今回はイチゴの脇芽の見分け方をご紹介します。
- イチゴの脇芽がわからない!
- どの脇芽を取れば良いんだろう?
- とにかくイチゴの実を大きく育てたい!
という方におすすめの記事です。
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イチゴの脇芽の見分け方・脇芽の取り方
今回は私の実家の農園で育てているイチゴたちを使って、イチゴの脇芽の見分け方、それから脇芽の取りの方をご説明します。
実際の株を見てみよう!その①
まずこの株から見ていきましょう。
こちらの株は何株くらい芽があるのかわかるでしょうか?
この状態で芽の数が何芽あるかわかりますか?
こちらのイチゴは芽の数が3芽あります。
ちなみに誕生したのは、早いものから③→②→①の順番です。
③が主芽です。
実際の株を見てみよう!その②
では隣の株を見てみましょう。
この株は何芽ぐらいあるのかわかるでしょうか?
葉っぱの枚数は20枚くらいあります。
では、株元を見てみましょう。
この状態で芽の数が数えられるでしょうか?
こちらの株の芽の数は4芽です。
何となく芽の数え方はわかってきたでしょうか?
実際の株を見てみよう!その③
この株は芽が何個でしょう?
葉っぱの枚数は8枚ついています。
この株は芽の数が1つだけです。
イチゴの芽とは?成長点である
イチゴの芽というのは、人間の目で見ると「新しい葉っぱが出てくる場所」のことです。
芽は植物学的にいうと、葉っぱを作る成長点がある場所です。
成長点には、茎頂分裂組織があります。
この茎頂分裂組織から新しい葉が誕生しています。
イチゴの成長点
イチゴの成長点の場合、大きさは0.2ミリぐらいしかありません。
成長点は株元のもっと奥深くに存在しているので、人間の目では見れません。
0.2mmぐらいの細胞が組織を色々分化させて、葉や花を作っています。
芽の数=成長点の数です。
成長点を数えるときは、新葉の数を数える
成長点自体は人間の目では見れません。
なので、人間の目で数える場合は新葉が何個あるのかで数えてください。
この株の場合はどうでしょうか?
4つの新葉があるので、これは4つの芽があると考えてください。
古い葉っぱの中心に新葉がある
それからその新葉の周りには、数週間前に作られた別の葉っぱがあります。
なので、その古い葉っぱの中心部分だと考えていただいても構いません。
なぜ1株しか植えていないイチゴの株がたくさんの芽に分かれているのか?
イチゴというのは脇芽というものが発生します。
脇芽は、1株の中で複数の成長点ができることです。
最初はクラウン(茎)の頂点だけに成長点があります。
そして、葉の付け根にある成長点が成長を始めて、脇芽になります。
脇芽は2番目以降の成長点のことをいいます。
例えば、最初1つだったものが2つに分かれて、その1つがまた2つに分かれます。
そして、またその1つが2つに分かれて…という感じで、どんどん数が増えていきます。
例えば、ここには4つの芽がある株がありますが、1株に10個以上の芽ができる場合もあります。
芽がたくさんあることのメリットとデメリット
芽がたくさんあると、どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
メリット①葉の枚数が多くなる
芽の数が多いと、新葉がたくさん出てくるので葉っぱの枚数が多くなります。
芽の数が4つある株は葉っぱが非常に多いです。
芽の数が多い分、葉っぱの枚数も多くなります。
メリット②花房の本数が増える=果実の数が増える
芽の数が多ければ、花が出てくる場所の数も多いので、花の数も増えます。
花の数が増えるということは、実の数が増えることに直結します。
デメリット①芽が多いことで葉っぱの数が多くなりすぎる
葉っぱの数が多くなりすぎると
