今回は庭に畑を作る方法の理論編をお届けします。
以前、私は古民家に住んでいる友人の庭に畑を作りました。
実際に庭に畑を作る作業はこちらの動画で紹介しています。
ただ、この動画だけでは庭に畑を作る理論というか「なぜこの道具を使ってこのようなやり方をしたのか?」という説明が不足していると思いました。
なので、今回は庭に畑を作る理論をお伝えします。
庭に畑を作ろうと思っている方はぜひ最後までご覧ください。
庭を畑にしたビフォーアフター
庭を畑に変えた作業の様子をご紹介します。
こちらは畑にする前の状態です。
こちらが2時間後の完成した畑です。
奥はまだ手つかずですが、手前半分は畑になりました。
この時は
- 有機石灰
- もみ殻くん炭
- バーク堆肥
- 腐葉土
- 醗酵油かす
を使いました。
なぜそのようなものを使ったのか、なぜこのような作業を行ったのか、その理由を詳しく紹介していきます。
庭をどうやって変えるのか考える
まずは庭を畑に変える選択肢について説明します。
庭を変えるには
- 簡単に変える方法
- 一気に変える方法
の2通りあると思うのでどちらがいいのか考えてみてください。
簡単に変える場合は、その土地が粘土質なのか砂質(さしつ)なのかを考えてみてください。
一気に変える場合は、培養土や土壌改良剤を使う方法があります。
土壌改良剤を使う場合は、簡単に変える場合の砂質バージョンと同じように考えてください。
培養土の再生材についてはこちらの動画で詳しく説明しています。
庭を簡単に畑に変えたい場合
まず庭を簡単に畑に変えたい場合について詳しく解説していきます。
庭を簡単に変えたい場合
簡単に変えたい場合は、畝を立てて畝だけ野菜栽培に使いましょう。
これは畑を作るイメージです。
その土地の土をメインにして石灰や土壌改良材などを使います。
庭を簡単に畑に変えたい場合のメリットとデメリット
まず簡単に変えたい場合、少量の土壌改良材を入れるだけで構いません。
なので、メリットはコストが安くなります。
デメリットは良い土になるまで数年かかります。
庭を一気に畑に変えたい場合
まず庭を一気に畑に変えたい場合について詳しく解説していきます。
庭を一気に変えたい場合
一気に変えたい場合は、レイズドベッド(花壇)にして全面を野菜栽培に使いましょう。
これは広いプランターで野菜を育てるイメージです。
こちらには土地の土や土壌改良材の他に、市販の培養土を使っても構いません。
庭を一気に畑に変えたい場合のメリットとデメリット
一気に変えたい場合、大量に培養土や土壌改良材を入れる必要があります。
メリットはすぐに良い土になることです。
デメリットはお金がかかることです。
庭を簡単に畑に変える場合に育てられる野菜
庭を簡単に畑に変える場合に育てられる野菜をご紹介します。
庭を簡単に変えたい場合に育てやすい野菜
簡単に変えたい場合は、育てやすい作物や野菜なら育てられます。
例えば
- サツマイモ
- 枝豆
- 落花生
- オクラ
などです。
再生栽培でサツマイモの苗をつくつ方法はこちらの動画でご紹介しています。
庭を簡単に変えたい場合に育てにくい野菜
逆に育てるのが難しい野菜は
- トマト
- ナス
- キュウリ
などの一般的な野菜です。
庭を一気に畑に変える場合に育てられる野菜
庭を一気に畑に変えたい場合に育てられる野菜を紹介します。
庭を一気に畑に変えたい場合に育てやすい野菜
庭を一気に畑に変えたい場合、大型の根菜以外なら何でも育てられます。
例えば
- トマト
- ナス
- キュウリ
などは育てられます。
植木鉢やプランターを使ったトマトの栽培方法はこちらの動画でご紹介しています。
庭を一気に畑に変えたい場合に育てにくい野菜
庭を一気に畑に変えたい場合、
- ごぼう
- 長芋
などの深く根を張るタイプの野菜や
- レンコン
