今回は、8月に家庭菜園のイチゴ栽培でやるべきことをご紹介したいと思います。
イチゴは涼しい気候を好む植物です。
なので1年の中でこの8月が一番イチゴにとって過酷な環境です。
イチゴは冬の寒さで枯れてしまうんじゃないかって心配する方もいらっしゃると思うんですが、日本の場合冬の寒さでイチゴが枯れるということはほとんどありません。
北海道みたいな極寒地は除きます。
逆にイチゴにとって一番辛いのは、この夏の暑さなんですね。
しかも最近って夏の暑さがどんどん厳しくなっているじゃないですか。
そうするとイチゴにとってもすごく厳しい環境になっています。
なので1年で1番イチゴにとって過酷なこの8月をしっかり乗り切ってあげることが家庭菜園のイチゴ栽培では大切です。
今回はまず四季成り性の品種のイチゴを対象とした話をして、それから一季成り性の品種を対象とした話をしていきます。
四季成り性品種のイチゴ
ではまずは四季成り性品種について説明をしていきます。
四季成り性品種というのは夏であっても花を作って実をつけることができる品種です。
日本で出回っているイチゴの中ではかなり珍しいんですが、最近ホームセンターですと家庭菜園向けとし四季成り性品種が多く販売されています。
なのでもしかしたら皆さんが育てているイチゴも四季成り性品種かもしれません。
この四季成り性品種は夏でも花や実をつけることができるんですが、暑さに弱いというイチゴの特徴自体は変わりません。
なので四季成り性品種であっても暑さで株の生育が悪くなります。
例えば花が小さいとか、実が小さい、花があんまり出てこない、葉っぱがあんまり出てこないなどの症状が現れたら、おそらく暑さで株が弱っています。
そのような症状が出た場合には遮光シートを使ってあげるとか、日陰に移動させてあげるとか、少し光を弱くするようにしてあげてください。
四季成り性品種の苗作り
それから8月は四季成り性品種の苗作りの準備を始める時期です。
四季成り性品種はだいたい秋に植えるか春に植え付けを行います。
そのためにこの夏の終わりぐらいからランナーを伸ばし始めて、秋に入ってから苗作りをするのがおすすめです。
例えば9月から苗作りをスタートさせるために8月からランナーを伸ばし始める。
このようなスケジュールが良いと思います。
そして9月に苗を作ったらそれを10月11月と苗作りをして、苗を大きく育てます。
それを秋のうちに植え付けてもいいですし、ポットのまま越冬させて来年の春に植え付けをするのもおすすめです。
この植え付けのタイミングについては私の実家の夏秋イチゴ栽培の記事でも詳しく紹介しています。
今年は私はずらし栽培 と言いまして、苗の植え付け時期をかなりずらすという方法を使いました。
このずらしを行いますと収穫のピークもずらすことができて、ずっとだらだらと実を収穫することができるようになります。
この手法は商業的な農園だけではなくて家庭菜園でも役立つ方法だと思います。
家庭菜園でも一度にたくさん収穫ができてあとは全然収穫ができないということよりも、ちょっとずつ毎月収穫があった方が嬉しいですよね。
そういった方にはこの方法がおすすめです。
それから実家で収穫できたか写真とかはInstagramにアップしています。
まだ私のインスタグラムをフォローしていないという方はこの機会にインスタグラムもフォローしていただけますと嬉しいです。
一季成り性品種のイチゴ
次は一季成り性品種についてお伝えします。
例えば、
- とちおとめ
- 紅ほっぺ
- 章姫
こういったよく聞く品種は一季成り性品種です。
一季成り性品種は初夏から秋にかけては花を咲かせないので、夏から冬にかけては実が収穫できません。
春から初夏にかけてだけ収穫できます。
一季成り性品種を育てていた方はもうすでに苗作りを始めているはずなので、良い苗ができているんではないでしょうか。
ポットを使って苗作りをした方はそのポットを外してみてください。
ポットを外した時に根っこがポットの底にぐるぐると回っているぐらいの長さと量があって、かつその根の色が白色でしたら非常に良い苗という証拠です。
まだその根っこがポットの底に到達していなかったり、根っこの色がちょっと茶色っぽく変わってしまっているとしたらあんまり良くありません。
ポットの底まで根が到達していなければまだ苗作りの期間が不十分ということですのでもう少し苗を育ててください。
それから根の色が茶色になっている場合には水不足とか、肥料不足などこのあたりが怪しいです。
例えば私の実家ではカタツムリポットという連結トレーを使って、タイマーと点滴チューブも使って苗を作っています。
そちらの苗はもう完成しました。
商業的な農家の方など大量に苗を作る場合には連結トレーや点滴チューブを使うと便利です。
それから点滴チューブを使うと水の跳ね返りを抑えることができるので炭疽病などの病気を抑えることができます。
この炭疽病は気温が高い時ほど症状が現れたり、菌が周りに感染しやすくなります。
なのでこの8月に炭疽病で枯れてしまったという人はたくさんいらっしゃると思います。
家庭菜園でも発生しますし、商業的な農園でも発生します。
炭疽病が発生してしまった場合には、その炭疽病が発生した株を治療するということはできません。
発症した場合には 廃棄するようにしてください。
それからその株が植わっていた土も炭疽病の菌に汚染されています。
なので太陽熱消毒をしてください。
太陽熱消毒は8月の気温が暑い時期にやりやすいです。
土を湿らせて透明なフィルムをかぶせておよそ3週間太陽光がたくさん当たるようにしてください。
