今回は、オリジナル培養土の材料に使えるピートモスの特徴と使い方を紹介します。
- ピートモスって何?
- ピートモスを使うとどんなメリットやデメリットがあるの?
- どうやって使うのか知りたい
- pH調整について詳しく知りたい
このような疑問や要望がある方は、ぜひ最後までお読みください。
ピートモスとは?
ピートモスは、北欧や北米、北海道などで採れる水苔などが堆積してできたもので、土の代わりに野菜栽培などに使用されています。
ピートモスだけで使われることもありますが、ピートモスに他の物を混ぜて培養土として使用するのが一般的です。
ピートモスの特徴として、酸性であることが挙げられます。
pHで言うと4~5ぐらいと言われています。
野菜栽培にはpHが6前後がいいと言われているため、ピートモスをそのまま使うと少しpHが低くなってしまいます。
ピートモスを野菜栽培に使うメリット
ここでは、ピートモスにはどのようなメリットがあるかを説明します。
メリット1:大きなロットで安く買える
例えば、200~300リットルの大きなロットで販売されていることが多く、1リットル当たりに換算するとかなり安く購入することができます。
普通の培養土であれば、大体20~30リットルぐらいの量で販売されていることが多いですが、ピートモスに関しては、その10倍近い大きさで販売されています。
下の写真が実際に購入したピートモスです。
かなり大きいことがわかります。
今回購入したピートモスはカナダ産(225リットル)とエストニア産(200リットル)です。
これらはpHが未調整のもののため、使用する際にはpHの調整が必要になります。
このように大きなロットのピートモスは、圧縮された状態で販売されており、開封して水と混ぜたりすると膨らんでさらに大きくなります。
ホームセンターなどに行くと、小さなサイズのピートモスも販売されているので、そんなにたくさんの量が必要ない場合でも大丈夫です。
但し、小さなサイズは大きなロットに比べると少し割高にはなります。
メリット2:保水性と保肥性が高い
2つめのピートモスのメリットは、保水性と保肥性が高いことです。
袋から出したピートモスがこちらです。
ピートモスは手で触ると、軽くてふんわりしている粉状のものです。
保肥性を示す数値として「CEC(=塩基置換容量)」という値があります。
この数値が大きいほうが、肥料を保持する能力が高いです。
一般的な土の場合、この数値は15meq/100gくらいですが、ピートモスの場合、この値が100meq/100gくらいと言われています。
この数値から見ても、ピートモスが非常に肥料持ちが良い培土ということがわかります。
そのため、ピートモスを使うことによって、培養土の量が少なくても肥料持ちや水持ちが良い状態を保つことができるようになります。
メリット3:廃棄のコストが掛からない
ピートモスは酸性の培土のため、特にブルーベリーの栽培に適しています。
このピートモスを野菜やブルーベリーの栽培に使用した後、その使い終わった培土はそのまま畑などに漉き込むことができます。
時間が経てば、ピートモスは分解されて土と一緒になり、廃棄のコストが掛からないのもメリットの一つです。
ピートモスを野菜栽培に使うデメリット
ここからは、ピートモスを使うデメリットについて説明します。
デメリット1:大きくて運ぶのが大変
先ほどのメリットの話でも説明したように、ピートモスは大きなロットで購入することでとても安く大量に手に入れることができます。
しかし、一方で大きなロットのピートモスは、圧縮されているとはいえ、200~300リットルもの容量があるため、大きくて重さもかなりあって運ぶのが大変です。
力持ちの男性であれば一人で運ぶことも可能かもしれませんが、あまり力のない女性やお年寄りの方の場合、おそらく一人では運べません。
そのようなこともあり、インターネット通販などで大きなロットのピートモスを購入した場合、個人宅への宅配ができない場合がありますのでご注意ください。
もちろん、ホームセンターなどで小さなロットを購入すれば、このようなデメリットは解消されますが、当然大きなロットと比べると1リットルあたりの単価は高くなってしまいます。
またピートモスは、水苔が堆積してできた天然資源の一つであるため、その採掘量に限りがあると言われています。
実際に、採掘量がかなり増えてきてしまい環境問題になっているという話や、品質の良いピートモスの量が減ってきて品質にばらつきが出ているという話もあります。
デメリット2:保水性と保肥性が良すぎる
2つめのデメリットとして、保水性と保肥性が良すぎることが挙げられます。
あまりにも水持ちが良いと、根腐れなどが起こりやすくなり、保肥性が良過ぎると、肥料を少なくしたい時などにも肥料が残ってしまうという問題が発生します。
