紹介したグラフから窒素だけを抜き取ったグラフです。
縦軸が窒素の一ヶ月あたりの成分量です。
このグラフに、先ほどの窒素の適正量である2~3gを黄色いバーで示しています。
こう見ると、IB化成と鶏糞は多すぎます。
ベジフル、マグァンプ、発酵油かす、ハイポネックスは少なすぎるという感じです。
ここで、追肥について考えてみましょう。
まずベジフルとマグァンプに注目します。
ベジフルとマグァンプをそれだけで使った場合には適正な窒素の量よりも少なくなってしまいますが、ハイポネックスという液肥を追肥として一緒に使うと、ベジフル+ハイポネックスは適正な窒素の範囲内に収まっています。
そしてマグァンプはこれでもまだ足りない状態です。
次にIB化成の推奨される使用量の半分の量を追肥としてベジフルとマグァンプに与えた場合です。
そうするとベジフルは推奨値よりも越えてしまっているんですけれども、マグァンプ+IB化成は適正な窒素量になっています。
同じように、これを鶏糞と発酵油かすでも考えてみます。
発酵油かすに鶏糞の推奨使用量の半分の量を併用して使った場合を見てみましょう。
そうすると、これも適正範囲を超えてしまっています。
ただ、発酵油かすか鶏糞の追肥量を減らせば適正な範囲内に収めることができます。
肥料の使い分け
このような面倒くさい計算をした結果、それぞれの肥料が元肥もしくは追肥に向いています。
単純に含有率や量だけではなくて、実際には肥料の溶けやすさ、成分の吸収されやすさ、今回は窒素の話だけをしましたがリン酸やカリ、微量要素も計算し加味されてこのように言われています。
最初にもご紹介しましたが、元肥としてベジフルやマグァンプを使った方は、追肥として液肥やIB化成などを使ってみてください。
例えば、最初に入れたベジフルやマグァンプの元肥だけで育てると途中で肥料切れになると思います。
それから、有機栽培をやられている方で、例えば元肥として発酵油かすを入れた方もそのままずっと栽培していると肥料切れになる可能性があります。
なので鶏糞や発酵油かすを追肥として使ってみてください。
化学肥料を使うパターン①
化学肥料を使って野菜を育てているとき、どのような順番で肥料について考えれば良いのかフローチャートを作ってみました。
元肥として、IB化成・ベジフル・マグァンプどれかを使ってみてください。
途中で追肥をするのか判断しなければいけません。
その時の判断基準というのは、例えば葉の色、茎・花の生育、栽培しているなどによって変わってきます。
これは野菜の種類によってポイントが違います。
葉の色、茎の太さ、雌しべの長さをみたり野菜ごとに違ってきます。
その判断で追肥は必要ないと思えば追肥はしなくてもOKです。
化学肥料を使うパターン②
追肥が必要だと判断した場合には、次に何を与えるのか?を考えましょう。
この時におすすめなのが、IB化成もしくはハイポネックスです。
もちろん、ベジフルなど別の化学肥料でも構いません。
有機肥料を使うパターン①
元肥として、鶏糞・発酵油かすがおすすめです。
もちろん他の有機肥料でも構いません。
特に粉状のものよりも小粒の粒状タイプのものがおすすめです。
それから追肥については化学肥料と同じように、やるのかどうかの判断が必要になります。
肥料が足りていれば追肥をしなくても構いません。
有機肥料を使うパターン②
追肥をやる場合には、何を与えるのかを考えましょう。
ここでおすすめは鶏糞です。
なぜかというと、鶏糞は速効性があり追肥として使ったときに効果が早くでるからです。
もちろん、発酵油かすやほかの有機肥料でも構いません。
紹介したもの以外の肥料
化学肥料にも色んな種類があるので、今回紹介したもの以外の他の肥料でも構いません。
ただその時には、窒素リン酸カリがどのくらいの割合で含まれていて、推奨されている使用量がどれくらいなのか?一ヶ月でどれくらいの量を与えているのか?という計算をしてみて下さい。
計算しないと、与えている量を把握できないからです。
ただし計算してもバッチリその通りにはなりません。
どうしてもいろんな影響でその通りにはならないけれど、ある程度把握しないと追肥するときに困ります。
追肥のやり方
最後に、こちらのつるむらさきを使って追肥のやり方を説明します。
鶏糞の使用方法を見てみましょう。
基本的には市販の肥料に書いてある使用方法を守って下さい。
元肥として使う場合には植え付け穴に与える、もしくは菜園全体に与える。
追肥として与えるにはうねに沿って与える、もしくは株の周りに溝を掘って与えると書いてあります。
もちろん植木鉢やプランターなどに入れて頂いても構いません。
それから肥効期間は約1ヶ月です。
1ヶ月に1回の間隔で使用してください。
※ただし夏野菜には3週間に1回のペースで与えると効果的です。
ここにも、必ず規定量を守り根に直接触れないようにお使いくださいと書いてあります。
こちらは発酵油かすです。
使用方法を見てみると、鉢やプランターで元肥として使う場合には土の中に入れる。
追肥として使う場合には株を取り囲むように与えて土をかぶせると書いてあります。
花壇や畑に植える場合には、元肥の場合植え付ける前に土に均一にばらまいてよく混ぜます。
追肥の場合には株を取り囲むように与えて土をかぶせるとより効果的ですと書いてあります。
ここにあるのはつるむらさきです。
ちょっと大きくなってきたので、収穫をして食べています。
追肥を与えましょう。
植物の追肥を与える時に、株元に撒いても大きな問題は出にくいけどもしかすると根が肥料で焼けて生育が悪くなるかもしれません。
私は初心者の方には株元に肥料を与えるのはおすすめしません。
肥料を与えるとしたら、栽培容器の端に埋めましょう。
畑なら株元から30cmくらい離して埋めるのがおすすめです。
地表に置くだけだと移動したり、肥料が溶けにくいので土の中に入れます。
粉よりも粒の方が扱いやすいので、鶏糞や油かすの場合も粉より粒がおすすめです。
今回はこちらの鶏糞を使います。
小粒のタイプです。
こちらのつるむらさきはそんなに追肥が必要ではないのでちょっとだけ与えます。
これを鉢の端の方に植えます。
いまここに鶏糞を入れました。
そうしたら少し土の中に押し込んで周りの土を被せます。
これでOKです。
あとは水やりや雨のたびに少しずつ溶けます。
そうすると土から肥料分を根が吸収します。
それからハイポネックスのような液肥ですが、こちらも書いてある通りに使い方を守って使って下さい。
ハイポネックスの場合、野菜は500倍に薄めると書いてあります。
なのでキャップかスポイトなどで計量します。
そして水道水で薄めて、薄めた液体を土にかけます。
そのような使い方です。
肥料の使い分けについてまとめ
今回は肥料の使い分けについて説明しました。
目指す栽培に合わせて肥料を組み合わせて使いましょう。
こちらの動画でも紹介しています。