- 葉っぱが混み合って徒長する
- 光合成の効率が悪化
- 他の株と重なり合って光が遮られてしまう
- 風通しが悪くなって病気にかかりやすい
- 害虫が増えやすい
- 害虫が隠れやすい
など、いろんなデメリットがあります。
デメリット②実がたくさんできると「成り疲れ」が起きやすい
花が出る位置がたくさんあるので実がたくさん出ます。
イチゴは「成り疲れ」が起きやすい植物です。
成り疲れとは、光合成で作った養分を実に送りすぎて、根が消耗すること。
花がたくさん出て実がたくさんなりすぎると、その後一気に枯れたり、生育が悪くなったり、その後の収穫が非常に少なくなったりとデメリットが発生します。
なのでイチゴは育てるときに芽の数を調整するのが大切です。
ベストな芽の数
何芽にしたらいいかという話ですが、これはなかなか難しく奥が深い問題です。
なぜかというと、まず品種によって適した芽の数が違います。
それから育て方や、育てている方が何を望んでいるのかによっても違います。
なので、ざっくり大きくどんな傾向があるのかをお伝えします。
①芽の数が少ない場合
基本的に芽の数が少なければ少ないほど一粒の実のサイズは大きくなります。
その代わり、トータルの収穫量は減ります。
しかし味は良くなりやすいです。
量よりも質が優先で、イチゴの粒が小さくなってもいいからとにかく大粒で甘いイチゴを作りたい方は、芽の数を1~2つだけに制限してください。
②芽の数が多い場合
芽の数が多ければ多いほど、1粒の実のサイズは小さくなります。
その代わり、1株当たりの収穫量は多くなります。
しかし甘さは少し下がります。
質よりも量が優先で、とにかくたくさんのイチゴを採りたい方は、芽を取らずにできるだけたくさんの芽を残してください。
そうすると狙った栽培がしやすくなります。
品種や栽培方法などによって芽の発生しやすさが異なる
注意して欲しいことがあります。
実は、品種や育てている時期や栽培方法によっては芽が発生しやすかったり、芽があまり発生しない場合もあります。
また、芯止まりという現象が起きてしまう可能性もあります。
芯止まりとは、成長点が成長しなくなり、芽がなくなること。
なので、細かい話をすると一軒一軒栽培している方に合ったやり方を考えないといけないのです。
けれども、それはここだけで説明するのはとても難しいです。
なので前述した通り、質を取るのか量を取るのかで芽の数を少なくするのか、それとも多くするのか考えてみてください。
イチゴの脇芽の取り方
先ほど説明した通り、望まれる栽培に合わせて芽の数を調整してください。
基本的には、栽培方法で脇芽を増やすというよりは、増えている脇芽を減らすことで調整します。
その時に必要な脇芽の取り方をご説明します。
といっても、やり方は非常に簡単です。
イチゴの脇芽は手で取る
いくつかの芽が出ていたら、ただ単純に手で取れば大丈夫です。
後で実際に取って説明します。
取る脇芽の選び方は大きなものを残す
基本的には小さいものから順番に取って、大きなものを残してください。
例えば、隣の株と密接しているような芽があったり、もしくはプランターの端っこに密接しているような芽があった場合は、取り除いていただいても構いません。
ただ基本的には小さい芽を取って、大きな芽を残すことを意識してください。
芽の大きさは茎の太さで判断する
単純に見た目で茎の太さ(芽の太さ)で判断してください。
厳密に細かく測ったりする必要はありません。
コツはマイナスドライバーを使う
それから、芽の数がたくさん増えてくると取るのがとても大変になります。
例えば、芽を手で取ろうと思った時に、誤って隣の芽も一緒に取ってしまうというようなことが起きやすいです。
手で取るよりもマイナスドライバーを使って狙った芽だけをクリッと取る方が取りやすいです。
イチゴの脇芽を実際に取る!