- 里芋
などのたくさん水があったほうがよく育つ野菜は育てるのが少し難しくなります。
土壌改良剤や土の量の目安
次に土壌改良剤や土の量の目安をお伝えします。
庭を簡単に畑に変えたい場合に必要な土壌改良剤の目安
簡単に変えたい場合に必要な土壌改良剤の量を計算します。
- 野菜を育てる畝の高さを約20cmだと仮定する
- 栽培面積の半分ぐらいの広さに畝を立てる(残り半分は通路など)
- 約20%程度を土壌改良剤、残りの80%は元からある土を使う
畑にする面積が一坪(約330平方cm)の場合、土壌改良剤の量は132Lになります。
ホームセンターなどに売っている土壌改良材の大袋は大体40Lぐらいなので、約3体分です。
畝を使った場合は、実際に野菜が栽培できる面積はこの半分程度だと考えてください。
庭を一気に畑に変えたい場合に必要な土壌改良剤の目安
一気に変えたい場合に必要な土壌改良剤の量を計算します。
- レイズドベッドの高さを約20cm程度と仮定する
- その土地の土を20%ほど使い、土壌改良材もしくは培養土を80%ほど使う
畑にする面積が一坪(約330平方cm)の場合、528Lの土壌改良剤もしくは培養土が必要になります。
これは40Lの大袋で約13体分です。
このように必要な土壌改良剤や土の量が大分変わります。
庭を簡単に畑に変える手順
次は庭を簡単に畑に変える手順です。
- 区画を決める
- 土の表面を片付ける
- スコップやツルハシで耕す
- 石灰や土壌改良材などを撒く
- 土とよく混ぜる
- 畝を立てマルチを張る
畝立てやマルチに関しては私のブログで詳しく解説しているのでぜひご覧ください。
ビニールマルチをきれいに張る方法とコツ、マルチ栽培とマルチングの種類(https://jiburi.com/multing/)
あとは育てる野菜に合わせて元肥を入れましょう。
庭を一気に畑に変える手順
次に庭を一気に畑に変える手順です。
- 区画を決める
- 土の表面を片付ける
- レイズドベッドの壁を作る
- スコップやツルハシで耕す
- 培養土や土壌改良剤などを入れる
- 土と混ぜ混む
これで完了です。
レイズドベッドの壁はレンガや木など、どんなものでも構いません。
最後に育てる野菜の種類に合わせて元肥を入れてください。
庭を畑にするための土壌改良材
次に基本になる土壌改良材について説明します。
土壌改良剤の中には、
- 物理性を改善する一般的な土壌改良剤
- 土壌の酸度を調整するための石灰
などがあります。
ここでは、それぞれについて説明します。
土の物理性を改善する土壌改良剤
物理性を改善するものは
- 腐葉土
- バーク堆肥
- 完熟堆肥(肥料)
などがあります。
完熟堆肥は肥料としても使われています。
土の酸度を調整する土壌改良剤
酸度の調整には、石灰が使われることが多いです。
- 消石灰
- 苦土石灰
- 有機石灰
などがあります。
消石灰や苦土石灰を使う場合には、少なくとも植え付けの2週間前に使うようにしてください。
有機石灰は直前でも構いません。
それから、もみ殻くん炭は土壌改良剤でも酸度の調整剤でも使えるといわれています。
畑にしたい庭の水はけの調べ方
次に土の水はけを調べましょう。
雨が降った後の様子で判断する
水はけを調べるには、雨が降った後を見てみてください。
水溜りができて水が全然抜けなかったら、水はけが悪い粘土質だと考えられます。
逆に雨が降った直後でも水溜りが出来ずに土が枯れ上がるのが早ければ、水はけが良い土だと考えられます。
湿った土を握って判断する
また、湿った状態の土を握ることでも判断できます。
握った時に形が非常に良く残れば粘土質、あまり形が残らなければ砂質と考えてください。
水はけが悪い粘土質の土を改善する方法
水はけが悪い粘土質の場合は、排水性を改善しないといけません。
