今回はイチゴの葉かきやわき芽取りなど株の管理の仕方をご説明します。
イチゴの葉っぱを管理して、美味しい果実を実らせましょう。
- イチゴの葉っぱは多い方がいいの?
- イチゴのわき芽が見分けられない!
- なんで古い葉っぱを取らないといけないの?
という方におすすめの記事です。
イチゴの古い葉を残すデメリット
ここではイチゴの古い葉を残すデメリットを説明します。
古い葉を残すデメリット①古い葉は光合成の効率が悪い
光合成の活発度というものがあります。
新しく展開した3枚くらいの葉が、株全体の光合成生産量の60~70%程度の光合成を行っているといわれています。
残りの30%を4~6枚目くらいの葉が補っています。
なので、最初の1~3枚は非常に重要です。
古い葉ほど光合成の割合は低下してしまうので、3枚目以降の葉もあるに越したことはないですが優先順位は下がります。
光合成をしていないわけではないですが、光合成の量が少なくなってしまいます。
実は、葉は呼吸をしているので余分なエネルギーを消費しています。
できれば古い葉は取り除いて、元気で光合成の量が活発な若い葉を残しましょう。
古い葉を残すデメリット②病害虫に弱い
古い葉は害虫やその卵がついていたり、病気の菌がたくさんついていることがあります。
例えば、「ハダニ」という虫は新しい葉よりも古い葉についていることが多いです。
なので、古い葉を残しておくのは、ハダニを増殖するチャンスを増やすということ繋がります。
ハダニについてはこちらの動画で詳しく説明しています。
古い葉を残すデメリット③株周りの風通しが悪くなる
古い葉があると、どうしても株の風通しが悪くなってしまいます。
そのためうどんこ病などのカビ系の病気が蔓延しやすくなります。
害虫も移動しやすくなります。
古い葉を残すデメリット④苗が徒長してしまう
古い葉がたくさん残っていると葉同士が重なり合ってしまいます。
すると新しい葉がもっと光を欲しがってどんどん草丈を伸ばします。
すると徒長(茎が長くなる現象)した、ひょろ長い苗になってしまいます。
徒長してしまうと光を受ける姿勢が悪くなり、茎が折れやすくなってしまうのでよくありません。
イチゴのわき芽(脇芽)について
イチゴのわき芽について説明します。
イチゴのわき芽を多く残した場合のメリット
わき芽は収穫量や味との関係性があります。
わき芽がたくさんあるとたくさん花が発生します。
単純にいうと、収穫量が増えることに繋がります。
イチゴのわき芽を多く残した場合のデメリット①味とサイズが落ちる
1株にわき芽が何個あった場合でも、根はひとつしかありません。
なのでわき芽が増えると、1芽当たりの根の量が少なくなってしまいます。
※多少は根の発生が増えます。
その結果、どうしても味が悪くなったり果実のサイズが小さくなってしまいます。
イチゴのわき芽を多く残した場合のデメリット②葉に光が当たりづらい
地上部で考えた場合、わき芽が何個あってもひとつの狭いスペースでたくさんの葉を出すことになります。
1芽と比べた場合、5芽では単純に5分の1(20%)しか光を受けることができません。
なので、光合成があまりできなくなります。
光合成ができなくなるということは、味が悪くなったり収穫量の減少、果実のサイズが小さくなることに繋がります。
イチゴを商業的に栽培する場合のわき芽の管理
商業的に栽培する場合、わき芽を1つにしてしまうと収穫量が少なくなってしまいます。
また芯止まりという成長点が消え、生育が止まってしまう生理現象があります。
芯止まりが発生した場合に、わき芽がないとその後の収穫ができなくなってしまいます。
芯止まりのリスクを防ぐために、わき芽があった方がいい品種もあります。
商業的な場合には、高級なイチゴを売るビジネスモデルなのか、いちご狩りというビジネスモデルなのか、または農協に出荷するようなビジネスモデルなのかによって、わき芽の数や古い葉の取り方などが多少異なります。
イチゴを家庭菜園で育てる場合のわき芽の管理
家庭菜園の場合は、正直なところどちらでも構いません。
収穫量を増やしたいのか、それとも一個の果実を大きくしたいのかで考えてください。
できるだけ甘くて大きな実を収穫したい方は、わき芽を1~2芽にして花をできるだけ大きくするのがおすすめです。
できるだけたくさんのイチゴを採りたい方は、わき芽をあまり取らない、もしくは全く取らない、またはわき芽を3つだけ残すというやり方がおすすめです。
実際のイチゴの株の葉を観察
実際植物を見ながら古い葉の見分け方やわき芽の見分け方数え方を解説します。
イチゴの古い葉の見分け方①見た目で判断する
古い葉の見分け方は色々な方法があるのでいくつかご紹介します。
一番簡単なのは見た目で判断することです。
①と②はどちらが古い葉かわかりますか?