そうすると土の中の温度が60度以上になってその土の中に含まれている炭疽病菌を殺してくれます。
プランターで苗を育てていて炭疽病が現れてしまったという人は大きなビニール袋を用意していただいて、そこに土を入れて少し土を湿らせてください。
握ったときにお団子はできるぐらいの湿り気がいいです。
それを直射日光が当たるところに3週間置いていただければ土の中の殺菌ができます。
気温が高い夏ほどこの太陽熱消毒はやりやすいので8月に行うのがおすすめです。
それから8月はとにかく暑いので、いちごの親株とか苗の水切れに注意してください。
暑ければ上に遮光シートを貼ったりとか、水やりをこまめにするようにしてください。
水やりは朝と夕方にやるのがおすすめですが、日中に土が乾いて植物が萎れ始めた時には、日中であっても必ず水をあげてください。
たまに日中は水を絶対あげてはいけないという風に勘違いをされている方もいますが、そんなことはありません。
日中であっても水やりはやってください。
ただしその日中水やりをあげる時に汲んでおいた水を使ったりとかホースの中の水をかけると熱湯になっていることがありますのでそれは使わないようにしてください。
花芽分化促進処理
それから8月は商業的なイチゴ農園、促成栽培をされている農園ですと花芽分化促進処理をする時期です。
花芽分化促進処理というのは花を早くつけさせるという方法です。
普通にイチゴの苗を育ててそのまま植え付けて育てますと収穫はだいたい1月ぐらいになります。
この時に苗の肥料分を切ってあげて窒素の含有量を下げたりすると12月ぐらいになります。
ただ株によってどうしてもばらつきが出てしまったり年によってばらつきが出るんですね。
残暑が厳しい年だったら遅れるとか、そうでなかったら早まるとかこの辺の時期が前後してしまいます。
そういったズレをなくすために行うのが花芽分化促進処理です。
どうやって行うのかと言いますと夜冷庫と呼ばれているでかい冷蔵庫みたいなところに苗を入れたりですとか、保冷庫と呼ばれている冷蔵庫の中に苗を入れたりですとかいろんな方法があります。
家庭菜園でもこれの真似をすることで花芽分化を早くして、今年の冬から確実に実を収穫することもできます。
ただなかなか大変です。
冷蔵庫の中に苗を入れておくとか、エアコンが完璧に24時間効いている部屋に苗を置いておくとかそのような方法が必要になります。
やるとしたら8月から3~4週間そのような処理を行って、それから9月に苗を植え付けます。
そうするとうまくいっていれば10月ぐらいに花が咲いて、11月下旬から12月上旬から実の収穫が始まります。
ただこれは結構大変なので、あんまりオススメはしません。
皆さんが普段使っている冷蔵庫にイチゴの苗がたくさん入っていたら生活に困りますよね。
もう1つの方法として、この8月ぐらいからイチゴの苗に与える肥料をかなり抑えてあげて窒素切れの状態にしてそれを9月に植え付けることで花芽分化を早くさせるという方法もあります。
イチゴなどの植物の多くは植物の中の窒素分が下がると花芽分化しやすくなるという特徴があるからです。
この方法を使えばうまくいけば12月ぐらいから実の収穫ができます。
ただしこの場合には11月ぐらいからビニールハウスのような保温施設が必要になりますし、12月からはストーブのような暖房設備も必要になってきます。
なのでなかなか家庭菜園ですとその環境整えることが難しいかなと思います。
ほとんどの家庭菜園愛好家の人にとったら秋に花が出てくるっていうのは嫌なことだと思います。
秋に花が咲いてしまってもビニールハウスのような設備がなければちゃんとした実が収穫できないからです。
秋に花が発生するのを防ぐ方法
じゃあ逆に秋に花が発生するのを防ぐためにはどういったことができるのかと言いますと、先ほど言ったことの逆をやればOKです。
どのようなことかと言いますと追肥をしっかりしてあげて肥料切れを防ぐという方法です。
植物の中の窒素含有量が下がりますと花芽分化しやすくなってしまうのでそうならないようにしっかり追肥をしてあげてください。
それから追肥をしっかりあげていても花が出てきてしまう場合があります。
理由は2つありまして、1つは個体差によるものです。
どうしてもイチゴは個体差があるのでたまたまこう花を出しやすい株というものもあります。
2つ目は最近のイチゴ品種っていうのはとにかく花芽文化を早くさせるという目的で品種改良が行われているんですね。
なので花芽分化が早くなって花が早く出やすい品種っていうのが世の中に出回っています。
なので最近の品種ですと秋にも花を咲かせてしまうんですね。
花が出てきてしまった場合には それをもう取って捨ててください。
それを残しておいて花を咲かせて実をつけてしまうとその分株にとって養分の消費になってしまうので花が出てきたら早めに取ってしまうのがオススメです。
8月に家庭菜園のイチゴ栽培でやるべきことまとめ
今回は、8月に家庭菜園のイチゴ栽培でやるべきことをご紹介しました。
8月の場合、四季成り性品種は苗作りを始める時期です。
一季成り性品種の場合には苗作りが終わって、ついに今回のイチゴ栽培がスタートする時期です。
すごいですよね。
来年の春にイチゴが収穫できるんですが、前年の秋には栽培がスタートするんです。
イチゴはかなり長い期間育てないといけない野菜なんです。
家庭菜園ベテラン勢の方で 12月から一応 収穫したいという方はこの8月から花芽分化促進処理を行ってください。
ただ難易度としてはかなり高いので あんまりおすすめはしません 。
こちらの動画でも紹介しています。