そのためには
- もみ殻くん炭
- 軽石
- パーライト
などを使います。
水はけが良すぎる砂質の土を改善する方法
逆に水はけが良すぎる砂質の場合には、保水性を改善しないといけません。
例えば
- 黒土
- 真砂土(まさど)
- 山土
- ピートモス
などを使います。
この時のピートモスはpH調整済みのものを使っください。
もしくは自分でピートモスのpH調整することもできます。
pH調整についてはこちらの動画で説明しているので、気になる方はぜひご覧ください。
庭を畑にする場合に使う肥料(元肥)
次は肥料についてです。
まず有機肥料についてです。
例えば
- 鶏糞
- 発酵油かす
- 完熟堆肥
- ボカシ
などがあります。
化学肥料は
- 速効性の肥料
- 緩効性の肥料
- 有機肥料入りの化学肥料
などが売られています。
初心者の方は緩効性肥料か有機肥料入りの化学肥料がおすすめです。
それから有機肥料と化学肥料の両方を使っていただいても構いません。
肥料に関してはこちらの動画で詳しく解説しているので、ぜひ合わせてご覧ください。
庭を畑にする場合に土に入れるもののまとめ
土に入れるもののまとめです。
まず、①水はけが悪い粘土質と②水はけが良すぎる砂質で分けます。
一気に変える場合で培養土を使わない場合は、②水はけが良すぎる砂質と同じように考えてください。
そう考えるとどちらも基本的に
- 腐葉土
- バーク堆肥
- 完熟牛ふん堆肥
などの基本的な土壌改良剤を使ってください。
あとは土の質に合わせましょう。
①水はけが悪い粘土質の場合は
- もみ殻くん炭
- 軽石
- パーライト
などを使うようにしてください。
②水はけが良すぎる砂質、または一気に変える場合で培養土を使わない場合は、
- 黒土
- 真砂土
- 山土
- ピートモス
を使用してみてください。
それから、どちらとも石灰は有機石灰を使うのがオススメです。
元肥は全面的に土に混ぜる方法もありますが、私は植える野菜に合わせて局所的に元肥を与えることをオススメしています。
なので、植える野菜に合わせて元肥の量を調整してみてください。
土壌改良剤としてオススメしている堆肥は肥料としても使えるものです。
これを全面に混ぜておけば、大きな問題は起きないと思います。
庭を畑にする際の注意点
次に畑作りの注意点です。
ケガや熱中症に注意
作業中のケガや熱中症には注意してください。
畑の日当たりを考える
畑を作る時は日当たりも考えてみてください。
どんなに良い土ができたとしても、日当たりが悪ければ野菜は上手く育ちません。
畑の排水を考える
排水がどこに流れるのかも先に考えておいてください。
排水がうまく流れるように考えておかないと、庭に排水が流れて汚れてしまいます。
毎年少しずつ改善していく
少しずつ土を改善していく場合は、毎年少しずつ土壌改良材を入れて土を改善していってください。
スコップとクワがあると便利
農機具はいろんなものがあった方が便利ですが、あまりたくさん揃えると金銭的な負担になってしまいます。
最低限必要なものとしてスコップとクワがあると便利です。
粘土質の硬い土を耕す場合にはツルハシも便利です。
【土壌改良】庭に畑を作る方法と土壌改良材の種類と選び方【粘土質の水やり改善】のまとめ
最初にもお伝えしましたが、庭を畑に変えるには
- 簡単に変えるのか
- 一気に変えるのか
という選択肢があります。
まずはどうやって変えたいのかを考えてください。
簡単に変える場合は、粘土質か砂質なのかで入れるべき土壌改良材が変わってきます。
一気に変える場合は、培養土を使うのが最も簡単だと思います。
それから土壌改良材を使うこともできます。
それぞれのメリットとデメリットを考えて、目的にあった素敵な畑を作ってくださいね。
今回ご紹介した内容はこちらの動画でご覧になれます。