正解は①が古い葉です。
②は緑色で表面にツヤがある元気な葉です。
それに対して、①は少し黄色っぽく、ツヤがなく縁も真っ赤に変色してます。
元気がなさそうな葉は古い葉に分類されます。
こちらは葉の縁が赤とまではいきませんが、茶色っぽくなっており、葉の色も薄くなっています。
別の品種も見てみましょう。
この辺は元気な葉です。
下の葉は古い葉です。
右の葉は色がくすみ、縁が赤っぽくなっています。
左の葉は黄色っぽくなってます。
こういう風になっていたら古い葉と呼んでいいです。
これがひとつの目安です。
以上が見た目を使った古い葉の見分け方です。
イチゴの古い葉の見分け方②葉の枚数を数える
次に紹介するのは、葉の枚数を数える方法です。
葉が展開してないものは0.5枚と数えます。
この株の葉っぱは4.5枚です。
次はこの株の葉を数えてみましょう。
こちらの株は葉が6枚あります。
次の株を数えてみましょう。
こちらの株は葉が12枚あります。
私は芽が1つだけの場合はイチゴの葉を5.5枚残すことをおすすめしています。
5.5枚というのは、まだ展開せず広がっていない葉を0.5枚と数えた場合です。
葉を5.5枚残す場合、初めに紹介した葉が4.5枚ある株には古い葉はない、もしくは取らないという考えになります。
次に紹介した葉が6枚ある株は、1枚は取ってもいいという感じです。
そして、どう見ても古い葉がある場合は取ってもいいでしょう。
イチゴの葉を数える際の問題点
イチゴの葉を数える時、問題点があります。
それはわき芽の数が多い場合、一株あたり5.5枚残すという法則に当てはめることができません。
この株は一株当たりのわき芽の数が複数あります。
これを全体で5.5枚にしようとすると、葉の枚数が1芽あたり1〜2枚しかない状態になってしまいます。
かといって、1芽に対して5.5枚の葉を残そうとした場合、わき芽が4芽あったら22枚の葉を残すことになります。
12枚でさえ葉が多いのに、2倍近くの量になったらとんでもないことになります。
なので、わき芽が複数の場合は「1芽あたり何枚の葉を残す」という方法はおすすめしません。
イチゴの古い葉の見分け方③古そうな葉を左右に揺する
別の方法としては、見た目が古い葉は取りそれ以外を残す方法があります。
古そうな葉を掴んで左右に少し揺すってみてください。
「パリッ」という音がして、葉が簡単に取れました。
簡単に取れる場合には取って、取れなかったら取らないというやり方です。
古い葉は親株と繋がっている接続部分が取れやすくなっています。
(クラウンと繋がる維管束が離れやすくなっています。)
植物自ら、古い葉ができるだけ取れやすくなるようにしています。
逆に元気な葉は左右に揺すっても取れません。
光合成を盛んにしている葉は維管束で強烈にクラウンと繋がっているので取れないようになっています。
古い葉は力を入れなくても左右に揺するだけで簡単に取れます。
簡単に取れる葉だけを取っていくのもひとつの方法です。
左右に優しく揺するだけです。
元気な葉は力ずくで千切らない限り揺すっても取れないので、もし揺すって取れなかったら無理に取らなくていいです。
イチゴの古い葉の見分け方④株を上から見る
もうひとつ別の方法があります。
まず視点を上に変えていただきます。
どれだけ土が見えているか、もしくはどれだけ葉が重なり合っているかで判断する方法です。
この株の場合、かなり土が見えているスペースがあります。
ということは、空いている場所(太陽マークの場所)にもう1枚葉があっても光合成ができます。
光合成ができるスペースが使われていないので、もったいないです。
なのでこの株はもう1枚、葉があるべきです。
次の株を見ていきましょう。
この株は4枚の葉があります。
この株も、上から見て空いているスペースに1~2枚葉があった方がいいです。