実際にこの株にある4つの芽のうち、一番小さい芽を取り除いてみます。
取る時にはいきなり取るのではなく、絡み合った葉っぱを分けて芽を取りやすいようにしてください。
こちらの芽を取ります。
こんな風に簡単に取れます。
逆に言うと簡単に取れやすいので気をつけないと、他の芽もポキッと取れてしまいます。
なので、今したように葉っぱを分けたり、マイナスドライバーを使って取るようにしてください。
取った脇芽は挿木にできる
これはちょっとした裏技ですが、実は取ったイチゴの脇芽は挿し木に使うこともできます。
取ったイチゴの脇芽を土に植えて、毎日水をやっていると根っこが生えてきて株として使えます。
普通に苗として使えるようになります。
ただ、成功率が100%ではないので、途中で枯れてしまうものも出てきます。
ランナーから苗を増やすよりも、成功率は低いです。
ランナーが出にくい品種は挿木を使って苗を増やす
イチゴの品種の中には、ランナーの発生数が非常に少ない品種があります。
そのような品種に関しては脇芽を取って、取った芽を挿し木に使うことで苗を増やします。
これはかなりレアなケースなので、なかなか日本の品種ではそういうものはないです。
取った脇芽の様子
今取り除いた芽がこちらです。
なかなか立派な芽です。
これは挿し木にしてみます。
というわけで、4芽あった芽の中のど真ん中にあった小さい芽を取りました。
なので3つの芽が残りました。
ぜひ家庭菜園や他のいちご農園でも、このように芽の調整というものをやってみてください。
葉かきより芽かきをした方がイチゴの株がスッキリする
この株が芽を1つ取り除いたものです。
どうでしょうか?印象が変わったんじゃないでしょうか。
絡み合っていた葉っぱがなくなって、だいぶスッキリしました。
イチゴ栽培していると、葉っぱが多くもっさりしているなと思って「よし、葉っぱを取ろう!」とか「葉かきをやろう!」と思う方はたくさんいると思います。
その時に葉かきをしてもいいのですが、実は「芽かき」をするのがすごくおすすめです。
芽かきをすると一度に葉っぱが5〜6枚減るので、だいぶスッキリさせることができます。
イチゴの葉とわき芽の管理方法はこちらの動画で詳しく説明しています。
イチゴの芽かきをすると1つの芽に養分を集中させることができる
さらに芽の数が多いと、どうしても1つの芽に集まる養分が少なくなってしまいます。
そこで、余分な小さな芽を取り除くと、残った芽に養分を集中させることができます。
小さい芽を選んで取ってみよう!
では、この株も脇芽を数えて、余分な脇芽を取ります。
まずは芽の数を数えます。
5つの新しい葉っぱが出てきているので、芽の数は5つです。
5つの芽があるので、そのうち小さな芽を2つ取り除いて3つにします。
大きい芽を残して、小さな芽を取ります。
これは簡単に取れそうです。ちょっとやってみます。
簡単にとれました。
芽を持って横にずらすだけで大丈夫です。
もう1つも少し横に動かすだけで取れました。
これで2つの芽が取れたので、太い芽が3つだけ残りました。
基本的には小さな芽を取って、大きくて太い芽を残すのがおすすめです。
【家庭菜園のいちご】いちごの脇芽を取るコツとベストな芽数の考え方のまとめ
今回はイチゴの脇芽の見分け方と取り方をご紹介しました。
脇芽と同じくらい影響する作業が「摘花」です。
イチゴの花を摘花をする効果については、こちらの記事をお読みください。
→ 摘花でいちごの実は大きくなる?ならない?いちごの摘花の効果をイチゴのプロが解説
イチゴの株を2年以上育てる方法はこちらの記事で紹介しています。
→ いちごの二年株栽培で苗作りと植え替えコストを抑えて省力化できる!【株据置栽培, 2年栽培】
イチゴに関してはいろんな動画をアップしているので、ぜひ再生リストの「いちごの育て方」をチェックしてみてください。
YouTubeチャンネル【Daisuke Miyazaki】
今回の内容は、こちらの動画で詳しく説明しています。