一方で、ピートモスの特徴の一つとして、乾燥させると水を弾きやすくなるというという性質があります。
そのため、完全にピートモスを乾燥させてしまうと、水をなかなか吸収してくれないという問題が発生します。
例えば、プランターなどに植え付けをしていて乾燥させてしまうと、水をやっても弾いてしまうということが起こります。
ピートモスを使用する際は、あまり乾燥をさせないように気を付けてください。
また、ピートモスは有機物なので、分解などによって物理性が変わりやすいのも特徴です。
pH調整のやり方
市販のピートモスはpH調整がされているものと無調整のものがあります。
購入する際には、パッケージをチェックして、ph無調整かph調整済みかをしっかり確認して購入するようにしましょう。
ブルーベリーを育てる場合には無調整のものがいいですし、野菜栽培に使う場合にはpH調整済みのほうがお手軽でおすすめです。
但し、基本的にpH調整済みの商品のほうが値段は高くなります。
pH無調整の商品のほうが安く購入できますが、使用する際には自分でpHを調整しなければいけません。
ここではpH調整のやり方について詳しく説明します。
まず、pH無調整のピートモスと苦土石灰、pHの測定機器を準備してください。
pH調整には2通りのやり方があります。
1つは、およそのピートモスの量を測ってそこに決まった量の苦土石灰を入れる方法です。
もう1つは、pH測定器を使って数値を確認しながらpH調整を行う方法です。
苦土石灰を混ぜることによって、pHを上げることができますが、逆にpHを上げ過ぎた場合にはピートモスを足すことでpHを少し下げて狙ったpHになるように調整してください。
使用する石灰は、苦土石灰の他にも消石灰や有機石灰なども使用できますが、苦土石灰が一番使いやすいのでおすすめです。
消石灰の方が即効性があり、有機性石灰のほうがゆっくり効果が出るという特徴があります。
苦土石灰を使う場合には、植え付けの2週間ぐらい前にはpH調整を行ってください。
pH調整を行う際には、一番最初のピートモスのpHが重要になります。
ピートモスのpHは一般的には4~5と言われていますが、ピートモスによっては最初のpH値が違うこともあるので、できれば最初のpH値をpHの測定器などで確認するようにしましょう。
pHが4~5の一般的なピートモスの場合、1リットルのピートモスに対して10gぐらいの苦土石灰を入れるとpHが6くらいになります。
この割合は元々のピートモスの酸度によって変わるので、pHの測定器や酸度測定液などを使ってpHが狙った数値になっているかを確認しましょう。
pHを測定する場合の注意点として、ピートモスと石灰を混ぜてすぐに測っても意味がありません。
混ぜた後しっかり水をかけて、2週間ぐらい経ってから測定するようにしましょう。
ピートモスの家庭菜園用培養土向けの使い方
ここではピートモスの3つの使い方について説明します。
使い方1:ピートモス以外のものを主な材料として培養土を作る
ピートモスの使い方として一番多いのは、ピートモス以外のものを主な材料として、少しピートモスを混ぜて培養土を作る方法です。
例えば、赤玉土や鹿沼土、パーライト、バーミキュライト、腐葉土、牛糞堆肥などと混ぜて培養土を作ります。
使い方2:ピートモスをメインの材料にして培養土を作る
2つめの使い方は、ピートモスをメインの材料にしてそこに少しだけ別のものを混ぜて培養土を作る方法です。
ピートモスは保水性と保肥性が非常に高いので、そこに排水性を良くするような軽石やパーライト、バーミキュライトなどを混ぜることが多いです。
使い方3:ピートモスだけで野菜やいちごを育てる
3つめは、ピートモスだけで野菜やいちごを育てる方法です。
この場合、排水性と保肥性が非常に高い点に注意が必要です。
培養土の量を少し減らしたり、排水性を良くするために鉢底石を使うなど、必要に応じて排水性を良くする工夫をしてください。
オリジナル培養土の材料に使えるピートモスの特徴と使い方のまとめ
今回は、オリジナル培養土の材料に使えるピートモスの特徴と使い方について紹介しました。
オリジナルの培養土を作りたい方は、このピートモスを材料として使うと、コストを下げられたり、保水性や保肥性を高められるのでおすすめです。
家庭菜園の初心者を卒業して、オリジナルの培養土を作りたいと考えている方などは、ぜひ今回の記事の内容参考にピートモスを使った培養土作りに挑戦してみてください。
但し、今回の記事で紹介したようなデメリットや注意点もあるので、その点には注意してピートモスを使ってみてください。
動画でも紹介しているので、ぜひご覧ください。