理由は、土が見えてしまっているのでスペースがもったいないからです。
次の株を見てみましょう。
この株は地面が隠れていて緑色の葉があるので、しっかり光合成に使えている場所もあります。
しかし、地面が見えているところもあります。
地面が見えている部分を光合成に使えないともったいないです。
逆に、新しい元気な葉が古い葉の上にあり太陽光を遮っている部分もあります。
上の葉は光合成が盛んですが、下に隠れている2枚の葉は光合成ができる量が少なくなってしまいます。
なので、あまり良くないです。
こうなる原因は芽の数が多いからです。
芽の数が多いと葉同士の重なり合いが増えてしまいます。
イチゴの葉は5分の2の葉序で発生する
イチゴの葉の発生の法則を解説します。
イチゴの葉は5分の2の葉序で発生するといわれています。
5分の2というのは、5つの発生ポイントがあり、それが1個飛ばしの間隔でどんどん発生するということです。
実際の株を使って説明します。
この株は今、6枚目の葉っぱが出てきています。
一番古い葉は①の葉です。
株を上から見ると①から⑥の順番で葉が発生します。
☆を書いているようなイメージです。
なので1枚目と6枚目が同じ場所から発生します。
これがポイントです。
イチゴの葉が5.5枚だと光合成の効率がいい
先ほどイチゴの葉は1芽につき5.5枚がいいという話をしました。
この5.5枚というのは、小さな新葉を0.5枚と数えています。
小さな新葉が大きくなった場合、一番最初に発生していた葉の真上に新しい葉が生まれます。
ということは新しい葉が太陽光を受けて、下の葉は太陽光を受けられない状態になってしまいます。
そうすると一番最初に発生していた葉は、光合成が少なくってしまいます。
また呼吸などでエネルギーを消費し、病害虫の発生にも繋がります。
なので葉を取ることをおすすめしています。
ただ、この株はまだ5.5枚なのでこの状態で大丈夫です。
もし新しい葉が大きくなった場合、次に取る葉は一番最初に発生した葉(一番古い葉)です。
イチゴの葉は1芽につき5.5枚がいいとは、最も光合成の効率が良くなる葉の枚数ということです。
イチゴのわき芽の数え方
イチゴのわき芽についてご紹介します。
わき芽をたくさん数えてみよう
まずこの株です。
芽の数がいくつあるのかわかるでしょうか?
正解は3芽です。
次の株に芽がいくつあるのかわかるでしょうか?
これは簡単です。1芽です。
次の株は芽がいくつあるのかわかるでしょうか?
これも1芽です。
こちらの株は芽がいくつあるのかわかるでしょうか?
正確にはわかりませんが、おそらく12~15芽あります。
わき芽がある場合は、まるで複数の株があるように見えます。
わき芽はわかりやすく発達していますが、葉の付け根部分から発生することもあり、見えにくくわかりにくいことも多いです。
わき芽の見分け方を練習するために、わき芽が何個あるのか繰り返し数えてみてください。
数を数えていくうちにだんだんとわき芽が何個なのか分かるようになってきます。
イチゴのわき芽についてはこちらの動画で詳しく説明しています。
【農家】いちごの葉とわき芽の管理方法をプロが解説のまとめ
今回はイチゴの葉とわき芽の管理方法をご紹介しました。
イチゴの葉は1株に1芽の場合、5.5枚残すことをおすすめしています。
古い葉の見分け方は
- 見た目で判断する
- 葉の枚数を数える
- 揺すって判断する
- 株を上から見る
という方法をご紹介しました。
古い葉は光合成の量が少なく、残しておくと病害虫のリスクが高くなります。
わき芽は、どんなイチゴを収穫したいかによって管理しましょう。
ぜひ育てているイチゴの葉やわき芽をチェックしてみてください。
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